企業口コミサイト「キャリコネ」は4月3日、「労働時間の満足度が高い都道府県ランキング」の結果を発表した。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」等を見ても、労働力不足などの事情もあってか、労働時間は都会より地方のほうが長くなりがちだといわれている。
働き方改革など国をあげての取り組みにより、日本の長時間労働は是正されつつあるが各地域で働く人たちは、労働時間に関してどう感じているのだろう。
ランキングは2016年4月~2018年3月に「キャリコネ」ユーザーからの評価が寄せられた企業を抽出し、都道府県別に「労働時間の満足度」評価の平均値を算出。【参照元:キャリコネ】
富山県「36協定なども影響して、逆に残業はしにくい」(インテック)
東京や京都、大阪、愛知など、三大都市圏の都道府県がTOP10に多く入っているが、地方に目立った偏りはないようだ。1位の沖縄では、他の都道府県に先行し、労働局が「働き方改革推進本部」を立ち上げ、県内の企業へ取り組みを促している。
また、東京では「TOKYO 働き方改革宣言企業」制度を創設して奨励・助成事業、コンサルティング等を行っているほか、2020年に向けて特に労働安全衛生の確保に力を入れている。以下、トップ10入りした都道府県に所在する企業の口コミを紹介しよう。
1位:沖縄県(労働時間の満足度評価:3.06)
スーパー・飲食店・ホテルなど幅広く展開 沖縄密着の総合小売企業「サンエー」の口コミ
「残業はありますが、それぞれの部署によって月間の残業時間は異なります。これまで残業を強要されるようなことはありませんでした。また休日出勤においても、強要されることはこれまでなく、休日当日に急遽出勤できるか等を問われたり、実際に出勤したりしたことは今まで一度もありません」(ショップスタッフ/20代前半女性/正社員/ 年収200万円)
2位:東京都(労働時間の満足度評価:3.02)
東京港区にある世界的ソフトウェアメーカーの日本法人「日本マイクロソフト」の口コミ
「会議などなければ基本フレックス。自由に休みも取れる。会社で仕事をしたほうが効率も良く出社する人が多い。納期が迫っている時などは仕事時間が長くなるが、クリスマスから年末年始など長期で休みを取る人が多い。アメリカ本社の出勤具合に左右される。1~2週間の休みなども取れるのでメリハリはつけやすい」(ソフトウェア関連職/20代後半男性/年収1500万円/2014年度)
3位:富山県(労働時間の満足度評価:3.01)
富山から日本全国に着々と事務所を開設 大手IT企業「インテック」の口コミ
「残業に関しては厳しく、36(サブロク)協定なども影響して、逆に残業はしにくい環境になっている。年間ならびに月間の残業時間も上限が設定されており、その時間を超過する場合は事前に特別申請をあげないといけない。休日の出勤も事前に申請が必要である。残業代は満額支払われる」(法人営業/30代後半男性/年収600万円/2017年度)
4位:秋田県(労働時間の満足度評価:2.98)
創業120年超の秋田の老舗地銀「北都銀行」の口コミ
「本部の事務系部署にいました。基本的に残業はなかったです。あってもほんの10分とかその程度。休日出勤は会社のシステムを新しいシステムに入れ替えるときに全行員出勤したとき以外は経験ありません。土日祝休みなので休みの点での不満は一切ありません。有休もある程度は強制的に取らされるし取ろうと思えば取れる状況なので不満はなかったです」(財務・会計関連職/20代後半女性/年収300万円/ 2017年度)
5位:高知県(労働時間の満足度評価:2.97)
四国圏はもちろん、岡山、大阪、東京にも店舗を持つ「高知銀行」の口コミ
「支店によると思うが、私が所属していた支店では、残業はあまりしないように上司から言われていた。半年に1回は定時退行の週があるなど、支店で独自にルール作りをしていたりするところもある」(金融関連職/20代前半女性/年収300万円/2014年度)
山口県「仕事と休日のワークバランスはしっかりとれる環境に感じる」(ユニクロ)
6位:愛媛県(労働時間の満足度評価:2.96)
業務用・家庭用の焼肉のたれなどで知られる愛媛「日本食研ホールディングス」の口コミ
「始業は8時30分だが、8時に出社して掃除や朝礼をしなければならない。この30分早く出社しているぶんは残業時間として計算される。近年、残業時間削減に力を入れており、月間30時間程度となっている。むしろ、残業することが悪になってきている。休日出勤はない」(研究開発/30代前半男性/年収500万円/2016年度)
7位:京都府(労働時間の満足度評価:2.94)
TOPIX Core30(※)を構成する銘柄の一つ 京都「村田製作所」の口コミ
「残業など時間外労働を適切に運用することに真面目に取り組んでいる。長時間労働を是としない風土が醸成されてきており、効率的に仕事をすすめようと社員も管理者も意識している。計画的に有給休暇も取得するよう管理者からも勧められるので有給休暇は大変取りやすい環境である」(総務/40代後半男性/年収900万円/2016年度)
※東証1部上場企業のうち、時価総額・流動性の高い30銘柄で構成された株価指数。日本の代表的な大手企業30社とも言える
7位:山口県(労働時間の満足度評価:2.94)
山口から世界へ 大手アパレルメーカー「ユニクロ」の口コミ
「仕事と休日のワークバランスはしっかりとれる環境に感じる。以前よりも休日に業務を行うケースは少なくなった。残業については部署により大きく時間が異なり、乖離が見られる。もちろん退社後にスキルアップを図るケースも多く、時間を有効に使える環境は整っており、自分次第で色々なことにチャレンジが可能である」(技術関連職/30代後半男性/年収750万円/2016年度)
9位:大阪府(労働時間の満足度評価:2.93)
大阪をはじめ西日本一帯でサービスを提供する「NTT西日本(西日本電信電話)」の口コミ
「水金はノー残業デー。部署によっては違うようだが、基本順守されている。他にも給料日等、ノー残業規定日が多い。休日出勤は基本的にはない。残業時間も、月38時間を超える場合は組合対応が必要になるため、それ以上の残業はできないし、そもそも平均月残業時間は20時間を切ることが多い」(プロジェクトマネージャー/30代前半男性/年収600万円 /2016年度)
9位:愛知県(労働時間の満足度評価:2.93)
愛知が生んだ世界的自動車メーカー「トヨタ自動車」の口コミ
「非管理職の労務管理は厳しく、さまざまなログが監査されるため、無制限に残業できない仕組みがある。仕事量は多いので限られた時間のなかで効率良くアウトプットすることが必要。休日に出勤する場合は、平日に振替休日を取るか、残業にカウントするか選べる。年休100%消化も必達。ワークライフバランスは大変取りやすいと思う」(生産・製造技術/30代前半男性/年収1000万円/2017年度)