MotoGP第3戦アメリカズGPの決勝レースがサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われ、MotoGPクラスはアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)が優勝した。リンスにとって最高峰クラスでの初優勝。スズキにとっては、マーベリック・ビニャーレスによる2016年第12戦イギリスGP以来の勝利となった。
予選日の朝には激しい雨と雷に見舞われたサーキット・オブ・ジ・アメリカズ。荒天によりフリー走行3回目はキャンセルとなったが、その後は天候が回復し、予定どおり予選が行われた。とはいえ、天候により翻弄された予選日だったことは間違いない。
迎えた決勝日は青空が広がり、気温21度、路面温度39度のドライコンディション。ポールポジションのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)はスタートでバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)に並びかけられるも、トップで1コーナーに飛び込む。
2番手に続くのはロッシ、そして3番手にクラッチローと、上位陣はグリッド順でオープニングラップを終える。中上はスタートでポジションを落とし、このとき17番手に後退していた。
マルケスは2周目に2分4秒529のファステストをマーク。ロッシも2分4秒後半のラップタイムでマルケスを追うが、3周目にはその差は約1.3秒に開いていた。マルケスはその翌周にもファステストを叩き出すと、ロッシを引き離しにかかる。
4周目の走行中に、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)にジャンプスタートによるライドスルーペナルティの裁定が下される。ふたりはこのペナルティにより、大きくポジションを落とすことになった。
一方、トップのマルケスは4周目にもファステストを記録してトップを快走。ロッシとの差を2秒以上に広げる。
ロッシは2番手集団をリードし、クラッチローやミラー、リンスが続く展開。ロッシの背後に迫りかけるクラッチロー。しかし、6周目に転倒を喫してしまい、そのままリタイアとなった。クラッチローの転倒により、ミラーが3番手に浮上。ミラーから0.5秒ほど遅れてリンスが続く。ロッシ、ミラー、リンスはほぼ等間隔で周回を重ねる。
ロッシの約4秒前方で独走態勢を築くマルケスは、アメリカズGPでの7年連続優勝に向けて盤石かと思われた。しかし、まさかの事態がマルケスを襲う。9周目の12コーナーで、マルケスがまさかの転倒を喫したのだ。
■マルケスの転倒リタイアにより、トップに立ったロッシ
ストレートからのブレーキング中、マルケスはフロントからスリップダウン。マルケスは再スタートを試みたが、ここでレースをあきらめた。マルケスのアメリカズGPでの連勝記録は、このとき途絶えることになった。
マルケスの転倒により、トップに立ったのはロッシだ。ロッシがレースをリードし、周回を重ねていく。
マルケスに続き、レプソル・ホンダ・チームを災難が襲う。11周目の12コーナーで、ロレンソがコースを外れてスローダウンすると、そのままコースサイドでマシンを止めたのだ。前日の予選Q2でも、ロレンソにマシントラブルが発生している。ロレンソはそのまま戦線を離脱。レプソル・ホンダ・チームの両雄にとって、厳しい週末となった。
残り5周、ロッシはトップを守り続ける。しかしそんなロッシに、2番手に浮上したリンスが襲い掛かる。リンスはロッシの背後に迫ると、テール・トゥ・ノーズでロッシを追う。その差は約0.2秒以内。
残り4周、リンスがついにロッシをとらえた。トップを奪い返すべく、リンスにオーバーテイクを仕掛けるロッシ。しかしブレーキングで止まり切れずオーバーランを喫し、逆にその差が開く形になってしまう。残りは3周、そしてその差は約0.6秒だ。
リンスとロッシとの差は保たれたまま、リンスがトップをキープして最終ラップに突入。最終ラップではリンスのラインがややワイドになるシーンがあったが、リンスは最後までロッシのプレッシャーに屈することなく、その座を守った。
リンスは見事、トップでチェッカー。自身にとってMotoGPクラスで初の優勝を飾った。スズキとしても、ビニャーレスが果たした2016年第12戦イギリスGP以来の勝利となった。
惜敗のロッシは2戦連続2位表彰台を獲得。ヤマハの優勝が遠いものではないことを予感させた。3位には4番手スタートのミラーが入り、ドゥカティのファクトリーチームを抑えて表彰台を獲得している。
4位フィニッシュを果たしたのは、13番手から驚異の追い上げを見せたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)、5位にはフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が入った。中上は10位フィニッシュで、ポイント獲得を果たしている。