スーパーGT第1戦岡山の予選日、Audi Team Hitotsuyamaのテント内に外国人ドライバーが集まり、リチャード・ライアンが中心となってミーティングが行われた。 2019年のスーパーGTは4月14日、岡山国際サーキットで決勝レースが行われ、開幕戦は荒れた展開のなか幕を閉じることとなったが、このレースに参戦する外国人ドライバーたちの間で、ひとつの問題が浮かび上がっていた。それは、海外に向けた放映が今季からライブではなくなってしまったのだ。
いまや多くの外国人ドライバーが参戦するほか、海外メーカーからも注目が高いスーパーGT。2018年までは、ニッサン/ニスモが出資する『NISMO TV』と呼ばれるインターネット放送でヨーロッパでライブでのスーパーGT視聴が可能だったが、今季はその『NISMO TV』の運営も変わり、『LETS GO RACING』という名称に変更。スーパーGTの視聴はできなくなってしまった。
もともと『NISMO TV』は、スーパーGTで活躍するニッサン/ニスモがヨーロッパでの知名度向上のために、放映権をもつGTアソシエイションに映像権利料を払って放映していたものだった。
ただ、この放送を頼りにしていた外国人ドライバーたちにとっては、今季に入って自分たちの地元で、スーパーGTがライブで観られないことになってしまった。SNS上でネット放送の復帰を求める外国人ドライバーたちも多く、4月13日の予選日には外国人ドライバーたちが集まり、復活を求めるミーティングも行われるシーンがあった。
ミーティングに参加したドライバーに聞くと、「僕たちには現地のスポンサーもいるし、家族もレースを戦うところを観たいはずだ。それを解決するためのミーティングだった」という。
この件について4月14日、スーパーGT第1戦岡山が開催されている岡山国際サーキットで行われたGTA定例記者会見の場で、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表が、質問に答えた。
「英語コメンタリーでの放送については、来年のマレーシア戦開催に向け、現地プロモーターのハロ・スポーツ&エンターテインメント社と映像の権利について話し合いをしている」と坂東代表は現状を語った。
坂東代表、GTAによれば、海外に向けた映像の権利を購入したのは、坂東代表の言葉にもあるとおり、2019年にセパンでのナイトレース開催を目指しているマレーシアのハロ・スポーツ&エンターテインメント社。今季すでに英語のライブコメンタリーブースが作られており、第1戦岡山については録画で、第2戦以降はライブで放映を希望している。
映像の権利をもっているのはGTA、日本で放映しているJ SPORTSだが、これに加え、今後はハロ・スポーツ&エンターテインメントが英語のライブ映像を制作し、海外に向けて権利を販売したいという状況だという。ヨーロッパで映像配信が復活するかは、ハロ・スポーツ&エンターテインメントがどう欧州で販売し、ヨーロッパのテレビ局や配信会社が受け入れていくかになりそうだ。
とはいえ、今季はDTMドイツ・ツーリングカー選手権との『スーパーGT/DTM特別交流戦~日欧6メーカーによる史上初の競宴~』もあり、ヨーロッパに向けた認知度向上のために、GTAとして費用をかけてヨーロッパでネット配信をするのか等、今後ドライバーたちの意見をはじめ、さまざまな可能性も含めて検討していく状況だという。
GTAとしてもビジネスとして、スーパーGTというコンテンツをどう世界中に広めていくかは懸案だ。ただもちろん「ドライバーが望むから」だけで費用をかけるわけにはいかないだろう。ヨーロッパをはじめとした映像配信については今後の課題だが、まずは英語のライブコメンタリー映像については、マレーシアを中心として、ハロ・スポーツ&エンターテインメントが映像を販売する地域では進むことになりそうだ。