4月14日現地時間午後2時10分、F1第3戦中国GPの決勝が行なわれメルセデスのルイス・ハミルトンが優勝を飾った。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは4位、ピエール・ガスリーは6位に入賞している。
決勝日となる日曜は、朝からどんよりと曇っていたものの気温は高く19度、しかし路面温度は29度までしか上がっていない。暑くなればソフトタイヤのタレが大きくなり2ストップ作戦の可能性が高まるが、金曜フリー走行より低いコンディションではソフトタイヤが想定の15~18周以上に保つ可能性も出てきた。
FP3のクラッシュでクラッシュしモノコック交換を行なったアレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)は、規定によりピットレーンスタート。パワーユニットの全6コンポーネントを今季2基目の新品に交換、ギヤボックスも新品に交換している。Q1でトラブルに見舞われタイムを記録することなく終わったアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)は19番グリッドからのスタートが認められた。こちらはCE((コントロールエレクトロニクス))のみ今季2基目の新品に交換している。
Q3に進出しなかった11番グリッド以下はジョビナッツィとアルボンを除き全車がミディアムタイヤを選択。その2台と6番手ガスリーから10番手ロマン・グロージャン(ハース)までの5台のみがソフトタイヤのスタートとなった。
フォーメーションラップの低速コーナーからの立ち上がりでガスリーとロバート・クビサ(ウイリアムズ)がスピンを喫するなど、リヤ挙動のナーバスさがすでに明らかになる。
スタートではイン側のハミルトンとシャルル・ルクレール(フェラーリ)が好加速を見せ、それぞれ真っ直ぐ進んでターン1までに首位、3番手に浮上する。後方ではターン6の立ち上がりでダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)がカルロス・サインツJr.(マクラーレン)と接触してマシンが跳ね上がり、着地したところにいたランド・ノリス(マクラーレン)が跳ね飛ばされてダメージを負いピットイン。サインツもフロントウイングを壊しておりピットインを強いられた。
上位は首位ハミルトン、2番手ボッタス、3番手ルクレール、4番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、5番手フェルスタッペン、6番手ガスリーというオーダーのまま膠着状態となる。3番手ルクレールは4番手ベッテルからプレッシャーを受けペースアップの指示を受けるが思うようにペースが上げられない。
中団トップは7番手ダニエル・リカルド(ルノー)、8番手セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、9番手ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、10番手グロージャンとなった。しかし後方からキミ・ライコネン(アルファロメオ)が追い上げを見せ4周目には10番手まで浮上してくる。
14番手まで落ちたクビアトは6周目のターン6でランス・ストロール(レーシングポイント)のアウト側に並びかけるが止まりきれず。また1周目の接触に対してドライブスルーペナルティを科されてここで実質的にレースを失ってしまった。
10周目にルクレールに対して「ペースアップできないならセバスチャンをいかせる」という指示が出され、ルクレールはペースを上げて抵抗してみせたものの翌周のターン1でベッテルが前に出て3番手に上がる。2秒後方にはフェルスタッペンが迫ってきている。ベッテルはターン14で左フロントをロックさせてしまい、その後ターン6でもロック。こちらもペースが上がらなくなってしまい、今度はルクレールが「大きくロスしている」と順位の再スワップを訴える。
9周目にケビン・マグヌッセン(ハース)が先陣を切ってルーティンのピットインを行ない、11周目にヒュルケンベルグも続きアンダーカットを阻止するもののグロージャンに抑え込まれてしまう。しかしヒュルケンベルグは16周目に突然ピットインしてリタイアとなった。
17周目にフェルスタッペンがピットインし、ハードタイヤに交換。ライコネンの前方8番手でコースに復帰した。フェラーリは翌周ベッテルをピットインさせアンダーカットを防止。ベッテルはギリギリでフェルスタッペンの前に戻るが、19周目のターン14でフェルスタッペンがインに飛び込む。
フェルスタッペンは右フロントをロックさせオーバーシュートしてしまい、ターン14出口でもなんとか並びかけようと食い下がるがベッテルにダートに押し出されるようなかたちで追い抜きはならず。ルクレールはレース終盤にフレッシュなタイヤでプッシュすべく、第1スティントをできるだけ引っ張る戦略に切り替えた。
21周目にボッタスがピットインして余裕をもってベッテルの前の実質2番手でコース復帰。首位ハミルトンは翌周ピットインしてライバルたちと同じくハードタイヤに履き替えて首位のままコースに戻る。
ルクレールも22周目にピットインしハードタイヤに交換。フェルスタッペンの後方5番手に復帰。しかし、第1スティントを引っ張っている間にフェルスタッペンとの差は11秒に開いてしまった。
25周目にライコネンがピットインし、マグヌッセンの後ろ11番手で戻るがすぐにライコネンがパスして10番手に浮上した。中団は7番手リカルド、8番手ペレス、9番手グロージャン、10番手ライコネンがそれぞれ2秒前後の差で続く。ライコネンは28周目のターン14立ち上がりでグロージャンに並びかけてパスし9番手へ浮上。11番手マグヌッセンの2秒後方にはジョビナッツィをパスしたアルボンが上がり、29周目にはターン6でインに飛び込んでタイヤが10周古いマグヌッセンを攻略した。
34周目にフェルスタッペンが2回目のピットストップを行ないミディアムタイヤに交換。これを見てフェラーリも翌周ベッテルをピットインさせフェルスタッペンのはるか前でコースに復帰させる。ベッテルは37周目に1分34秒836のファステストラップを記録し、後方のフェルスタッペンを10秒以上と大きく引き離す。
メルセデスAMGは36周目に首位ハミルトンと2番手ボッタスを同一周回にダブルピットインさせる。ハミルトンの作業時にややもたついたものの、ハミルトンはルクレールの前で首位のままコース復帰。ボッタスはルクレールの後方、ハミルトンの5秒後方でコースに戻った。ボッタスはルクレールに抑え込まれてなかなか抜くことができずタイムロス。ルクレールはボッタスとベッテルに抜かれ42周目にピットインしてミディアムに交換。クビアトはピットに戻りリタイアを選択した。
5番手ルクレールは、前のフェルスタッペンより1周1秒以上速いペースで追いかけていく。しかしフェルスタッペンもペースを上げて寄せ付けない。
ハミルトンは最後までレースを大きくリードし、トップでチェッカードフラッグを受け今季2勝目を飾った。6秒遅れて2位ボッタス、12秒差で3位ベッテル、27秒差で4位フェルスタッペン、ルクレールは31秒差で5位。そして前も後ろも大きく離れて一人旅のガスリーは53周目にピットインしソフトタイヤを履いてタイムアタック。55周目に1分34秒742を記録してベッテルのタイムを0.094秒上回りファステストポイント1点を獲得した。後方は7位リカルド、8位ペレス、9位ライコネン、10位アルボンという結果になった。