4月14日、岡山国際サーキットで行われているスーパーGT第1戦のなかで行われたGTA定例記者会見で、GTアソシエイションの坂東正明代表は今季、ホンダNSX-GTに搭載されることになったミッドシップハンデについて、今後の重量の増減の可能性は否定したものの、開幕の2戦を終えてハンデウエイトの搭載位置の変更の可能性があることを明かした。
今季のGT500、現行規定に則しているFRのレクサスLC500、ニッサンGT-Rは最低重量1020kgに定められ、MRのホンダNSX-GTはミッドシップハンデとして最低重量が1049kgと、LC500、GT-Rに比べて29kg重い参加条件となった。昨年の開幕戦でのNSXは1034kgであったことから、昨年比では15kg増となっている。
この件について、第1戦岡山のGTA会見で坂東代表が見解を述べた。
「NSXの今季の最低重量は1049kgとなります。ミッドシップハンデは2014年に、JAF日本自動車連盟とのマニュファクチャラー部会で決めたプラス29kgというものがあるので、それはいかなることがあっても変えるつもりはありません。このNSXはJAF-GTなので、クラス1レギュレーションのマシンとは空力の開発ができるところ、冷却の部分で少し違う。それを考慮してもしなくてもウエイトについては、29kgを変えないというところで、1049kgからスタートしています」
今年発表された参加条件では、NSX-GTには「ただし、GTAが指定するバラストウエイトを指定位置に搭載しなければならない」という追加条件が加えられている。
「重量配分や空力のバランスもあるので、そこを合わせなければいけないが、重配は決してFRとミッドシップで合うことはない。その状況でやることに対してはフロントの荷重、指定位置について29kgのうち今、GTAが指定しているのはフロントのハブセンターより前にウエイトを積むことを指定しています」と坂東代表。
「できあがったクルマにウエイトを搭載して、しかもハブセンターより前に積めと言っているので、ほとんどスペースがない状況で積んでいます。そのため、このミッドシップハンデのウエイトにはスチール(鉄)、鉛ではなく、(鉄の約2.47倍の質量がある金と同等の)タングステンの使用を認めて積んでおり、より小さくしてある。モータースポーツではF1以外にタングステンの使用はないと思います。それに封印用のワイヤーをかけてきちんと確認をして積んでもらってます」とさまざまな制約と状況を鑑みての決定だったことを明らかにした。
さらに、ウエイトの重量は変えることはないものの、指定した搭載位置やフロントに搭載するハンデ重量について、今後の変更があることを明らかにした。
「29kg全部がハブセンター前に積んでいるわけではありません。29kgのうち、GTAが定めたウエイトをハブセンター前に積んで下さいと言っている。そしてこの岡山の中低速、富士の高速で確認したのち、(ハブセンター前に搭載するハンデの重量を)変更する場合もあるという状況下です」
フロントのハブセンター前、いわゆるフロントのオーバーハング部は当然、車体の前後バランスに大きな影響を及ぼす部分であり、そのわずかな増減はNSXのパフォーマンスに大きく影響することになる。ハブセンター前のバラストウエイトが軽減されるのか、または増加されるのか。そして、開幕2戦を終えての変更をホンダ陣営がどこまで意識して、岡山戦、富士戦を戦うことになるのか。この開幕2戦のNSXのパフォーマンスが嫌が応でも、その後の今シーズンのGT500の戦いに影響することになる。