トップへ

まるりとりゅうが、有華、由利華、ユアネス黒川……インスタで話題のアーティストに注目

2019年04月14日 13:11  リアルサウンド

リアルサウンド

 今や音楽で夢を追う若者たちがアピールする場として主流となっているのが、動画投稿型SNSの世界。その中でも最近はInstagram(以下、インスタ)からの発信で注目されているアーティストが増えている。そこで今回は、インスタから人気者となったアーティストを何人か紹介してみたい。


(関連:男女ボーカルユニット・まるりとりゅうが、なぜインスタライブで人気に?


 インスタは、今年2月のデータ(参照:https://www.oricon.co.jp/news/2132888/full/)では国内のアクティブユーザー数は2,900万人ほどで、世界では昨年月間アクティブユーザーが10億人を突破する画像共有サービスのトップランナーだ。動画の視聴者数が多いというだけでも、アーティストにとって利点である。インスタのストーリーにアップできる動画は1分だが、インスタ上でリアルタイムでフォロワーに対し動画を配信できる機能(通称:インスタライブ)がある。最高で1時間のライブ配信が可能で、スマホ一つで簡単にできるのが特徴。ライブ配信を開始するとフォロワー全員に通知が届き、配信中にユーザーはコメントやハートを送ったりすることでき、配信者と実際に会話しているような距離感でコミュニケーションがとれる。それだけ友達のような関係になると、実際に入場料金を取るライブ会場でのライブにフォロワーが駆けつけることが多く、固い集客力に繋がっている。


・まるりとりゅうが


 そんなインスタライブを活用して一躍有名となったのが、まるりとりゅうが。モデル並みの愛くるしいルックスと抜群の歌唱力を持ち、同世代から大きな支持を集めているSNSの歌姫・MaRuRiと、高校時代ニューヨーク留学中からSNSで自作の楽曲を投稿したことをきっかけに国内外より反響を得て活動の場を広げる現役慶應大学生・Ryugaによるユニットだ。Twitterに流れてきたRyugaオリジナルソング「好きなのに」を聴いて、MaRuRiが「カバーしたい」とリプライし曲をカバーしたことがきっかけでコラボが始まり、2人でインスタライブを始めると人気が爆発。インスタライブには同時視聴者数が3,000人以上を集めるほど、誰よりも先に”インスタライブ=まるりとりゅうが”というイメージを定着させ、現在も毎週木曜日21時頃からインスタライブ配信している。2018年11月20日に『気まぐれな時雨』でメジャーデビューを果たした。個々に実力があるだけに、2人の歌声の美しさと絶妙なハーモニーが最高に心地良い。


・有華


 インスタにはもう一つの動画機能として、IGTVという長尺の縦型動画が楽しめる単独アプリ動画投稿ツールが昨年6月に登場。今までインスタではできなかった1分以上の動画投稿が可能になり、将来的にYouTubeに代わる動画メディアとしても期待されている。そんなIGTVにも投稿し人気を獲得しているのが、大阪出身のシンガーソングライター・有華。「日常にサプリソング(寄り添う歌)を」をモットーに活動し、ピアノによる弾きうたいを得意とし、美しい顔立ちにも関わらず明るく飾り気のないキャラが話題を呼びフォロワー数は現在約12万。かつてはオーディションやライブをしても観客が少なく、また親との約束によって内定も決まっていた(参照:https://www.oricon.co.jp/news/2132888/full/)。2015年から始めたインスタでフォロワーが増え、ライブをすればソールドアウト。まさに埋もれていた才能がインスタで見出されチャンスを掴んだ一人だ。人生に一度の結婚式に花を添えれるようにと作られた「Wedding Song」や、相手に変わって欲しいのなら自分も変わろうというメッセージが込められた「あなたもね」など、誰もが経験する日常的な出来事を歌うオリジナル曲によって女性を中心に支持されていった。


・由利華


 続いては、武道館単独ライブを目標に、渋谷・原宿の路上で歌う神戸出身21歳のシンガーソングライター・由利華。全国で旅をしながら路上ライブを行ったり、インスタで毎日カバー曲を2年半以上続けてアップし、2019年3月10日には1000日継続達成記念ワンマンライブを行うなど、ハートの強さで人気を集めた実力者で努力家。アコースティックギターを相棒に、力強くも透明感がある綺麗な歌声は、欅坂46「黒い羊」まで自分の色に染めてしまう実力を持つ。またオリジナル楽曲は彼女の素直な気持ちを歌ったものが多く、まさに吟遊詩人と呼べる存在だ。彼女にとってのインスタは、SNS上での路上ライブをしているような感覚なのかも知れない。


・ユアネス黒川


 ユアネス黒川は、KANA-BOONやサカナクションのマネージメントを担う音楽レーベルHip Land MUSICに所属する2019年期待の4人組ギターロックバンド、ユアネス。BUMP OF CHICKENやRADWIMPSを彷彿とさせる彼らは、福岡を拠点に活動。その後、Hip Land MUSICによる新人発掘プロジェクト・xsprout.より初の全国流通作品をリリースし、活動拠点を東京へ移す。そんなユアネスのギターボーカルである黒川は、個人でインスタで歌の動画を投稿している。ひたすらアコギで繊細かつ甘い声で切なげにカバーソングを歌い上げ、彼もまたその優しい歌声で女性たちの心を掴んでいく。黒川の場合は、インスタやTwitterなどで弾き語りの動画が拡散させ人気者となり、その人気をバンドに還元するという、ある意味新しい時代におけるバンドのプロモーションになっている。ドン・キホーテのテーマ曲も彼が歌うと甘く切ない曲に聞こえてくるから実力は本物。ユアネスの曲がノスタルジックでセンチメンタルなものが多いのも、インスタで上げる黒川の歌声や曲のチョイスを知ると頷ける。


 TikTokのイベントでナオト・インティライミも指摘していたが(参照:https://www.oricon.co.jp/news/2132888/full/)、SNSの投稿動画は、誰でも気軽に投稿できるのが利点であり、オーディションに参加したり、音楽事務所にデモテープを送る努力をしなくても、自分の部屋からプロモーションができるというのは、音楽業界において一つの革命である。ただ、間口がとても広い分、逆に相当の実力や個性を持った人でないと、スルーされ埋もれてしまう確率も高い。今回紹介したインスタで有名になったアーティストたちは、それだけ本物であるという証拠だ。とはいえ、たった一人でも引っかかれば、そこから拡散されバズる可能性もある。やはり誰にでもチャンスがあり夢が掴める世界なのが、インスタ動画に限らず動画投稿型SNSの面白いところだと思う。(本 手)