4月14日、スーパーGT第1戦岡山が開催されている岡山国際サーキットで、毎戦スーパーGT開催時に行われているGTA定例記者会見の場で、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表が、11月23~24日に予定されている『スーパーGT/DTM特別交流戦~日欧6メーカーによる史上初の競宴~』について触れた。
2009年から車両規定統一化に向けて話し合いが続けられてきたスーパーGT GT500クラスと、DTMドイツ・ツーリングカー選手権。その両者に参戦するマシンたちが競い合う歴史的なイベントが2019年11月23~24日に富士スピードウェイで開催が予定されている。
そのレースに向けた現在の進捗状況について坂東代表は「富士スピードウェイとプロジェクトチームを作り、そのなかで粛々と物事を調整している。向こうも開幕戦が5月に始まるが、タイムスケジュールやスポーティングレギュレーション等、基本的なレギュレーション作りの話し合いを、合間を縫いながらやってきている状態」と語った。
DTMはスプリントフォーマットで、スーパーGTはセミ耐久。当然DTM側のマシンをGT500に合わせようとすれば車両改修も必要になる。坂東代表によれば、この交流戦はDTMのスプリントでのレギュレーションに近づけるようなかたちで進める形になりそう。これに沿って、10月に開催されるホッケンハイムでのDTM最終戦には、ホンダ、レクサス、ニッサンの1台ずつが参加する予定だ。
また、坂東代表はDTMにタイヤを供給しているハンコックについて、「DTM車両が国内、国外で走る場合は、ハンコックを使わなければいけない契約がある」のだと明かした。当然それに従うと、DTM車両は11月の富士でもハンコックを履かなければならない。タイヤコンペティションがあるスーパーGT用のタイヤは当然ハンコックよりもラップタイムが速いため、「現在の状態だと、交流戦をする場合はハンコックとなる(坂東代表)」とGT500車両もハンコックに合わせることになりそうだ。
これをにらんだものが、富士スピードウェイでの公式テストの際に行われたハンコックを装着したテストだ。富士スピードウェイは海外にもほとんどない1.5kmのロングストレートをもつコースで、GT500の場合300km/h以上の最高速が出る。これにハンコックタイヤが対応するかを確認する意味もあったようだ。
このテスト実現に向けては、DTMを運営するITR e.Vを通じてハンコックにタイヤ供給を依頼。ホンダ、レクサス、ニッサンの3社に依頼するかたちで、RAYBRIG NSX-GT、KeePer TOM'S LC500、MOTUL AUTECH GT-Rの3台がテストを行った。当然ながら各車は各タイヤメーカーとの契約もあることから、装着したハンコックタイヤのサイドラベルを外すなどの配慮がみられた。
「各メーカーからは3台がテストに参加しましたが、それぞれチーム、マニュファクチャラー、タイヤメーカーと契約があるなかでのテストになりました。今の契約のことも大事ですが、次の世代に向けた、先に進めるために協力してもらったテストです」と坂東代表。
「ある意味異例と言えば異例のテストでした。ただ坂東がやることですから、異例はつきものかなと(苦笑)。しかしこのテストで、ひとつ先に進められたと思う。協力してもらった皆さんには大変感謝しています」
今後詳細が決まっていくにつれて、GTA等から交流戦に向けた詳細が明かされていくはずだ。スーパーGT、DTM、そしてファンも大きな期待を寄せているシーンの実現まで、あと半年ほどだ。