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フォーミュラE第7戦ローマ:初ポールのロッテラーは表彰台獲得。エバンスが逆転で初優勝

2019年04月14日 07:11  AUTOSPORT web

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スタートシーン
4月13日、2018/19年ABBフォーミュラE選手権第7戦がイタリアのローマで開催され、ミッチ・エバンス(パナソニック・ジャガー・レーシング)が自身初優勝。2位にはアンドレ・ロッテラー(DSテチーター)が入った。

 昨年に引き続き開催されたローマE-Prixは、シーズン中2番目のコース距離で争われる。決勝レース前の降雨によって、ウエットとドライ路面が混在する難しい状況でレースは行われた。

 アタックモードのアクティベーションゾーンは登り坂区間が始まるターン6のイン側に設置、レース中に2度使用でき1回4分稼働する。

 ポールポジションは日本でもお馴染みのロッテラー。予選アタックの最中にオーバーランを喫するも圧倒的な速さを披露し、フォーミュラE参戦19戦目にして自身初のポールを獲得した。

 2番手にはここまで苦戦続きだったジャガーのエバンス、ホセ・マリア・ロペス(ジェオックス・ドラゴン)が3番手、ストフェル・バンドーン(HWAレースラボ)が4番手に付ける。

 このレースが参戦50戦目となるニッサンのセバスチャン・ブエミ(ニッサン・e.ダムス)は6番手、前戦の三亜E-Prixで2位表彰台を獲得したオリバー・ローランド(ニッサン・e.ダムス)は10番手からのスタートに。

 現地時間16時過ぎ、決勝レースがスタート。ロッテラーが見事なスタートを切り、1コーナーを先頭で通過。後方ではブエミが4番手まで順位をあげた。

 一方で、マキシミリアン・ギュンター(ジェオックス・ドラゴン)が路面の影響かスピンを喫しウォールに接触、フロントカウルが外れてしまう。最終コーナーではサム・バード(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)もスピン。後方から接触を受けリヤカウルにダメージを負ったが、両者とも走行を再開した。

 各所でバトルやトラブルが発生するなか、2周目には多重クラッシュが発生。ターン16でロペスがスピン。ウォールに接触してストップしたロペスに、後方からゲイリー・パフェット(HWAレースラボ)が避けきれず接触。ジャン-エリック・ベルニュ(DSテチーター)も止まりきれず追突してしまう。

 3台がコースを完全に塞ぎ、マシン回収のためレース開始3分で赤旗中断となった。パフェットは足回りを痛めたようでリタイア。ベルニュを始めカウルなどに破損があったマシンはこの間にピットレーン上で修復を受け、レース復帰へ準備を整える。

 約50分間の中断を経てロッテラーを先頭にエバンス、バンドーン、ブエミの順に残り42分からセーフティカー(SC)先導でレースは再開。この4台はアタックモードを使わず、一方で後方の数台は稼働させるなど戦略が分かれる。
◼️ロッテラーとエバンスの一騎打ちはファイナルラップまで続く



 首位のロッテラーは徐々に後方との差を広げ始める。その後方ではアタックモードを使う5番手のロビン・フラインス(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)が、前を走るブエミを攻め立てるも結局追い抜きはならず。

 そのブエミは8周目に、その翌周にはバンドーンもアタックモードを稼働。バンドーンはロッテラーとエバンスの背後まで迫り、3者は等間隔でレースを展開していく。

 13周目、フェリペ・マッサ(べンチュリ・フォーミュラEチーム)のマシンにトラブルが発生しコース上にストップ。これによりフルコースイエロー(FCY)が導入された。

 すぐにFCYは解除され、首位ロッテラーと2番手エバンスとの差は0.5秒で推移し、レースは後半戦へ。エバンスは残り20分を切った17周目にアタックモードを稼働し勝負に出る。

 ロッテラーはアタックモードを使わず、巧みなブロックラインを取りながらエバンスの猛攻をしのぐ。両者はテール・トゥ・ノーズだがクリーンなバトルを展開する。

 アタックモードが残り1分を切ったエバンスは、19周目の最終コーナーのブレーキングでロッテラーのインに飛び込みトップに浮上。20周目にはロッテラーもアタックモードを稼働し首位奪還へと向かう。

 トップ争いをするエバンスとロッテラーは、3番手バンドーンに2秒以上の差をつけ、レースはふたりの一騎打ちの様相に。

 ファステストラップを刻むも1度目のアタックモードでの追い抜きが叶わなかったロッテラー。24周目に、ふたたびアクティベーションゾーンを通過しエバンスを追う。 

 左右にマシンを振り、時よりブレーキスモークを上げて猛追を見せたロッテラーだったが、4分間のアタックモードが終了。トップを奪えなかったロッテラーだが、エバンスのテールに張り付き、虎視眈眈と追い抜きのチャンスを伺う。

 ラスト2周、両者のバッテリーが5%前後に推移し、エバンスのピットからは「ペースを落とせ」という指示が飛ぶ。

 エバンスはロッテラーを抑えたまま、バッテリー残量が2%とギリギリの状態でマシンをフィニッシュラインまで運び、フォーミュラE初優勝を飾った。今シーズン7人目の勝者の誕生だ。

「ジャガーにとってタフな時期が続いていたので、勝ててよかったよ。ロッテラーの追い抜きは難しかったのでラスト1回のアタックモードで一発勝負にかけていたんだ。ジャガー最初の勝者になれてうれしく思う」とエバンス。

 2位は序盤からエバンスとのバトルを展開したロッテラーが、昨年のローマE-Prix以来のポディウムに。3位のバンドーンは、これがフォーミュラE参戦後初の表彰台を獲得した。

 ロッテラーは「抜けなかったのは残念だったけど、いいバトルができてよかった。チャンピオンシップポイントを考えれば、今日の順位は良い結果だと思うよ」とコメント。
 
 ニッサン勢はブエミが5位、ローランドが6位と2戦連続のダブル入賞。またブエミはファステストラップを記録しボーナスポイントを獲得した。

 これで7戦が終了した今シーズンのフォーミュラEは、これまでポールシッターとレース勝者がそれぞれ7名誕生する大混戦に。次戦は4月27日にフランス、パリで開催される。