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『東京独身男子』は学びの多いドラマに? 高橋一生×斎藤工×滝藤賢一、“AK男子”三者三様の魅力

2019年04月13日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 高橋一生、斎藤工、滝藤賢一という人気、実力ともに兼ね備えた3人が“あえて結婚しない”という価値観をもったアラフォー男子を演じるドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日系)が本日4月13日よりスタートする。ちょうど1年前の春に放送され、8月には映画公開も控えている『おっさんずラブ』と同じテレビ朝日系「土曜ナイトドラマ」枠で、魅力的な男性俳優らによるラブコメディということでも大いに注目が集まっている。


 女性の適齢期問題に関するドラマは数々あれど、50歳まで一度も結婚したことのない男性が4人に1人になったという現代の、今までにない独身男性の赤裸々な恋愛観・結婚観を窺うことができそうだ。


参考:高橋一生と滝藤賢一は“KD男子”? 『東京独身男子』会見で明かした本音の結婚観


●枠にとらわれず表現の幅を広げていく高橋一生


 まず、高橋一生演じる主人公の石橋太郎(38歳)は、メガバンク勤務で料理上手な常識人。高橋自身も、バラエティ番組に出演した際など、パンやラーメンを本格的に手作りしていることなどを明かし、料理などにもこだわりがありそうだ。そして、器用な彼はここ最近、風変わりな人物を魅力的に演じてきた。


 3月1日に公開された映画『九月の恋と出会うまで』では小説家志望のまさに風変わりな男・平野進を演じ、主演ドラマ『僕らは奇跡でできている』(カンテレ・フジテレビ系)では、常識や固定観念に縛られない言動で周囲をざわつかせる変わり者の大学講師・相河一輝を演じた。


 メガバンクに勤め、地に足の着いた生活を送る組織人である太郎という男を高橋一生がどう演じるのか。独身を謳歌しつつ、恋愛や結婚の壁に打ち当たるアラフォー男子を体現するというのも、とても新鮮な気がする。


 また、持ち前の分析力と観察眼があればこそ、仕事で敵を作ることもなく世渡りができるが、恋愛にはその観察眼が邪魔をしてうまく物事が進まないというのもリアル。単純に、彼なら「そうそう、こんなラブコメが観たかった」というツボを確実に押さえてくれる安心感もある。


 そして、エレファントカシマシの宮本浩次が作詞作曲プロデュースした本ドラマの主題歌「きみに会いたい -Dance with you-」で高橋一生の歌声まで聴くことができるとは。まさに変幻自在、枠にとらわれることなく表現の幅を広げていける人なのだ。


●ユニークさとセクシーさのバランスが絶妙な斎藤工


 表現の幅を広げていける人という意味では、本作でバツイチの審美歯科クリニック院長・三好玲也(37歳)を演じる斎藤工も負けてはいない。俳優としての活躍に留まらず、映画監督、写真家としての活動、最近ではお笑いのセンスにも評価が高まる。


 高橋一生の声に男の色気を感じるという人は多いが、斎藤工もまたセクシーな要素を兼ね備えている。


 普通の“歯医者さん”ではなく、審美歯科クリニック院長という役柄の設定も妙に納得。人の心の奥底を覗きこむようなセクシーな目をした男がモテないはずがない。


 2014年のドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)でそのセクシーな容姿が注目されたが、サービス精神旺盛なところ、懐の深さには驚かされる。初の長編監督作『blank13』(2018年)に主演したのが高橋一生で、斎藤とは兄と弟を演じていたが、映画を通しで斎藤が独特の視点で家族、笑い、人生についてとらえ、それを表現していこうとしていることを感じた。彼もまたバランス感覚に優れた、ユニークな個性の持ち主なのだ。


●実生活では“KD男子”の滝藤賢一


 一方、滝藤賢一が演じる岩倉和彦(45歳)は、大手弁護士事務所のボス弁。太郎と三好にとっては“よき兄貴”的な存在として描かれる。同じ弁護士でも、そのポジションによって格差は生じているようで、経営を担うボス弁と呼ばれる弁護士はいわゆる勝ち組のようだ。


 記憶に新しいところで、滝藤は3月に最終回を迎えた日曜劇場『グッドワイフ』(TBS系)では正義感が強い東京地方検察庁特別捜査部員の佐々木達也を印象的に演じた。2018年放送のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』では、愛情豊かな優しいお父さんの顔を見せ、同年ドラマ『探偵が早すぎる』(日本テレビ系)では、犯罪を未然に防ぐユニークな探偵を演じている。


 シリアスからコメディまで幅広い作品で活躍し、実生活では「AK(あえて結婚しない)男子ではなく、KD(子だくさん)男子」(本人談)。愛妻家の、良いパパであることでも知られる滝藤が、どんな独身貴族ぶりを見せてくれるのか楽しみだ。


 結婚しようと思えばできる“あえて”結婚しない男子というのは、経済的基盤があることが前提となっている。やりがいのある仕事があって、お金があって、健康で友だちもいる。そのうえ、高い家事能力と最新の家電、没頭できる趣味もあれば結婚しなくても充実した毎日を過ごせるという。果たして彼らは変わっていくのか、それとも変わらないままなのか。価値観が多様化する現代において、視聴者にとっても学びの多いドラマになりそうだ。(池沢奈々見)