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「バカな人は動物と思え」ひろゆきが教えるメンタル術 『自分は自分、バカはバカ。他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』

2019年04月13日 09:30  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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巨大掲示板「2ちゃんねる」の元管理人「ひろゆき」こと西村博之氏が4月6日、『自分は自分、バカはバカ――他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』(SBクリエイティブ)を上梓した。ひろゆき氏は「ニコニコ動画」の開設者で、現在はフランス在住。英国圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理者でもある。

メディアに姿を見せるたび、人を見下した言動をとることでも知られる著者だが、本書でもその態度は文面にありありと感じられる。というより、それをあえて自ら推奨し、冒頭からこう飛ばす。

「僕は、周囲にいる人たちを基本『見下しモード』でながめています。『自分は自分、バカはバカ』と考える。このモードでいると、他人に攻撃されてもそんなに気にならず、ストレスフリーで過ごすことができます」

この心の持ちようは、言い換えれば「人間観察モード」であり、他人との間にはっきり線引きをすることで、嫌な感情に振り回されることが無くなるという。いわば「心の持ち方のコツ」をつかんで、気分よく生きていこうと薦めている本だ。(文:篠原みつき)

職場のバカに振り回されない護身術「あえて前に出ろ」


厄介な上司や同僚などに攻撃的な対応をされたとき、体育会系の職場で理不尽ないびり対象にされてしまったときは、異動願いを出す、転職するなどさっさと逃げることが得策だ。だが、現実はそう簡単に逃げられないことも多い。

著者が薦める対策は、「安全に歯向かう」ことだという。物理的に「前に出る」ことが効果的だというのだ。

例えば殴られるケースでは、1度殴られた時点で相手に一歩近づくと、攻撃側は思わずひるんでしまう。言葉の攻撃でも同じで、相手に言い返すのではなく、「謝りながら相手との距離を詰めていく」のが最強で、即効性があるそうだ。「目をそらさない」ことも有効とのこと。他の人がやらない意外な行動をとると、相手は生理的に恐怖感を覚え、面倒くさいヤツと思われて距離が取れるという。

さらに著者は、

「バカな人に出会った時は、相手を人間ではなく、ただの動物としてみなしましょう。『この動物に襲われないためにはどうすればいいか』と考えてみる。そうやって考え方を切り替えてみると、冷静に対処ができます」

とも言い放つ。確かに相手が動物だと思えば、意思の疎通ができないことにも腹は立たない。これで職場の雰囲気が良くなるわけではないが、わが身を守ることでストレスが減れば、心の余裕ができて次の対応が考えられる。

ストレスフリーの仕事術「良い職場」と「悪い職場」はマッチング次第

給料がなかなか上がらない時代。スキルアップしなくてはと考える人は多いが、著者は、「スキルアップにかかるコスト」を考えろと諭す。英語にしてもプログラミングにしても、今まで興味があったらとっくにやっているはずだ。ゼロからはじめて仕事で差ができるほどスキルアップできるか疑問なのだから、「目に見えないスキル」を磨く方がいいという。

それは、「職場でうまくやっていくスキル」である。同じ能力やスキルがあっても、相性のいい職場なら「こいつはできる」とされ、相性が悪ければ「使えないやつ」とレッテルを貼られてしまう。

「つまり、『いい職場』と『悪い職場』があるのではなくて、結局は『自分に合っているかどうか』なのですよ。ノリがいい人も、体育会系文化の職場だと好かれるでしょうが、文化系の職場だと面倒くさい奴と思われるかもしれませんね」

あのGoogleにしても、人材採用の決め手は相性だという。スキルアップに励むのもいいが、まずは職場と自分の相性をよくする、または相性がいい所を探すほうが有効だ。職場によっては、例えばゲームセンスなど、一見何の役にも立ちそうにないスキルが役立つことがある時代なのだ。

著者は、今いる職場で認められていない、力を発揮できないと感じているなら、若いうちにガンガン転職して自分の適性を確かめるといいと薦める。将来を思って不安になるより、自分が具体的に今できることを考えるほうがいいのだ。なお、いきなり会社を辞めるより、転職サービスなどに登録し、自分の「時価」を知っておくと良いとも言う。常にしたたかに、ハードルを越えるのではなく、うまく賢くかわす術を推奨している。

生真面目で優しすぎる若いビジネスパーソンにオススメ

本書はたびたび、「自分の思い通りになる部分」と「ならない部分」を明確に分けよと強調する。全体を通して、一見勝手な持論を展開しているようでいて、アンガーマネジメントやメンタルヘルスの手法と共通することが多い。恐らく、メンタルの強い人には自ずと身についている術なのだろう。

職場の人間関係に悩んだときの対処法をはじめ、SNSでの他人との距離の取り方や、今後日本で生き残る人材像、生き残る産業なども、著者独自のまったく気を使わない言葉で、ときに小気味良くわかりやすく教えてくれる。

もしあなたが、生真面目で優し過ぎて周囲に振り回されてばかりの若いビジネスパーソンなら、これくらいスパイスの効いたものを読んで図太く生きて欲しいと感じる一冊である。