2019年04月13日 08:41 リアルサウンド
主力商品「Nintendo Switch」によってゲーム業界における唯一無二の地位を確立しつつある任天堂は、12日、またしても独創的な新商品をリリースした。この新商品をレビューした複数の海外メディアの記事では、魅力とともに課題も指摘されている。
(参考:『Nintendo Labo: VR Kit』本日発売! 自分だけのVRゲームを発明できるように)
■ついに任天堂がVRに対応
任天堂が12日にリリースした新商品『Nintendo Labo VR KIT』とは、Nintendo Switch本体とダンボール素材の部品を組み合わせてプレイするコンテンツを提供する「Nintendo Labo」シリーズの最新キットである。商品名に「VR」を冠していることからわかる通り、このキットを使えばVRコンテンツを楽しめるようになる。同キットの基本的な構造は、「Google Cardboard」のようにSwitch本体をダンボール製のゴーグルに挿入してVRコンテンツをプレイする、というもの。しかし、ダンボール部品を使ってVRコンテンツを現実世界に拡張するところにこそ、同キットの真骨頂がある。
同キットの魅力を端的に表現しているのが、同梱されている「バズーカ」だ。このコンテンツをプレイするには、ゴーグルに加えてバズーカ部分を組み立てる必要がある。組み立てが終わると、バズーカとゴーグルが合体したような形状となる。するとゴーグルからVRのゲームステージを見ながら、バズーカで銃弾を発射するVRシューティングゲームが出来るようになる。バズーカのほかにもダンボール製の羽根を合体させて楽しむフライトシミュレーション「トリ」、ゾウの鼻を合体させてVR空間内でペイントする「ゾウ」といったものが用意されている。
先行してリリースされたLaboキットと同じように、VRキットにもプレイヤーがVRコンテンツを自作できる「Toy-ConガレージVR」も用意されている。当然ながら、ガレージVRで遊ぶのにプログラミング言語の知識は一切必要ない。
■長く遊べるのはガレージVR
VRキットに関しては、すでに多数の海外メディアがレビュー記事を公開している。以下では、そうしたレビュー記事において指摘された同キットの良い点を紹介する。
「部品の組み立てを説明するSwitchのアニメは分かりやすく丁寧だ。組み立てる作業は折り紙のように感じた。それは直観的で魔法のようでもある。しかし、やはり組み立てには時間がかかる」(The Next Web)
「バズーカのプレイがVRキットで楽しめるベストな時間だ…ゲームで操作できるキャラクターの速度はゆっくりしていながらも手堅く進行し、過度に難しくもなくVR酔いもない。ハイスコアを目指していると時間を忘れてプレイしてしまう」(Nintendo life)
「ゾウの鼻は3Dペインティングにおいてペイントブラシのように使う。わたしはアーティストではないが、次のゲームをプレイする前にイヌに似たようなものを作ることができた」(Gamerader)
「(ROBOT KITのような)ほかのLABOキットと同じように、真に長く遊べるのは自作コンテンツが作れるToy-ConガレージVRだ」(DESTRUCTEDID)
Toy-ConガレージVRに関しては、すべてのメディアが任天堂の独創性をよく表したものと評して称賛している。
■ハイラルでずっと遊べる?
以上のように評価される一方で、欠点も指摘されている。以下では、指摘された欠点を紹介する。
「ミニゲームはみんな興味深かったが、すぐに飽きてしまった」(The Next Web)
「プレイヤーが見ているVRディスプレイをテレビ画面で見ることができないというVRコンテンツ全般に見られる閉鎖空間的な性質のせいで、プレイしていないヒトはゲームから切り離されているようにように感じてしまう」(Nintendo life)
「(VRキットを持ち続けていると)とても疲れてしまい長時間プレイすることはできない。わたしはOculus Riftで何時間もプレイできるが、VRキットはそうはいかない。」(DESTRUCTEDID)
「わたしは『スーパーマリオ オデッセイ』と『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(下の動画参照)がVR対応したらプレイするつもりだが、長時間快適にプレイできるかどうか心配している。」(Gamerader)
以上のように、複数のメディアが長時間プレイに関する懸念を表明している。今月26日にゲーム前編VR対応するゼルダに関しては、長時間プレイができないようだと美しく造形された(ゲームフィールドである)ハイラルを堪能できなくなってしまい、VR対応の意味も薄れてしまうのだろう。逆に言えば、VR対応版ゼルダが長時間プレイに耐えうるものとなれば、Nintendo SwitchはVR対応ゲーム機として高く評価されることになるだろう。
(吉本幸記 )