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『インハンド』山下智久、紐倉哲役は“意外と重なる”? 原作とは異なるストーリーにも注目

2019年04月13日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 山下智久が主演を務めるドラマ『インハンド』(TBS系)が、4月12日よりスタートした。


参考:『インハンド』山下智久、一見クールだが情熱的な男はハマり役? 濱田岳との掛け合いにも注目


 本作は『イブニング』で連載中の朱戸アオによる同名マンガが原作。簡潔に言えば、「科学×医療×ヒューマンミステリー」がテーマの新たなドラマだ。山下が演じる紐倉哲は、巨大な研究所に暮らす、天才だが変人の寄生虫学者。トレードマークの義手の右腕はとある過去のためだという。


 紐倉のもとにやってくる内閣官房サイエンス・メディカル対策室の牧野巴(菜々緒)、後に紐倉の助手となる医師の高家春馬(濱田岳)の3人がメインキャストとして、事件を解決していく物語。「シャーガス病」「ロマーナサイン」「トリパノソーマ」「センメルヴェイス」といった難解な医療用語が連発するが、分かりやすい図式やテロップにて、初心者にも見やすい演出がなされている印象だ。


 第1話での注目は主人公となる紐倉、そしてそれを演じる山下の演技だ。「私、平気ですよ。変態」と宣言し牧野は紐倉の研究所に向かうが、そこで待っていた彼は予想以上の“変態”だ。女性に向かって下品なことを平気で言い(山下智久がこの言葉を言っていることもすごい)、顕微鏡を覗きながら「可愛いね~セクシーだね~」と寄生虫を愛で、敬う。例えば、デビューシングル『抱いてセニョリータ』を代表するように、山下智久のイメージといえばその妖艶さがあげられるが、そこに変態性を併せ持つ役柄はこれまでなかったのではないだろうか。


 もちろん、変態性だけが紐倉のキャラではない。『インハンド』放送直前に出演していた『ぴったんこカン・カン』(TBS系)の中で、山下は「失って乗り越えてきた人は、人の心に寄り添える」と紐倉が持つ魅力を語っていた。紐倉が事件の犯人に説くのは、「どんな生き物にも未来はある」ということ。内部告発により医者を懲戒解雇になった高家にも、紐倉は先人の功績があり僕らは生きていること、そして「未来は僕達の手の中にある」と“未来”を見据えながら、同時にどこか影を感じさせる。


「紐倉は意外と重なるんです。僕は光を求めて生きているところがあって、それは逆に言うと自分の中に『陰』の要素があるということ。その『陰』は、紐倉と同質のものだと思います」と、山下は語っている(『イブニング 2019年9号』より)。


 飄々とした変態性が「陽」とするならば、義手を第一に彼のベールに包まれた過去が「陰」。「光を求めて」という山下の発言は、紐倉の「未来は僕達の手の中にある」というフレーズをイメージさせる。山下と濱田岳が共演した2007年放送『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)や山下の代表作の一つである『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)のように、“意外と重なる”という紐倉を、『インハンド』という作品を山下のものにしていけるかが今後の見どころだ。


 また、『インハンド』の原作マンガは2018年にスタートし、現在第10話。前身となる作品を合わせても全3巻のみとなっている。それ故に、オリジナルの要素が強く、原作者の朱戸も山下らとの対談で「もう3人は私の手を離れて自由に動き回っている存在です」と感想を明かしている。ドラマオリジナル脚本が放つ、原作とは異なるストーリー、メッセージ性にも注目だ。(渡辺彰浩)