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企業が付けるアベノミクスの点数「61.8点」 「利益を出しやすくなった」「中小企業にとっては景気が良いとは思えない」

2019年04月12日 07:10  キャリコネニュース

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帝国データバンクは4月11日、「2019年度の業績見通しに関する企業の意識調査」の結果を発表した。調査は今年3月に実施し、対象企業2万3181社中9712社から回答を得た。業績見通しに関する調査は2009年に始まり、今回で11回目。

安倍政権による経済政策「アベノミクス」について、現在までの成果を100点満点で評価してもらった。企業からの評価は平均61.8点。1年前より0.6ポイント減少し、2年連続で点数は低下している。

「企業は利益を上げているが消費者の購入意欲は低いまま」(生ゴム・ゴム製品卸売、25点)

企業からは、

「バブル崩壊後、実態の有無にかかわらず、"景気の高揚感"を感じさせた」(ビルメンテナンス、広島県、100点)

「安倍政権に代わってから、今日に至るまで確実に利益を出しやすくなった。全業界の人手不足がその証明だと思う」(古紙卸売、福岡県、99点)

という声が寄せられた。一方、「企業は利益を上げているが、消費者の購入意欲は低いまま」(土地売買、広島県、75点)という声や、

「中小企業にとっては景気が良いとは思えない。求人難であり、一人当たりの仕事量が増えている」(生ゴム・ゴム製品卸売、東京都、25点)
「恩恵は大企業のみ。中小企業は雇用悪化、販売価格の抑制、仕入単価の上昇に直面している。受注量(売上高)は増えるが、利益は減少している」(一般食堂、群馬県、10点)

など中小企業や地方においてアベノミクスの効果が実感できないという声もみられた。

2019年度の業績見通しを聞くと、「増収増益(見込み)」と回答した企業は24.8%。2018年実施の前回調査の2018年度見通しから4.5ポイント減少した。「減収減益(見込み)」(21.8%)は5.1ポイント増加している。

「増収増益」の減少幅より「減収減益」の増加幅の方が大きく、前回調査より「増収」「増益」を見込む企業が減少しているなど、2019年度の業績はやや厳しい見方となっている。2018年度実績見込みも「増収増益」が29.9%、「減収減益」が22.5%となり、2017年度実績見込みより悪化した。

業績見通しを下振れさせる材料「人手不足の深刻化」が4割

2019年度の業績見通しを従業員数別にみると、1000人超の企業では39.2%(前年46.6%)が「増収増益」を見込んでいる。一方、5人以下の企業では22.7%(同24.8%)となった。業績見通しでの大企業と中小企業の規模間格差は前回調査より縮小しているが、2019年度の業績は中小企業だけでなく大企業においても鈍化が進むと予想される。

業績見通しを上振れさせる材料で最も多かったのが「個人消費の回復」(27%)で、前回より6ポイント減少したものの8年連続でトップ。次いで「消費税率10%への引き上げを控えた駆け込み需要」「公共事業の増加」「東京五輪需要の拡大」「人手不足の緩和」が続く。

一方、2019年度の業績見通しを下振れさせる材料は、「人手不足の深刻化」(39%)が最も多かった。前回調査とほぼ同水準の結果で、引き続き労働力の確保・維持に強い危機感を持っている様子が伺える。

次いで、「中国経済の悪化」「個人消費の一段の低迷」「消費税率引き上げによる消費低迷」「米国経済の悪化」が続いた。企業からは、「消費税増税の影響、中国経済悪化により内需・外需とも弱くなると推測」(貸事務所、東京都)との声が上がっている。