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NHKホール、改修工事のため2021年3月から休館へ 代わりとなりうる同規模会場は?

2019年04月11日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 NHKホールが2021年3月から2022年6月まで、改修工事のため休館する。


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 渋谷区神南に位置する同会場は1973年に運用開始。総座席数は3,601席で、パイプオルガンが設置されているほか、客席に携帯電話抑止装置があることも特徴的だ。年末の風物詩『NHK紅白歌合戦』や夏恒例の『思い出のメロディー』に加え、『うたコン』(全てNHK総合)の生放送も毎週行われている。また、サッカーワールドカップのパブリックビューイング、NHK交響楽団の定期公演やオペラコンサートのほか、サザンオールスターズや山下達郎、THE ALFEEなど数々の有名アーティストが公演を行なってきた会場としても知られる。


 今回の改修工事は耐震性を高めるほか、設備更新が目的だという。2021年に運用開始から50年を迎えることとなり、より長い期間使用していくためにはこのタイミングでの工事が必要不可欠だったということだろう。工事期間中にあたる2021年12月の『紅白歌合戦』は東京国際フォーラムで開催。NHKホール以外で『紅白』が行なわれるのは、1972年の東京宝塚劇場からの放送以来となる。現在同会場で製作・放送している番組も別会場を検討中だという。


 およそ1年4カ月の改修工事期間中、代わりとなりうる同規模会場はTOKYO DOME CITY HALL(3,190人)、中野サンプラザ(2,222席/2024年度前後に解体予定も)、2019年内に新装オープンが予定されている渋谷公会堂(1,956人)などが考えられる。『紅白』会場となる東京国際フォーラムホールAは5,012人とNHKホールより収容人数はやや多いが、使用される可能性は十分にありそうだ(ちなみにホールCは1,502人)。改めて見ると3,000人ほどのキャパシティで着席スタイル、かつ都心にあるホールというのは意外に少なく、NHKホールの重要性を実感する。


 過去に『うたコン』プロデューサーであり、『紅白』チーフプロデューサーの経験も持つ原田秀樹氏にインタビューした際、NHKホールを「私たちにとっては非常に意味のある会場です」と語っていた。クラシックからJ-POP、ロックバンドまで幅広いアーティストがステージに立ち、国民的番組である『紅白』を長年放送してきたNHKホールは、アーティスト側のみならず、制作者側にとっても武道館同様に“聖地”と言えるだろう。近年では横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナなどで改修工事が行なわれたほか、9月からは日本武道館も改修予定。NHKホールの改修発表は、新たな会場が次々と生まれる一方で、古き良き会場を守るための動きも進んでいることを改めて示しているようだ。(村上夏菜)