モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第8戦ブリストル
スタート直後の接触から怒涛の追い上げで
カイル・ブッシュが今季3勝目!
“世界最速のハーフマイル”ブリストルで行われたNASCARカップ・シリーズでは、スタート直後に接触されてポジションを落としながらも猛烈な追い上げをみせたカイル・ブッシュが今季3勝目を達成し、エクスフィニティ・シリーズではトヨタ・スープラを駆るクリストファー・ベルが終盤の逆転で今季2勝目を挙げました。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第8戦 Food City 500
開催日:4月7日
スタート直後の接触から怒涛の追い上げで
カイル・ブッシュが今季3勝目!
4月7日(日)、米国南部テネシー州ブリストルのブリストル・モーター・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第8戦Food City 500が開催されました。
60年近い歴史を持つブリストルは、カップ・シリーズが行われるコースのなかでマーティンズビルに次ぐ短さの1周0.533マイル(約860m)ショートオーバルですが、最大28度とハイバンクなため平均速度も高く、“世界最速のハーフマイル”と呼ばれる難コースです。このコースはカイル・ブッシュが得意にしており、過去7勝を挙げています。
7日(日)14時3分に0.533マイルショートオーバルを125周、125周、250周の3ステージ合計500周(266.5マイル:約430km)して競われる決勝レースのスタートが切られました。
スタートしてすぐの2周目に入ったところで、17番手と中団でのスタートとなったカイル・ブッシュが後続から接触されてスピン。車両後部にダメージを追い、修復のためのピットインで24位へとポジションを落としてしまいました。
ステージ1は、4番手スタートのエリック・ジョーンズと5番手スタートのデニー・ハムリンが一時首位を争いますが、エリック・ジョーンズは突然のタイヤトラブルに見舞われ予定外のピットイン。僅か15秒で1周してしまうブリストルではこのロスは大きく、エリック・ジョーンズは2周遅れとなってしまいました。
一方、23番手と後方からのスタートとなったマーティン・トゥルーエクス・Jr.と、カイル・ブッシュの2台は着実にポジションを上げていき、ステージ1はカイル・ブッシュが6位、トゥルーエクス・Jr.が9位でポイントを獲得しました。
ステージ2でもカイル・ブッシュとトゥルーエクス・Jr.が速さをみせ、トゥルーエクス・Jr.は2位へと浮上しましたが、ステージの終盤、タイヤホイールの緩みにより予定外のピットインを強いられ、首位をうかがえる位置から一気に2周遅れへと大きく後退。カイル・ブッシュは5位でステージ2を終えました。
ステージ3は序盤、トップ5圏内を走行していたカイル・ブッシュが、中盤のイエローコーション(何らかの障害による全車スロー走行指示)時に素早いピット作業によって2位へと順位を上げると、再スタートで首位を奪取。ライバルとサイド・バイ・サイドでの首位争いを繰り広げました。
残り90周を切ったところでスピン車両によるイエローコーションが出され、全車ピットへ。トップ10圏内まで浮上していたハムリンがピットロードでのスピード違反ペナルティを取られてしまいましたが、この時点で首位と同一周回車両が17台しかいなかったため、その最後尾、17位で再スタートを切ることとなりました。
トヨタ勢で唯一上位に残ったカイル・ブッシュは首位争いを続け、一旦はライバル勢の先行を許しますが、残り23周というところでイエローコーションが出されると、ライバル勢がピットへ向かったのに対し、カイル・ブッシュは実兄のカート・ブッシュ(シボレー)とともにコース上に残る作戦を採り、ブッシュ兄弟がワン・ツーで最前列に並んで残り14周での再スタート。
この兄弟同士でのバトルを制し、タイヤを交換したライバルからも逃げ切ったカイル・ブッシュがトップでチェッカーを受け、今季3勝目を挙げました。この勝利でカイル・ブッシュはシリーズ通算勝利数を54とし、通算勝利数記録で10位タイに並びました。
ハムリンは終盤粘りの追い上げを見せて5位フィニッシュ。カイル・ブッシュとともにドライバーズランキングでの1、2位を守っています。
次戦第9戦は4月13日(土)、アメリカ東部バージニア州リッチモンドのリッチモンド・レースウェイで行われます。
ドライバーコメント:カイル・ブッシュ
「勝利を目指し戦う、ただそれをやっただけです。ライバルの追撃を退け、大好きなここブリストルで勝てて本当にうれしいです。最後は兄と楽しいバトルができました。ブリストルの観衆の前での勝利は格別です」
NASCAR XFINITY SERIES
第7戦 Alsco 300
開催日:4月6日
クリストファー・ベルが今季2勝目
4月6日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第7戦Alsco 300がブリストル・モーター・スピードウェイで開催されました。
今季、同シリーズにトヨタは新型車両スープラを投入。開幕からここまでの6戦中4勝という速さを見せています。この4勝のうち3勝を挙げているカイル・ブッシュは今大会出場せず、トラック・シリーズに今季よりシリーズレギュラーとして出場している18歳のハリソン・バートンがスポット参戦でエクスフィニティ・シリーズへのデビューを果たしました。
6日(土)13時16分、0.533マイルショートオーバルを85周、85周、130周の3ステージ合計300周(159.9マイル:約260km)して競われる決勝レースのスタートが切られました。
同シリーズでのデビュー戦ながらトヨタ勢最上位の予選5番手グリッドを獲得したハリソン・バートンがトップ5圏内を争い、ステージ1は4位。8番手スタートのクリストファー・ベルは序盤、壁に軽くヒットしポジションダウンも追い上げ7位。ブランドン・ジョーンズも13番手スタートから10位でステージ1を終え、ポイントを獲得しました。
ステージ2では、ピット作業で3位へと大きく順位を上げたベルが再び壁にヒットしポジションを落とすも粘りの追い上げ3位、ハリソン・バートンが8位、ブランドン・ジョーンズが9位と連続で3台揃ってのポイント獲得。
ステージ3は、2位で再スタートを切ったベルが、この日レースを支配していたライバル勢に追いつくと、僅差のバトルの間にぎりぎりで割って入る素晴らしい追い抜きを見せ、首位に立ちました。
ハリソン・バートンは7位走行中にタイヤのパンクに見舞われ壁に接触。これにより出された残り40周を切ってのイエローコーションで、首位のベルはピットへ向かいましたが、5位につけていたブランドン・ジョーンズが逆転を狙ってコースに残る作戦を採り首位浮上。
ブランドン・ジョーンズとベルが最前列に並んで残り32周で再スタートが切られ、当初はブランドン・ジョーンズがリードしていましたが、交換したタイヤの優位性を活かしたベルが残り18周で逆転。ブランドン・ジョーンズはその3周後に壁にヒットしタイヤをパンク。イエローコーションが出されないなかでのピットインを強いられてしまいました。
ベルはそのまま首位をキープし、第2戦以来となる今季2勝目を挙げました。トヨタ・スープラは今季5勝目。また、ベルは昨年夏のブリストル大会で惜しくも2位に終わった雪辱を果たすとともに、今大会設けられているエクスフィニティ・シリーズのレギュラードライバー4名によって賞金を争う“ダッシュ4キャッシュ”も制し、10万ドルの賞金を獲得しました。
ハリソン・バートンは、接触で順位を落とすも終盤追い上げ10位でチェッカー。エクスフィニティ・シリーズのデビュー戦でトップ10フィニッシュを果たしました。
次戦第8戦は4月12日(金)、リッチモンド・レースウェイで行われます。
ドライバーコメント:クリストファー・ベル
「ここブリストルでの初勝利と、ダッシュ4キャッシュボーナスを獲得できて最高です。スポンサーやトヨタ、TRD-USA、そしてチームの全員に感謝します。我々のトヨタ・スープラは本当に速かったです。ここ(ビクトリーレーン)に立てるのもこの素晴らしいチームのおかげです」