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MALIA.さん「4度目の離婚報告」に反発の声も なぜバッシングはうまれる?

2019年04月11日 11:11  弁護士ドットコム

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モデルのMALIA.さんが、4度目の離婚を発表し、様々な声があがっている。今回、MALIA.さんは、2017年11月に結婚した元Jリーガーの三渡洲舞人と離婚した。三渡洲さんとの間に子どもは1人、過去に結婚相手との間にも3人の子どもがいる。


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MALIA.さんは4月1日に自身のブログで、離婚を報告した。するとネットでは、「離婚を4回もするマリアの体力と精神力がほんまにすごい」という声や、「そんなに簡単に結婚と離婚を繰り返すな」「子供は毎度パパが変わって可哀想」など、心ないコメントも多く見られた。



しかし本来、結婚も離婚も日本では自由だ。複数回の結婚や離婚は、何か法的な問題はあるのだろうか。3度の離婚を経験した原口未緒弁護士に聞いた。



●「子どもがかわいそう」は違う

ーーお祝いの言葉もありましたが、アンチの声も多数ありました。典型的なのが「子どもがかわいそう」というものです。



私の親も離婚しています。なので「子どもがかわいそう」という声に対しては、離婚家庭の子どもの立場で反論をしたいと思います。



まず「離婚=子どもがかわいそう」は、「違う」と否定できます。同じく、親の離婚を経験した方々に聞いてみても、同様の意見が多いのです。



どうしてだと思いますか。



もちろん、両親が仲良しという家庭であれば、離婚する必要なんてありません。でも、不仲な場合はどうでしょうか。



親が離婚せず、家庭内別居、口をきかない、喧嘩ばかりしている不安定な状態は、子どもにとって安心できる家庭ではありません。であれば離婚をして、親自身が幸せな安定した状態であることが、子どもにとっても何よりも安心して、幸せなのではないでしょうか。



●「早く離婚してくれればよかった」

ーー昔に比べれば、離婚に対する偏見は減ったとはいえ、まだまだ「両親と子どもがいるのが標準家庭」という固定観念が強いのかもしれませんね



私も物心がついたときから親が不仲で、夫婦とはこういうものだと思ってきました。ところが成長するにつれ、仲のよい友達の親などをみて困惑したことがありました。



さらに14歳の時に、離婚の理由となるできごとが起こったのですが、その後25歳頃まで親の別居、離婚調停、離婚訴訟が続きました。その度に母の悩みを聞いたり涙を見たり、両親が争っているのを見て本当につらい思いをしました。



両親の離婚が成立し、それまでの戦争状態が終わってしまうと、「なんだ、こんなもんだったのか、それならば早く離婚してくれればよかった」と、静かになった両親を見て思ったものでした。



●「我慢をせず、積極的に新しい環境、よりよい関係を」

ーーもう1つ、MALIA.さんに対しては、子どもを複数の男性との間にもうけることに対する批判も向けられました



本来は自由意志での結婚、離婚であり、かつどのような環境で子どもを育てるかは、それぞれの家庭のあり方があってよいものです。



子連れ再婚(再々婚など含む)に対しても、「子どもがかわいそう」と言う人はいますよね。でも不仲な両親や子どもに愛着のない親よりも、我が子と同じように優しくかわいがってくれる新しい親のほうが、よっぽど子どもにとっては愛情が得られる対象です。



何より子どもは、親が幸せであってくれることが何よりの幸せなのです。だから、母親が大好きな男性と一緒に幸せに暮らしているのであれば、それを見ている子どもも一緒になって幸せを感じられるのです。



子どもは柔軟ですから、新しい環境に馴染むのも大人よりも早いです。もちろん、新しい親や環境に知らず知らずのうちに我慢してしまうこともあるかもしれません。



MALIA.さんのように我慢をせず、積極的に新しい環境、よりよい関係を求めて、離婚や再婚をすることは、むしろお子さんにとってもいいとも言えるのではないでしょうか。



●偏見は「害悪」、もっと寛容の精神を

ーーそもそも、どうして人の離婚や再婚に対して、こんなに批判の声があがってくるのかも不思議です



日本では最近でこそ、離婚歴のある人や家族も珍しくなくなってきました。とはいえ世代や地域によっては、離婚や再婚に関して、否定的な見方や偏見があるように感じます。



「離婚は悪いことだ」「子どもがかわいそう」という偏見により、悪い家庭環境や夫婦関係をズルズルと続けている人もいます。こうした偏見は、害悪なのではないかと思います。



アンチの意見を言う方は、おそらくそういった古い価値観や固定概念を捨てきることができず、MALIA.さんのような自由な価値観、行動力を羨ましく感じて意見を言うのではないでしょうか。



自分が夫婦関係に我慢をしていたり、離婚はしたいけれど無理と諦めているような方の中には、自由なMALIA.さんを批判することで、自分を慰め、言い訳にしているのだとも思います。



日本人は、もっと個人の価値観、人生のスタイルなどが自由であってもよいはずです。固定観念に縛られているなと思った人は、MALIA.さんの勇気と決断力と行動力を見習ってみてはどうでしょうか。



またもし、夫婦関係に悩んでいる方なら、自分がもしMALIA.さんのように離婚できるとしたら、どう行動するだろうか、と想像してみてください。



その上で離婚しないと選択するならば、それはあなたの価値観であり、単にMALIA.さんとは違うということ。人は、人。自分は、自分。価値観が多様化している現代なのですから、寛容の精神で人と接し、自分も認めてもらいたいですね。



(弁護士ドットコムニュース)




【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京護士会所属。心理カウンセリング・ヒーリングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)

事務所名:弁護士法人 未緒法律事務所
事務所URL:http://mio-law.com