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WRCプロモーター、2020年ラリー・ジャパン復活に「極めて楽観的」。FIAの新たな枠組みも後押しか

2019年04月10日 10:51  AUTOSPORT web

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4月6日の記者発表イベントに登場したオリバー・シースラ(中央)。左には新井敏弘の姿も
4月6日に行われたセントラル・ラリー愛知2019(仮)の開催発表にあわせて、WRCプロモーターのオリバー・シースラが来日。2020年のWRC世界ラリー選手権日本ラウンド“ラリー・ジャパン”のカレンダー入りに「極めて楽観的」との見方を示した。

 2019年の開催を目指し招致活動が行われてきたラリー・ジャパンだったが、2018年10月に発表された2019年カレンダーには含まれず。現在は2020年のカレンダー入りに向けて招致活動が続けられている。

 2019年にラリー・ジャパンが復活しなかったことは日本のファン、招致活動を行うWRC日本ラウンド招致準備委員会にとってはもちろんだが、WRCプロモーターにも衝撃的な報せだったという。

 WRC日本ラウンド招致準備委員会の高橋浩司氏によれば、これをきっかけにWRCプロモーター側からFIAへ問題提起が行われ「(WRCの)戦略としては存在していた“選手権をワールドワイドに広めよう”という考えを、ルールとして、2020年のヨーロッパラウンドは8戦、それ以外は6戦という枠組みにする決議が成されたようだ」とのこと。

 シースラも「ヨーロッパ圏外のラウンドを増やすという点で、FIAとは合意に達している」とコメントし、新たな枠組みができたことを認めている。

 2019年の暫定カレンダー発表時、ラリー・ジャパンがカレンダー入りできなかった理由のひとつとして、海外メディアなどでは当初コスト面で開催が見送られるとされていたツール・ド・コルスが残留したことが要因とされていた。

 しかし、2020年に向けて新たな枠組みが生まれたことで、ラリー・ジャパンはヨーロッパラウンドではなく、おなじアジア圏や南米のイベントとカレンダー入りを争うことになり、この点はラリー・ジャパン復活へ有利に働きそう。

 また、シースラは「カレンダーにはバラエティを持たせたい。サファリラリーや砂漠でのイベント、(ラリー・スウェーデンに続く)ウインターラリーも開催したいと考えている」と述べている。

「こういったイベントは、世界選手権として開催されているWRCだからこそ提供できる。この目標を達成するためにはヨーロッパ圏外でホストを務める国が必要なんだ」

「その一方で、予算やロジスティックスなどの問題から、年間のラウンド数を急激に増やすことは難しい。だから、2020年も年間14戦に留めたいと考えている」

「ラリー・ジャパンは先に述べた我々の基準をすべて満たすイベントであり、個人的にはラリー・ジャパンのカレンダー入りを極めて楽観的に捉えている。悲観的になる理由がないんだ。次にWMSC(世界モータースポーツ評議会)が発表する暫定カレンダーには、ラリー・ジャパンも名前を連ねるはずだ」

「(開催国を)ヨーロッパ圏外に広げるという戦略はWMSCから承認を受けている。だから、2020年にカレンダー落ちするのはヨーロッパ圏内のイベントになるはずだ」

「選手権にとっては厳しい選択になる。(ヨーロッパでのラウンドは)我々の成長を支えてくれたイベントではあるが、今後の戦略も踏まえて、ヨーロッパ圏外のイベントには、スロットを取っておくべきだと考えている」

 現在、ヨーロッパ圏外のイベントでWRCカレンダー入りしているのはメキシコ、アルゼンチン、チリ、オーストラリアの4つ(トルコはヨーロッパ圏内にカウントされている)。

 この4イベントが継続開催されると仮定すると、残る席はふたつで、ここをケニアのサファリラリー、ニュージーランド、そしてラリー・ジャパンで争っているとみられる。

 ただし、ケニアについてはWRC開催に必要なリハーサル“キャンディデートイベント”を現時点で開催していない。ニュージーランドはキャンディデート開催を免除されているが、WRC開催に立候補しているかは不透明な状況だ。

 一方、ラリー・ジャパンは2018年11月に新城ラリーをキャンディデートとして開催済み。これらを考慮すると、現時点ではラリー・ジャパンが2020年カレンダー入りへ向けて、一歩リードしていると見てよさそうだ。

 次回のWMSCは6月14日、フランス・パリで開催される予定で、ここでWRCの2020年暫定カレンダーも発表される見込みだ。