3月31日に行われたMotoGP第2戦アルゼンチンGP決勝レースは、2018年の王者マルク・マルケスが独走で優勝するという結果だった。そんなアルゼンチンGPを二輪ロードレース専門誌『ライディングスポーツ』が分析。アルゼンチンGPではマルケスがすべてのセッションで行った周到な準備が独走優勝に繋がったという。
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第2戦アルゼンチンGPでレプソル・ホンダ・チームのマルク・マルケスは、フリー走行2回目(FP2)と出走しなかった予選Q1を除く全セッションでトップタイムを記録していた。
決勝では1周を終えて、2番手以下に約1秒というリードを築くと、その後、ただひとり1分39秒台を連発。周回ごとにさらにリードを広げ、25周のレースの折り返し点となる13周目には約9秒、終盤には最大約12秒のリードを取ると、最終ラップは余裕のクルージングで、2位のバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)に9秒816の差をつけて独走で優勝した。
マルケスはアルゼンチンGPの舞台となるテルマス・デ・リオ・オンドで、2014年と2016年に優勝しており、2018年を除く、6シーズンで5回ポールポジションを獲得している。このことからも、テルマスは、マルケスにとって得意なコースと言えるだろう。
ただ、2015年の決勝ではバレンティーノ・ロッシとのトップ争い中に接触転倒。2018年は不安定な天候によるスタートの混乱のなか、グリッドでエンジンが止まり、すぐに押し掛けで再始動できたものの、この再始動のプロセスに対してライドスルーペナルティを取られた。
さらにマルケスは、ペナルティ消化後の追い上げ途中に、やや強引にロッシのインを突いた際に接触、ロッシをアウト側のグラベルに押し出す形で転倒させてしまう。これが危険走行と判断され、レース結果に30秒のペナルティを取られ、最終的に18位となるなど、マルケスにとって因縁のあるコースでもあった。
■最初から独走狙いの準備を見せたマルケス
2019年のマルケスは、フリー走行1回目(FP1)から決勝に向けて準備を整え、初めから独走で勝ちをねらっていたように見えた。FP1では前後ソフトタイヤ1セットで18周を走り、最終ラップに1分39秒827のベストを記録。FP2ではフロントのミディアムとハードを試し、セッション8番手に終わったものの、フリー走行3回目ではフロントにハードとソフト、リアはミディアムとソフトの組み合わせを試しながら、3回目のコースインで前後ソフトのニュータイヤを履くと、1分38秒台を連発した。
予選Q2直前のフリー走行4回目では1回目のコースイン直後にトラブルに見舞われるという計算外の出来事があったが、マシンを乗り換えてトップタイムを記録。そして、Q2ではアタック2回目でミスしたものの、3回目のアタックでウイーク中の最速ラップとなる1分38秒304を記録してポールポジションを獲得した。他のライダーが2回のアタックでQ2に臨んだなか、マルケスは当初から3回のアタックを行なう予定だったとのことだ。
そして、決勝朝のウォームアップセッションは雲が低くたれこめ、天候の変化も予感させるセッションとなった。ほとんどのライダーがスリックでコースに出たなか、マルケスは前後ウエットタイヤを履いてコースイン。おそらくこれは決勝が天候の急変でフラッグ・トゥ・フラッグになることを想定して、ウエットタイヤの皮むきを行なったのではないかと思われる。
このように、アルゼンチンGPのウイーク中、マルケスはすべてのセッションで周到な準備を行なっていた。それが、決勝での圧倒的な独走につながったのだ。
決勝を終えたマルケス「今日は完ぺきな一日になった。今大会は、FP1から集中してきたが、すべてがうまくいった」と次のようにレースを振り返っている。
「FP4でちょっとした問題があったが、プッシュし続けた。決勝では、序盤の5周のペースが誰にも負けないことがわかっていたから、そこで全力を出した」
「周回するごとに、後続との差が1秒、2秒、3秒と広がったのを確認し、そこからは自分のリズムで落ち着いて走った。そのあとも、少し力を抜いてプッシュしたけど、マシンのフィーリングはとてもスムーズで、タイヤとマシンをうまくコンロトールすることができたよ」
次戦の第3戦アメリカズGPは、マルケスが得意とするサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)が舞台となる。COTAでは2013年から6連勝を飾っており、2019年も優勝候補の最右翼ということが言える。