元F1ドライバーのジョリオン・パーマーは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルがミスを繰り返していることについて、4度のチャンピオンとしては“受け入れがたい”ことであり、明らかにベッテルのプレッシャーは増していると話した。
前戦バーレーンGPでは、ベッテルはルイス・ハミルトン(メルセデス)とホイール・トゥ・ホイールのバトルを繰り広げていたが、その際スピンを喫して表彰台を手放してしまった。
今回のミスは、2018年にベッテルがハミルトンとのタイトル争いで優位な立場に立っていたものの、自分のミスでレースを台無しにしてしまった時に見られたような状況とよく似たものだ。
ベッテルがこの10戦で4度のスピンをしていることから、彼の立場や、プレッシャーに耐える能力を疑問視されることは避けられないとパーマーは考えている。
パーマーはBBCのコラムで、以下のように述べた。
「バーレーンGPでのベッテルのスピンは、アマチュアのようだった」
「またこのスピンは、2018年シーズン終盤の3度のミスとは異なるものだった。というのも、今回はコーナーの出口でのスピンであり、コーナーの進入やエイペックスで押し出されたものではなかったからだ」
「しかしスピンの理由は同じだ。つまり、彼がバトルの真っ最中にパニックに陥ったのだ」
「状況は厳しかった。非常に強い風の影響で、F1マシンのバランスが大きく乱れた。マシンはダウンフォースを生み出す完璧な空気の流れを作り出せるかどうかに左右されるので、このせいで状況は厳しくなり、ドライブは予測不可能なものとなった」
「それに加えて、バーレーンでは砂漠風によってトラック上に砂が運ばれてくることがある。ダウンフォースが安定しないことだけでなく、(砂が原因で)グリップが減ることも同様に問題だった」
「だが、これはスピンに対する下手な言い訳だ」
「もしバックマーカーのルーキーがベッテルと同じやり方でスピンをしたら、レース後に笑いものにされるだろう。4度のチャンピオンとしては、そんなミスをするなんて考えられないはずだ」
「ミスが起きてしまった。これは昨年のイタリアGPから数えて、10レースで4度目だ。チャンピオンシップに挑戦するドライバーとして、明らかに受け入れられない流れだ」
この流れに逆らうことがベッテルの唯一の救済策であり、今シーズンは絶対にこれ以上のミスを避けなければならないとパーマーは考えている。
「ただ単にベッテルは懸命に仕事に取り組み、一貫して結果を出さなければならない。最終戦アブダビGPの決勝レースが行われる12月1日にチャンピオンになりたいのであれば、基本的にはシーズンを通して二度とスピンをしてはならない」
「口で言うことは簡単だが、実際にそれを行うのは難しい。次のホイール・トゥ・ホイールのバトルの時にベッテルのアウト側にマシンがいたら、彼はミスに注意しなければならない。だが用心深くなりすぎてしまうと、一巻の終わりだ」
「お人よしだとみなされたら、他のドライバーがすぐにその人を肘でどかして進んできたり、後ろからものすごい勢いで追いかけてくるだろう。自分がもっとアグレッシブになってリスクを負えば、彼らはそうならないようにするはずだ」