ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)は、優勝を手にすることができずスーパーバイク世界選手権(SBK)第3戦アラゴンを終えた。開催された3レースで2位を獲得。アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)の先行を許し続けている。
アラゴンラウンドのレース1を、レイは思わぬポジションから迎えることになった。スーパーポールで獲得したグリッドは10番手。4列目という後方スタートだ。バウティスタを追いかけるには、あまりに遠い位置からスタートを切らなくてはならなかった。
スーパーポールで10番手に沈んだのは、ピットアウトのタイミングを誤ったことが原因だったという。
「スーパーポールではチームも僕もミスを犯した。僕たちは予選用のタイヤで2周するつもりだったんだけど、コースインするのが少し遅くなってしまったんだ。それから最初のラップでミスをしてしまい、セクター1では最後のアタックのためにタイヤを節約しようとしたんだけど、1回目のアタックのタイムが、予選タイムになった」
しかし、レイはレース1で後方から追い上げのレースを見せる。4周目には2番手に浮上すると、チャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)やアレックス・ロウズ(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)などと2番手争いを展開。オーバーテイク合戦を繰り広げながら、最終的には2位表彰台をもぎとった。
この表彰台獲得にはレイも満足だったようで、「今日の結果はベストだ。10番手からスタートして、最大限の結果を達成したよ」と語っている。
しかし一方でバウティスタとの差には、「トップ(バウティスタ)との差が大きすぎるのには、少しばかりがっかりしている」と不満をにじませた。このレースで、バウティスタは2位のレイに対し、2019年シーズン最大となる15秒以上の差をつけて優勝していた。
翌日行われたスーパーポール・レース、そしてレース2でも、レイは2番手争いに終始する。ふたつのレースでは異なる戦略を用いたようだが、レース2ではロウズやデイビスの速さにより、レイの思惑どおりとはいかなかったという。
「考えていたよりも、日曜日は厳しかった。特にスプリントレース(スーパーポール・レース)の終盤では、リヤのトラクションを大幅に失ったんだ。序盤に力を入れすぎたためだと思う」
「レース2では、最初は飛ばさないように決めていたのだけれど、アレックス・ロウズやチャズ・デイビスがいいペースでやってきたものだから、少し焦ってしまったんだ。そして、レオン(・ハスラム)も浮上してきた。それで、僕はペースを上げざるをえなかったし、節約していたタイヤを使うことになった」
そんなレースのなかで、レイはカワサキZX-10RRの有利な点を見出している。
「僕たちのバイクは、長いコーナーでトラクションを得ることができるようだ。コーナーの入り口ではそれほど悪くない」
SBKの序盤3ラウンドが終了し、レイは2位を9回獲得。優勝こそ挙げることはできずにいるものの、優勝に次ぐベストリザルトを獲得し続けているとも言える。
3ラウンドごとに見直される予定となっているバイクの回転数制限を考えれば、次戦オランダからはバウティスタが駆るドゥカティ パニガーレV4 Rの回転数上限が引き下げられる可能性が高い。第4戦オランダで、レイの巻き返しなるか。