ディップは4月4日、「正社員就業に関する意識調査」の結果を発表した。調査は3月上旬に実施。47都道府県在住で、現在非正規雇用で働いている15~59歳の社会人男女9365人から回答を得た。
このうち、正社員の就業を希望する人は64.1%。うち68.8%は不本意で非正規雇用になった訳ではないが、「なれるなら正社員になりたい」と答えた。
正社員での就職を希望している人を対象に、「現在、正社員の仕事で働けていない理由について」を聞いた。1位は「年齢が壁になり採用されなさそう」(23.4%)、2位は「転職活動したが、採用されなかった」(23.3%)、3位は「正社員就業を希望していない」(21.9%)だった。以降、「経歴が不安」(19.7%)、「自分にできるか仕事か自信がない」(17%)、「職場になじめるか心配」(16.2%)と続く。自信の無さや不安が、正社員への転職活動をためらわせている様子がうかがえる。
不安払拭のために「就職後すぐに行う仕事内容を知りたい」
不安に思っている事として挙がった「経歴」「仕事内容」「職場」について、それぞれの具体的な例を聞いた。経歴の不安で最も多かったのが「非正規雇用期間が長いこと」(53.7%)、次いで「資格やスキル・正社員経験がないこと」(49.7%)だった。
正社員への転職をする際、事前にどんなことが分かれば経歴の不安を払拭し、応募の意欲が上がるか聞くと、最も多かったのは「職場見学や体験をし、働いている人を確認できること」(58.3%)。前例があることで、自分も受け入れてもらえるかもしれない、という期待が高まるためだと考えられる。
正社員になるにあたり、仕事内容について知りたいことを聞くと、1位は「就職後すぐに行う仕事内容を知ること」(77.5%)。2位は「どんな人に適性がある仕事か」(56.7%)、3位は「扱う商品の具体的な取り扱い方法」(45.4%)という結果だった。
「正社員になれるのであれば、未経験の業界・職種でもいい」と答えた人は85.1%に上った。自身の資格・スキルに不安を持っていても、正社員で働きたいと考えている非正規雇用者は多いようだ。「職場について事前に知りたいこと」を聞くと、最も多かったのは「雰囲気や社風」(69.4%)だった。
「雰囲気」「残業時間」など、求職者が職場を想像しやすくなるような情報公開を
正社員の採用がスムーズに進まない企業は、「未経験から人材を育てること」を検討すると同時に、「未経験でもチャレンジ可能な仕事内容かどうか」を求職者へ広く告知する工夫が必要だと思われる。
求職者が職場への安心感を持ち、就職した後の姿を想像できるよう、企業は「残業時間」や「離職率」、「職場の雰囲気」など、具体的な情報を公開してほしい。