2019年04月07日 13:51 リアルサウンド
YouTubeでの動画配信を中心に活動している「バーチャルYouTuber(VTuber)」たち。ここ数年、CGやイラストを用いて制作された様々なキャラクターが急速に誕生しています。中でも異彩を放っているのが、バーチャルねこさんです。「音楽のプロフェッショナルに聞く」第12回目は、バーチャルYouTuberの世界で音楽と生きる平面のバーチャルねこさんにSkypeインタビューをしました。レトロフューチャーな魅力をお届けします。(姫乃たま)
(関連:VTuber 輝夜 月が語る、音楽活動への思いと新たな挑戦「歌詞を書く楽しさが分かってきた」)
■影響を受けた音楽はレイ・ハラカミと『beatmania』?
バーチャルねこ(以下、ねこ):こんにちはー。
ーーうわあ、本物だ! いい声ー。
ねこ:ありがとうございます、ですが実は自分の声にあまり自信がなくて。それに人見知りなので、人前で喋るのは苦手だったりします。
ーーえっ、意外です。それがどうしてバーチャルねこ活動を始めることになったんですか?
ねこ:バーチャルYouTuberが好きで、みなさんとお話ししてみたくて、お友達になってみたくて、バーチャルねこは生まれました。
ーーでもYouTubeで公開したり、音源で販売している音楽は、完全に素人の仕事ではないですよね……。ねこなのに。
ねこ:ありがとうございます、光栄です。楽器を引いたり作曲をしたり、音楽は割と長くやっていますので。ねこなのに。
ーーアンビエントやエレクトロニカの楽曲を発表されていますが、音楽は何から影響を受けているんですか?
ねこ:大きなきっかけはレイ・ハラカミさんです。個性的な作風にとても感銘を受けました。そこから色んなジャンルの音楽を巡り巡っていまです。
ーー巡り巡って。いいですね。しかし、画面(Skypeしているパソコンに映っている画面)がねこなので不思議な気持ちになります……。ねこさんが初めて買ったCDはなんですか?
ねこ:ねこは音楽ゲームがすごく好きで、最初に衝撃を受けて買ったのはそれのサントラでした。『beatmania』っていう。サウンドトラックでいろんなジャンルの音楽を知りました。
ーーそれで多感な時期にいろんな音楽を聞いたんですね。ねこさんの音楽って新しいけど、どこか懐かしくて安心する感じがあって、その理由がわかった気がします。
ねこ:ありがとうございます!! ねこはとても嬉しいなあと思いました。
ーー動画はディレクターさんと制作しているんですか?
ねこ:曲、イラスト、動画は1人でやっています。動画はモーショングラフィックスの勉強をしようと思って始めました。ねこなのに。
ーーわあ、多才!あの動画は音楽制作と同時に思い浮かんでいるんですか?
ねこ:そういうことも多いです。作り始めるきっかけを探して、思いついたらすぐ動画にして、YouTubeに公開しています。
ーーわ、そのスピード感じゃないとこの活動はできないんだろうなあ。
ねこ:全部趣味と勢いで始めたんですけど、気づいたらねこになってました。
ーーやっぱり人間は最終的にねこになりたいですよね。
ねこ:みんなねこになりたいなあと、思っていると思います。ねこはこれをとても、喜ばしいなあと思っています。
■「バーチャルYouTuberとお友達になってみたい一心で始めた」
ーーインターネットカルチャーもお好きですよね?
ねこ:とても好きです! 毎日様々なことが起きていて、とてもめまぐるしいなあと思っています。
ーーねこさんはちょうど一年ほど活動されたところですが、去年の5月からまた随分状況が変わっていますよね。
ねこ:もうすぐ1年、あっという間です。
ーーねこのバーチャルYouTuberも増えましたか?
ねこ:ねこだなあと思う人は積極的に見ています。ねこだなあと思って見ています。
ーーバーチャルのねこ集会! バーチャルYouTuberって、みなさんCGでスムーズに動くじゃないですか。ねこさんの口とか眉毛とか、パーツだけが動く仕様になっているのはなぜですか?
ねこ:これはねこの技術力の低さの問題が大きいです……。バーチャルYouTuberのみなさんとお話ししてみたい、お友達になってみたい一心で始めましたので、情熱が技術を上回ってしまったようです。
ーー健気で可愛い……。あのレトロフューチャーな見た目が、楽曲の雰囲気とも相まっていいなあと思います。しかしバーチャルマーケット(仮想空間上の展⽰即売会)みたいに、バーチャル空間にみなさんで集まることもあるじゃないですか。ねこさんはどうなってるんですか?
ねこ:バーチャル空間に集まる時も、平らなままで存在しています。ねこなのに。
ーーえっ、平面で……? ねこ:平面です。最初はみなさん扱いづらそうでしたが、慣れてくださったみたいです。
ーー『パラッパラッパー』みたい……!
ねこ:バーチャルマーケットの時もそうですが、VRチャットで集まって会話をするのは、人見知りのねこには少し大変です。変なことを言って怒られそうで怯えています。
ーーねこに怒る人間はいないから大丈夫ですよ。
ねこ:やさしい……。最近のねこは、バーチャルYouTuberとお友達になることを目標に活動を始めましたが、目標を達成してしまったので、これから何をしようかちょうど考えているところです。目標があるのはとても大事なことだなあと思います。
ーーねこなのにえらい。
ねこ:ねこなのに。ずっと音楽をつくっていて動画をあまり公開できていなかったので、今年はたくさん動画をたくさん公開することを目標にしたいなあと思います。
ーー新譜はいつ頃リリース予定ですか?
ねこ:2月にでました。
ーーあれっ、いまも制作中ですよね?
ねこ:もう一つのアルバムですね、そちらは4月末に出ます。リリースまであっという間ですね。(※取材は3月初旬)
ーー精力的に活動されていますけど、バーチャルYouTuberは長く続けていくことも大事なんですか?
ねこ:そうだと思います。今年に入ってから活動引退、休止しますという方も出てきて、ねこはとてもさみしいですが。
ーーあっ、現実では引退後も人生が続くけど、バーチャルYouTuberってキャラクターが放置されることになる……?
ねこ:もしくは消えてしまう。とてもさみしいなあと思います。
ーーどう受け止めたらいいか微妙ですね……。永久に放置されることも、永久に続く可能性もあるのかあ。なんかSFっぽい。
ねこ:永久に続く可能性となると、襲名制でしょうか。
ーー二代目加勢大周!
ねこ:二代目のねこ!? でもねこは将来もねこでいたいなあと、思っています。
ーー声も素敵なので、ずっとこのままバーチャルねこ活動を続けてください。今日はありがとうございました!
ねこ:ありがとうございました!! ねこ活動頑張ります。
そう言って画面が途切れると、バーチャルねこさんが目の前から消えてしまい、少し不思議な気持ちになりました。今回のインタビューを通じて、未知の世界だったVTuberの魅力を知ることができた気がしたのでした。(姫乃たま)