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1年半ぶりのポール獲得に喜ぶ佐藤琢磨「チームのエンジニアリングが良くなっている証明だ」

2019年04月07日 10:51  AUTOSPORT web

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インディカーのロードコースでは初となる通算8度目のポールポジションを獲得した佐藤琢磨
NTTインディカー・シリーズ第3戦アラバマの予選で、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がポールポジションを獲得した! インディカー出場以来8度目、2017年ポコノ以来のポールだった。

 このポールポジションは、今季ホンダにとっての初ポールであると同時に、琢磨にとってはオーバル(2011年アイオワ)、ストリート(2011年エドモントン、2013年ヒューストン、2014年セントピータースバーグ、デトロイト、2017年デトロイト)、スーパースピードウエイ(2017年ポコノ)に続いて、今回のバーバー・モータースポーツパークで初めてのロードコースでのポールポジションを獲得。これでインディカーの全コースレイアウトでポールポジションを獲得したことになった。

 今シーズンでインディカー参戦10年目となる琢磨。開幕のセント・ピータースバーグでは、Q1で黄旗の原因となったとしてベストタイムを抹消。第2戦のサーキット・オブ・ジ・アメリカズではQ1でタイムを出す直前で赤旗となり、またもや予選通過できず。タイムが出ていたのにも関わらず開幕2戦連続でQ1不通過の憂き目に遭っていた。

 このアラバマでは、まずは無事にQ1を通過することを誰もが願っていた。金曜日のプラクティスではFP1でスピンをしたものの8番手に。FP2はレッドタイヤを履いて13番手のタイムだった。

 雨予報のあった土曜日だったが、天候は回復し午前のFP3では5番手まで順位を挽回していた。

「FP1の走り出しはまずまずだったけれども、FP2でレッドタイヤでのフィーリングが良くなくて、ちょっと心配はありました。でもFP3でクルマもかなり仕上がって5番手で終わったので、ファストシックスには残りたいなと思ってました」

 琢磨は予選の前までをそう振り返る。FP3を5番手で終えたため、奇数組のグループ2で予選Q1を迎えることになった。まずはブラックタイヤで2度のラップタイムをマークした後で、レッドタイヤに履き替えた琢磨は、1分08秒7171で5番手で通過を決めた。


 今回はグループ2に強豪が集まっていた中で無事に最初の難関を突破する。しかもペンスキーのシモン・パジェノーやジョゼフ・ニューガーデンも破っての通過だった。

Q2では、まずQ1で履いたレッドタイヤでコースイン。1周のタイムラップをした後に、新品のレッドタイヤで再度コースイン。1分08秒6234を記録し4番手、無事にファストシックスへ進出となった。

 レイホール・レターマン・ラニガンのグラハム・レイホールも5番手で通過。今回、2台がファストシックスに進んだチームはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングだけだ。しかも、今季2戦連続ポールのウィル・パワーやアレクサンダー・ロッシ、快速ルーキーのコルトン・ハータもQ2止まりという波乱だった。

 注目のQ3。琢磨はまずニューのブラックタイヤでコースイン。2周のタイム計測を終えてピットに戻ってきた。

「ブラックではちょっとマシンが滑っちゃってタイムは出なかったけど、レッドでの最後のアタックは1周だけになると思っていたから……」と琢磨。

 タイヤを替え6台中最後のアタッカーとなった琢磨は、最後のラップで1分08秒5934を絞り出し、チームメイトのグラハム・レイホールを抜いてポール獲得となった。


 ピットに戻りマシンを降りてチームスタッフと抱き合い、最後にボビー・レイホールと抱き合う琢磨。ポール獲得のうれしさが滲み出ている。

「久しぶりに最後まで予選やったからね。疲れました(笑)。もちろんポールなんて取れるなんて思ってもいませんでしたからね。ファストシックスには残りたいなとは思っていたけれど、ペンスキーやアンドレッティ・オートスポート勢もちょっと不信で、そういう運もあったと思います」

「タイヤの作戦もエンジニアのエディ(ジョーンズ)とエンジニアたちがよく考えてくれて、今日はチームで取ったポールポジションだと思う。ボビーも喜んでくれたし、グラハムも2位だからチームのエンジニアリングが良くなっている証明だと思います」

「やはりアレン・マクドナルドの加入は大きい。彼の基本となるセッティングで僕とグラハムの傾向はちょっと違うんだけど、それでもふたりとも速さはありましたからね。明日はふたりでいいスタートを切って、いいレースにしたいですね。まず朝のウォームアップでしっかり車を確認したいと思います」

 明日のレースで今季初表彰台、そして昨年のポートランドに続く勝利は成るのだろうか。