前回の記事で育児中の女性が働くメリットを4つご紹介しました。今回はこのうち、「家庭のリスクヘッジ」について説明したいと思います。
国税庁が出した「平成29年民間給与実態統計調査」では、子育て世代に多い30代の平均年収が分かります。30代前半では、男性の平均が461万円、女性が315万円。30代後半では、男性が517万円、女性が313万円でした。
しかし、男性の年収はこの20年で大きく変化しています。財務省の就業構造基本調査によると、1997年の男性で最も多かった所得帯は500万円~699万円でしたが、2017年には300万~399万円になっています。
年収80万円のパートでも、30歳から30年働けば2300万円
男性の平均年収が下降する中にあって「夫婦二人で働く」ことは、夫の「男は仕事」「大黒柱であらねば」というプレッシャーやストレスを和らげてあげられます。
また、夫の急な入院など、思わぬトラブルにも対処できます。夫が体調、勉強、起業準備などの理由で働けない時期があっても、もう片方が働いていれば家計を支えるためのリスク回避になる、チャレンジの応援ができた、という先輩ママの教訓もあります。
もちろん考えたくはないですが、離婚も3組に1組と言われる時代。離婚に備え、もっと選択肢を拡げられるよう経験を積んでおけばよかった!もう少し自分の貯蓄をしておきたかった!というリアルなお声も聞きます。
年収350万円で考えてみると、出産後に25年働き続ければ、退職金や年金も合わせると、1億円の収入になります。1日5時間・週4日、時給800円のパートで年収76.8万円だって、30歳~60歳の30年間働けば、生涯約2300万円も家計に貢献できることになります。
外食の頻度を増やしたり、ちょっとグレードを上げた旅行ができたり。リアルな数字をみてみると、収入を増やすことは家族の幸せを支える選択肢になると分かります。
もちろん、どれだけの収入があれば十分かというのは人それぞれ、価値観によってかなり異なると思います。これを機に改めて家族で考えてみてはいかがでしょうか?
次回の記事では、子どもの教育費についてみていきたいと思います。
【筆者プロフィール】
谷平 優美
時短ママ戦略活用アドバイザー/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、株式会社ルバートに社名変更、時短ママたちによるジョブシェア体制で事業運営。2児の母。