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乃木坂46『プリンシパル』が生んできた数々のドラマ 舞台の歴史と4期生の注目メンバーを解説

2019年04月07日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 乃木坂46の4期生による初公演『3人のプリンシパル』が、4月9日より池袋・サンシャイン劇場にてスタートする。


参考:乃木坂46 3期生『プリンシパル』はただの“原点回帰”ではないーーグループの「演劇性」はさらに深化


 『プリンシパル』は、2012年に『16人のプリンシパル』として今はなき渋谷パルコ劇場でスタートした。2013年に規模を拡大し東京、大阪で上演した『16人のプリンシパル deux』、2014年には2期生をまじえた『16人のプリンシパル trois』を開催(参考:乃木坂46、プリンシパル公演初日レポ 最も演技力を発揮したメンバーは?)。2017年には、3期生初公演として『3人のプリンシパル』に改め新たな形で幕を開けた(参考:乃木坂46 3期生『プリンシパル』はただの“原点回帰”ではないーーグループの「演劇性」はさらに深化)。


 『プリンシパル』は、一幕がオーディション、二幕が観客の投票により出演者が決まるキャスティング参加型演劇。16人、または3人がプリンシパルとして二幕に出演できる、毎公演出演者が変わる舞台だ。『プリンシパル』とは、乃木坂46全員が経験する登竜門であり、メンバーにとっては地獄のようにつらい期間である反面、ここではグループのドラマも多々生まれている。


 ドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』の中では、プレッシャーに耐えかねた生駒里奈が会見中に舞台をはけてしまう様子やゲネプロ公演で二幕に選ばれなかった松村沙友理と生駒が言い争う場面が生々しく収録されている。2012年当時、桜井玲香は「総選挙に代わるようなものになっているのでは? と思ってます」とスタート前にコメント(乃木坂46 運営スタッフブログ)しているが、繰り返される過酷なレッスン、日々メンバーに突きつけられる二幕出演という現実、緊張、プレッシャーはある種AKB48グループの選抜総選挙に匹敵する、もしくはそれ以上なのかもしれない。


 山下美月はインタビュー(乃木坂46 久保史緒里と山下美月が考える3期生の現在地 「フレッシュさ以外の武器を持ちたい」)の中で『プリンシパル』期間を振り返り「一人一人の戦い」と答えている。稽古はチーム全体で重ねていくが、基本的に二幕に至るまでのオーディションではメンバーがライバルとなる。メンバー人気がそのまま票に反映されることは否めないが、それよりもオーディションで来場者をどれほどハッとさせられるか、空気を一変できるかが二幕に繋がる鍵となっており、これまでの『プリンシパル』同様、サンシャイン劇場という数百人規模の会場が選ばれたのには緊張感を生み出す目的も含まれていると考えられる。


 先日、「第44回菊田一夫演劇賞の演劇賞」を受賞した生田絵梨花を筆頭に、グループ卒業後、舞台女優としても活躍している生駒と若月佑美、現在も堅実に舞台の出演数を増やしている井上小百合、樋口日奈、伊藤純奈、3期生からも山下、久保史緒里、梅澤美波と舞台女優として輝くメンバーを輩出してきた。『プリンシパル』とは、ほかの坂道シリーズにはない乃木坂46のみの取り組みであり、舞台のみならず、異なるフィールドで一人で活躍するための強靭な忍耐力や精神性を築いたグループにとっては欠かすことのできない公演である。


 今回初公演となる4期生は、昨年12月に開催した『お見立て会』、今年3月の『7th YEAR BIRTHDAY LIVE』に続くステージ。日本武道館、京セラドーム大阪のような数万人規模の会場で泣き笑いを見せてきた4期生が、先輩たちの恩恵を受けず、自分たちの足で初めて舞台に立つ。『お見立て会』よりも一人ひとりの真価が発揮される“真のお見立て会”と言ってもいい。『乃木坂工事中』(テレビ東京系)での紹介や雑誌、配信番組、ラジオなど徐々に露出が増えてきた4期生だが、彼女たちはここで大きく変貌を遂げることになるだろう。


 注目メンバーを挙げるとすれば、ギャップを見せてほしいという思いを込めて、4期生の暫定センターでありながら未だ秘めたポテンシャルを感じさせる遠藤さくら。北川悠理は人見知りというイメージを払拭できればそれがそのままプラスに変わっていくだろう。筒井あやめは『お見立て会』で乃木坂46最年少の14歳とは思えないコメント力を見せていたが、プリンシパルのオーディションにおいてもさらにファンを驚かせてくれることが想像できる。人懐っこいキャラクターと運動音痴が上手くハマり『乃木坂工事中』で脚光を浴びた掛橋沙耶香や“乃木坂46オタク”として披露した「ナカダカナシカ」「焼きそばパン」コールでファンの心を掴んだ矢久保美緒などが票を獲得し、そのまま二幕に進むこともあり得る話だ。


 『プリンシパル』で人気が爆発した3期生は、その後に全8公演の単独ライブが開催された。4thアルバム『今が思い出になるまで』には4期生楽曲として「キスの手裏剣」が収録されるが、3期生が経験したドラマ以上のものを4期生が見せてくれるのかにも期待がかかる。(渡辺彰浩)