ルイス・ハミルトンは、セバスチャン・ベッテルの失態を批判的に語る評論家たちに対して、ベッテルはそのF1キャリアにおいて、力を出せなかったレースよりも多くの見事なパフォーマンスを発揮してきたという事実を肝に銘じるべきだと語った。
第2戦バーレーンGP決勝で、ベッテルはハミルトンとの2番手争いの最中に手痛いスピンを喫して後退し、これをイタリアの各メディアが酷評した。
多くの人々にとって今回の失態は、立て続けにミスを犯してハミルトンとのタイトル争いから脱落した2018年シーズンの、単なる繰り返しのようにも映ったことだろう。
しかしハミルトンはライバルであるベッテルについて、その傑出したキャリアを踏まえて、より幅広い文脈のなかで評価されるべきだと考えている。
「精神的なものではない。これは誰にでも起こり得ることなんだ」とハミルトンは語った。
「4度の世界チャンピオンだからといって、力を発揮できない週末などないとは言い切れない」
「積み重ねられた実績に、より目を向けるべきだと思う。ベッテルのキャリアを見れば、力を発揮できなかったレースよりも圧倒的なパフォーマンスを見せたレースの方がずっと多い。スピンしたことについても、これまで彼が積み重ね、作り上げてきた実績のなかではごく小さな問題でしかない」
日曜日の決勝で、ベッテルはスピンして順位を下げる前に、チームメイトでポールポジションのシャルル・ルクレールにも先行を許していた。だがハミルトンは、次戦ではふたりの立場が逆になる可能性を排除していない。
「自分のマシンが適切にセットアップされていない、ということはいつでも起こり得る」
「チームが行っている細かな作業の数々は、外部からは分かりにくいだろう。あの週末にはその成果が表れなかったんだ。そして小さな違いが大きく取り上げられたりする」
「ふたりのマシンになぜあれほどのペース差がついたのか、僕には分からないけれど、以前の僕とニコ(・ロズベルグ)のことを思い出したよ。当時バルセロナで、僕たちはテストではふたりとも速かったのに、レースになったら2台の間に大きな差が出てしまった。あのときは両手を後ろ手に縛られたままマシンを走らせているようで、グリップがまったく得られなかった」
「それから別のレースでは、ふたりのマシンが逆の状態になったりもした」
「どうしてそうしたことが起きるのかは分からないけれど、バーレーンの決勝レースでのベッテルはそうだったのだと思う。だが彼は世界チャンピオンであり、優れたアスリートだ。必ず復調して、さらに前へと突き進むだろう」