2019年04月05日 11:31 弁護士ドットコム
子どもが生まれたら、離婚していいからーー。こんな約束を信じて結婚した男性が「相手が離婚してくれない」と、弁護士ドットコムに質問を寄せました。
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男性は、関係をもった女性に「結婚できなければお腹の子どもと死ぬ」と脅されて結婚してしまったそうです。
また、女性は「子どもが産まれたら離婚していい。養育費もいらない」と言っていたものの、実際に結婚すると、離婚に応じる姿勢を見せなくなりました。
このような婚前に交わした離婚の約束は有効なのでしょうか。五十嵐里絵弁護士に聞きました。
ーー「子どもが生まれたら、離婚していい」という約束は有効ですか
2人が交わした約束は、法的には「離婚の予約」といいます。結論から言えば、今回の離婚の予約は、効力がないと考えられます。
そもそも結婚は、最初から〇年後に別れることを決めるものではありません。結婚期間をあらかじめ決めておくという期間制限を設けることができない以上、予約はできません。
結婚や離婚は、お金を借りる、アパートを借りるというような、いわゆる法律行為とは違う性質のものだと考えられているのです。
ーー離婚する約束が無効になると、離婚の理由として申請できないということでしょうか
その場合には、現時点で離婚原因が存在するかという点から考えざるを得ません。
今回のケースで、子どもが生まれた後、しばらくは夫婦としてうまくいっていたが、その後に夫婦関係が悪化したという場合には、その段階で結婚前の約束を持ち出しても離婚は難しいでしょう。
一方で、結婚後はいっかんして良好な夫婦関係を築くことができなかったのであれば、離婚の約束という事情が重視される可能性はあると思います。
ーー「子どもがうまれたら離婚できる」と思って結婚した男性にも同情の余地はありそうです
そうですね。男性も脅されたうえに、子どもが生まれたら離婚するという約束がなければ結婚しなかったという事情があります。
この場合、そもそも結婚する意思自体がなかったとして、離婚の予約を問題とする以前に、結婚自体が無効になる可能性もあると思います。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
五十嵐 里絵(いがらし・りえ)弁護士
新聞社に記者として勤務した後、法科大学院に進学、弁護士に。離婚・男女問題、遺産相続、企業法務を取り扱う。
事務所名:辻山・五十嵐法律事務所
事務所URL:http://www.tyig-law.jp