F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は2019年F1第2戦バーレーンGPだ。
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☆ ケビン・マグヌッセン(ハース)
予選=6番手/決勝=13位
第2戦バーレーンGPではマグヌッセンが予選トップ6へ。開幕戦はロマン・グロージャンがくいこんでおり、再びハースの“一発力”をアピールした。予選5番手のフェルスタッペンに0.005秒差に迫った。だがストレート最高速は20位、チームはそのことを不安視していた。実際にレースは大苦戦してしまった。もう一つの不安がタイヤの表面オーバーヒート、これもレースペースに影響し結果13位。戦えなかったマグヌッセン。
☆ バルテリ・ボッタス(メルセデス)
予選=4番手/決勝=2位
バトル相手がいないポジション・キープの単独レース展開に、シャルル・ルクレール(フェラーリ)のPUトラブルによって、そつなく決勝2位を手に入れた。開幕戦の最速ラップ1点が効きシリーズリーダーにいる。まだ2戦消化時点ではあるが首位ボッタス、キャリア最高の出だし。
☆☆ セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
予選=14番手/決勝=10位
初日からQ1突破が難しそうに見えていた状況を自力で切り開いていった。序盤8周目に想定外のピットイン、ブレーキがオーバーヒート(デブリがからまった)。そこからミディアムタイヤでつなぎ粘りの10位で1点ゲット、現状のマシン戦力でしのぎ本格的なアップデートを待つ。
☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
予選=17番手/決勝=リタイア(17位完走)
ダニエル・リカルドがR.S19のダウンフォース特性に悩む一方、FP1:8番手/FP2:5番手/FP3:6番手。ところがパワーユニット(PU/エンジン)の信頼性問題により予選Q1で敗退(17番手)。めげることなく決勝で6番手に浮上、チームメイトと絡んだ末にまたもパワーユニットに見放されストップ。ワークスチームらしからぬルノーだ。
■スランプの中、懸命な走りで8位入賞を果たしたピエール・ガスリー
☆☆ ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)
予選=13番手/決勝=8位
忍び寄るスランプ、周囲からのプレッシャーに耐えていたレッドブル・ホンダに移籍しての2戦目。RB15のエアロ特性(強いレーキ角)になじめず、減速から進入時のダウンフォース・バランス変動が彼のリズムに合わないようだ。それを懸命に自己修正、第2スティントをソフトで最長30周して得た8位入賞はひとつの成果。
☆☆☆ アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)
予選=12番手/決勝=9位
実戦レッスン2、ここで学び取ったのは集団・接近戦での攻めと守り。超えてはいけない一線を破らず、バトルをつづけるメンタルパワーが少しずつ上がってきた。その部分に進化を感じる。
☆☆☆ ランド・ノリス(マクラーレン)
予選=10番手/決勝=6位
個人的に開幕戦・予選8番手に驚かされ、バーレーンGPではライコネンとの接近戦で守り切っての決勝6位に二度また驚かされた。この週末フェルナンド・アロンソがピットで見守っていたが彼の“コーチング”もあったのだろう。強風下にミスなくマシンコントロール、MCL34をマスターしつつあるのが見てとれた。
☆☆☆ キミ・ライコネン(アルファロメオ)
予選=9番手/決勝=7位
表彰台に過去8回(2位5回)、勝利はないが与えられたマシンパッケージを乗りこなしてきたベテラン。アルファロメオC38のリミットを正確に把握。独特の“キミ・ライン”がとくに難しい10コーナーで光った。
そこではタイムを狙うライン、オーバーテイクに行くライン、タイヤをケアするラインが微妙に違う。使い分けたベテラン、前の6位ノリスもそれを学んだことだろう(本来ならそれはアントニオ・ジョビナッツィが学ぶべきなのだが)。キミがいるアルファロメオ、現在“Bリーグ首位”のランク4位。
■まるでベテランのようにニューマシンを最適化させていったシャルル・ルクレール
☆☆☆ マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
予選=5番手/決勝=4位
接近戦を超越したマシン・コンタクトしながら挑む格闘戦の強さ。カルロス・サインツJr.のふところ(インサイド)に飛び込んで抜いた4周目、まさに“当て抜き技”だ。自分のダメージを最少現に抑える瞬間判断能力、これぞ威圧感みなぎる『マックス・マジック』。
☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
予選=3番手/決勝=優勝
五冠王はかすかに予感していたのかもしれない。最速フェラーリSF90Hにはどこかに信頼性のウイークポイントがありそうだと。
ベッテルをかわして首位のルクレールを追うペースは急激ではなく、確実に2位でまとめようという意識が伝わった。ニューマシンで戦うシリーズ序盤にはいつ信頼性問題が起きても不思議ではないのだ。1年前ここでハミルトンは、ギヤボックス交換を余儀なくされ、5グリッドダウンとなっている。この74勝目は彼自身と、メルセデスチームの『信頼性力』によるものではなかったか。
☆☆☆☆☆ シャルル・ルクレール(フェラーリ)
予選=PP/決勝=3位
かつてFIA F2やGP3で彼に敗れ、抜かれたドライバーたちは声をそろえて「シャルルはきっとやってみせる」と予測していた。それが2戦目で実現……、いや実現しかかったドラマティックレース。
この週末を通じて最も印象的なのは同じSF90の挙動が日増しに違って見えたこと。ベッテルの方がふらつき“新人”のようで、彼の方がベテランみたいにセットアップを高めていった。たった2戦目でニューマシンを最適に仕上げた技量に誰よりも驚いたのは、4冠王であろう。