今年、ウイリアムズからF1に復帰したロバート・クビサはこれほど遅いF1マシンをドライブしたことがないと語っている。
2006年にF1デビューを飾ったクビサはトップドライバーのひとりとして着々と経験を積んでいたが、2011年シーズンのF1開幕前のラリーで大クラッシュを喫し、ドライバーとしての復帰すら危ぶまれる大けがを負ってしまった。当然、2011年のF1は欠場することになり、以後長らくF1からは遠ざかっていた。
2019年にF1復帰を果たしたクビサは、開幕戦オーストラリアGPを17位でフィニッシュし、バーレーンGPではひとつ上の16位でレースを終えている。
「過去に首位から4秒遅れのマシンをドライブしたことはないよ」とクビサはバーレーンGP後に今の状況を語った。
「グリップがまったくないんだ。レースの始まりはどうにかしてこなすことができた。序盤の周回はより即興的に走るものだからね。特にずっと後方の順位にいると、生き残ることがすべてだ」
「いったん風が落ち着くと、他のドライバーたちは自分のペースで走っていったが、僕のマシンにはペースがなくサバイバルだった。マシンを最後までもたせようと、リヤタイヤを労っていたので、いくつかのコーナーではとても遅かった」
「それでもタイヤはスライドするし、オーバーヒートしていた。風の強いコンディションに誰もが苦しんでいたが、落ち着いたコンディションでも安定性がまったくなかったんだ。その状況に加えて強い風と中古タイヤが組み合わされると、ゲームとしては終わりだと言わざるを得ない」
大きな問題なのは、なぜマシンが遅く、グリップに欠けているのかをウイリアムズがいまだに分かっていないことだ。そしてクビサとチームメイトであるジョージ・ラッセルのマシン性能は同一であるべきなのに、まさに同じセットアップを施しても、マシンは違う挙動を見せるという。
「(同じセットアップなのに)違いがあるのは明らかだけど、理由が分からない。バーレーンGP後の2日間のテストで答えを見つけられることを願っているよ。僕だけでなく、チームや空力部門にとっても原因を理解することがとても重要だからだ。なぜなら今の時点で僕たちは2台の違うマシンを持っているようなものだからね」
そのような状況で、クビサはF1復帰を楽しめているのだろうか?
「楽しいとは言い難い」とクビサは語った。
「でも少なくとも経験にはなる。この2戦で良い答えが見つかったし、貴重な経験ができたことは間違いない。オーストラリアではポジティブな点があったし、バーレーンでもそうだ。でも僕が言ったように、何が起きているのか解明する必要がある。僕らにはまったくマージンがないし、ドライブする上でマシンが適正範囲内にない。マシンに乗せられているようだよ」