帝国データバンクは4月3日、2019年3月の国内景気動向の結果を発表した。調査は今年3月にネット上で実施し、2万3181企業の中9712社から回答を得た。
2019年3月の景気動向指数は46.9。前月比0.3ポイント減で、4か月連続で悪化した。同社は「国内景気は、製造業の悪化やコスト負担増などがマイナス材料となり、一部で後退局面に入った可能性がある」としている。
建設業は今年3月契約まで適用の消費税の経過措置特例のため駆け込み需要
業界別に見ると、「農林水産」「金融」「卸売」「小売」「サービス」が改善、「不動産」「製造」「運輸・倉庫」が悪化、「建設」が横ばいとなった。
製造業は中国景気の減速などを受け、大きく悪化。機械関連中心に12 業種中8業種が悪化した。景気動向指数が12業種すべてで50を下回ったのは、2017年1月以来2年2か月ぶりとなった。
運輸・倉庫業界は3か月連続で悪化した。工事や引っ越しなどの荷動きが年度末を迎え活発化する一方で、人手不足は一段と深刻化。一部で受注を見合わせる事態が発生している。経由価格の上昇や人件費と共に燃料費負担が重く乗りかかったが、ラグビーワールドカップ向けの予約など、訪日外国人観光客増加がプラス材料となり旅行業や旅行代理が改善した。
建設業は年度末の公共工事などによる工事量増大のほか、今年3月契約まで適用される消費税の経過措置特例を受けるため、住宅や民間工事での駆け込み発注があったことがプラスに働いた。
小売業は3か月ぶりに改善。需要拡大や価格改善、売上増加されたものの、医薬品小売は薬剤師など有資格者の確保に伴う人件費負担が響いた。
ラグビーワールドカップや東京五輪の盛り上がりに期待
企業の規模別に見ると、「中小企業」は4か月連続、「小規模企業」が3か月連続で悪化し、「大企業」は横ばいとなった。仕入単価の上昇で収益環境が悪化したほか、中小部品メーカーの景況感が後退した。
地域別に見ると、「北陸」「近畿」「四国」など10地域中8地域が悪化、「北海道」「九州」の2地域が改善した。海外経済の減速が地域経済の悪化要因となったほか、暖冬傾向による需要減退や物流費の上昇などもマイナス材料となった。
今後の見通しとしては、労働市場の需給ひっ迫を背景に、個人消費は緩やかな回復が半年程度続くとしている。同社は「ラグビーワールドカップ、東京五輪などの大型イベント、改元にともなう祝賀ムードなどはプラス材料となる」と予測。
一方、五輪向け建設投資のピークアウトや輸出の低迷が見込まれている。また、中国や欧州経済の低迷、好調が続く米国景気の減速、米中貿易摩擦、日米通商交渉の行方、英国のEU離脱など海外リスクも抱え、不透明感が一層強まっている。