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「ラフ∞絵」内覧会レポート 大河原邦男が描く「クリィーミーマミ」、秋本治による「ボトムズ」も展示

2019年04月02日 18:42  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

「ラフ∞絵」内覧会の模様
日本のマンガ、アニメ、キャラクターデザインの世界を牽引してきた秋本治、天野喜孝、大河原邦男、高田明美。4人による約1400点のラフ絵と完成原画を展示する展覧会「ラフ∞絵」が、4月2日から4月16日にかけて東京都・「3331 Arts Chiyoda」で開催される。
本稿では、内覧会の模様をフォトレポートでお届けする。

ラフ絵は作品を作るうえで設計図となるものだ。マンガではネーム、アニメでは絵コンテと呼ばれている。
同展覧ではこのラフ絵を展示し、4人の試行錯誤の過程を見せることで、アイデアが生み出されるその瞬間に迫る。


秋本の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、天野の『ファイナルファンタジー』シリーズ、大河原の『機動戦士ガンダム』、高田の『魔法の天使 クリィミーマミ』など、世界的に人気が高い4人の代表作が展示されている。
だが、見どころはこれらの代表作だけではない。「チェンジ・アンド・チャレンジ」と題し、4人のアーティストがそれぞれ「描いてみたかった」と語る他のアーティストの代表作品を描いた作品にも注目だ。

■プロデューサーと4人のアーティストの関係性


展覧会「ラフ∞絵」プロデューサーの布川ゆうじと、秋本治、天野喜孝、大河原邦男、高田明美ら4人のアーティストは、今から45年ほど前に『科学忍者隊ガッチャマン』や『ヤッターマン』で知られるアニメ制作会社・タツノコプロで共に働いていた間柄。

かつてタツノコプロで演出を担当していた布川ゆうじから、同展覧が開催されることになった経緯について語られた。2017年暮れ、当時のメンバーと声優の平野文を加えた同窓会の席で、4人それぞれにイラストボードにラフ絵を描いてもらったことがきっかけで、同展覧会の開催をひらめいたという。

「これまで個々の作品は完成されたものしか見られなかったが、そこに到るまでのラフ絵の展覧会をやったら面白いんじゃないかと思った」(布川ゆうじ)。それから約1年間、開催のために奔走し、版権を持つ集英社やバンダイナムコエンターテインメントなどの協力を得て開催にこぎ着けた。

■天野喜孝
アニメのキャラクターデザイナーからキャリアをスタートさせ、『ファイナルファンタジー』シリーズや『吸血鬼ハンターD』など、イラストレーター・画家として世界的な評価を得ている。ラフ絵だけでなく完成品も多く展示しており、同展覧会のために描き下ろした新作は必見だ。









■大河原邦男
日本初のメカニックデザイナーとして、『科学忍者隊ガッチャマン』でデビュー以来、数々のメカをデザインした“メカ職人”。同展覧会では、『ガンダム』シリーズや『タイムボカン』シリーズのほか、企画段階の未発表作品のラフ絵を展示している。







■高田明美
『魔法の天使 クリィミーマミ』や『機動警察パトレイバー』など、今も根強い人気を誇るヒットアニメのキャラクターデザインを手がけてきた。同展覧会ではフリーに転身した初期に手がけた『うる星やつら』や『きまぐれオレンジ ロード』などのラフ絵も展示されている。










■秋本治
『週刊少年ジャンプ』(集英社)で40年にわたって連載した代表作『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の50本ほどのネームを始め、現在連載中の新作のラフ絵の数々を公開。さらに、タツノコプロ時代にアニメーターとして描いた希少な『科学忍者隊ガッチャマン』の絵も展示されている。










■チェンジ・アンド・チャレンジ
同展覧会の試みとして、4人のアーティストがそれぞれお互いの代表作を描いた。ラフ絵から完成絵までが展示されている。
普段は“メカ職人”の大河原邦男が描い『クリィミーマミ』や天野喜孝が油絵の画材を購入して初めて描いたという『ガンダム』の油絵など、ここでしか見られない特別な作品が計13点展示されている。布川ゆうじ曰く「各アーティストが文化祭のノリで描いた。見て大笑いして楽しんでほしい」とのこと。










■人材育成
5人を含む人材を輩出したタツノコプロと、布川祐司が塾長を務めるアニメ界を牽引する次世代クリエイターを育てるための「NUNOANI塾」のコーナーも設置。
「NUNOAI塾」はアニメ映像制作の演出技術とプロデュースに特化したプログラムを中心とした社会人向けの私塾だ。同展覧会ではプロデューサー進級コースの塾生達の作品を展示している。




また、開会式では布川ゆうじ、秋本治、天野喜孝、大河原邦男、高田明美が登壇し、展示内容やチェンジ・アンド・チャレンジについて語った。アニメ!アニメ!では追ってトークレポートも掲載する。

左から秋本治、天野喜孝、大河原邦男、高田明美、布川ゆうじ
■概要
展覧会「ラフ∞絵」
開催期間:2019年4月2日(火)~4月16日(火)
開催場所:3331 Arts Chiyoda
住所:東京都千代田区外神田6-11-14
開館時間:11:00~20:00(入館最終案内19:30まで)
休館日:無休
入館料金:一般 2,000円、大学生1,500円、高校生1,000円、小・中学生 無料
お問い合わせ:03-3253-8558(「ラフ∞絵」実行委員会事務局)

■関連イベント
期間中はプロデューサー・布川ゆうじや各アーティストによるトークショーやワークショップを開催予定。詳細は公式サイトをご覧ください。
・4月6日(土)15:00~16:00 メカデザイナー・大河原邦男トークイベント
・4月7日(日)15:00~16:00 プロデューサー布川ゆうじによる「魔法の天使 クリィミーマミ・トークショー」
・4月12日(金)15:30~16:30 漫画家・秋本治トークイベント
・4月14日(日)13:00~14:30、15:00~16:00 キャラクターデザイナー高田明美「Tシャツに好きな色を塗っちゃおう」ワークショップ

※高田明美ワークショップは、応募を締め切りました。キャンセルがあった場合など、後日キャンセル受付をする場合があります。
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