NHK朝の連続ドラマ小説『なつぞら』が、4月1日から放送される。通算100作目の連続ドラマ小説となる。
『なつぞら』は、NHK朝の連続テレビ小説『てるてる家族』、NHK大河ドラマ『風林火山』、ドラマ『精霊の守り人』などを手掛けた大森寿美男の脚本によるオリジナル作品。戦争で両親を亡くし、北海道・十勝に移り住んだ主人公・奥原なつが、十勝で育まれた豊かな想像力と開拓者精神を生かし、当時は「漫画映画」と呼ばれていたアニメーションの世界に飛び込んでいく、というあらすじだ。
■記念すべき100回目の朝ドラ、ヒロインは広瀬すず。脚本の大森寿美男は「広瀬すずさんはすごいっすよ」
ヒロイン・奥原なつ役を演じるのは、広瀬すず。1937年生まれのなつは、亡き父の戦友・柴田剛男の義父・泰樹のもとで牧場を手伝ううちに、持ち前の明るさを取り戻し、やがて草創期を迎えていたアニメーション業界で、アニメーターとして活躍するというキャラクターだ。モデルとなったのは、実在のアニメーター・奥山玲子と言われている。
NHKの番組サイトに掲載されている広瀬すずのインタビューによれば、姉の広瀬アリスの出演していた『わろてんか』は観ていたが、「ちゃんと観た」という朝の連続テレビ小説は『てるてる家族』だけだったという。『てるてる家族』の脚本を担当したのが、『なつぞら』も手掛けている大森寿美男である。そのことを知った広瀬すずは、「あぁ、巡り合わせとかあるのかなぁ」と嬉しくなったという。
発表会見では「なつに感情移入しちゃって、家で夜中に一人で号泣しすぎて、次の日メイクさんに目腫れてるねって言われた」と微笑ましいエピソードを披露した広瀬すず。「いろんな人生があるのだな、と思いながらも、今なつと同じように幸せを感じながら、日々を過ごさせていただいております」と語っている。
同サイトの大森寿美男のインタビューでは、広瀬すずについて「やっぱりね。広瀬すずさんはすごいっすよ(笑)」と語っているほか、「僕の中では“なつ”の答えを出せる唯一の役者さんだと思っています」と太鼓判を押している。
■主題歌はスピッツ。『紅白』出場もあるかも?
ヒロインを演じる広瀬すずだけでなく、話題を集めそうなのが主題歌を担当するスピッツだ。スピッツは新曲“優しいあの子”を提供する。どんな楽曲になっているのか、放送が待ち遠しいが、“優しいあの子”というタイトルだけでも名曲を予感させる。スピッツの草野マサムネは主題歌発表時に、以下のようにコメント。
<記念すべき“朝ドラ”100作目、大好きだった「おしん」や「あまちゃん」のようにインストがいいのでは? とも考えましたが、今回は歌ありです。ドラマタイトルが「なつぞら」なのに詞がかなり冬っぽい仕上がりになってます。これには理由がありまして、お話をいただいてから何度か十勝を訪ねました。そこで感じたのは、季節が夏であっても、その夏に至るまでの長い冬を想わずにはいられないということ。「なつぞら」は厳しい冬を経て、みんなで待ちに待った夏の空、という解釈です。広く美しい北海道の空の力で書かせてもらいました!>
もう1つ注目したいのは、少々気の早い話だが年末の『NHK紅白歌合戦』だ。1987年の結成以来、『NHK紅白歌合戦』に出場したことがなかったスピッツ。朝の連続テレビ小説の主題歌や劇中歌などを担当したアーティストが出場することが多いが、彼らの出場は実現するのだろうか? こちらも音楽ファンの注目を集めそうだ。
■オープニングは全編アニメーション。「アニメーター」という仕事もお茶の間に浸透するか
番組のオープニングを飾る、全編アニメーションによる映像も話題になるだろう。ドラマ内のアニメーション監修を手掛けるのは、元スタジオジブリの舘野仁美(ササユリ)。オープニングのタイトルバックではプロデューサーを担当している。オープニングのアニメーション映像は、題字なども担当した刈谷仁美らが制作しており、1960年代や70年代のアニメにオマージュを捧げた内容になっているという。
ヒロインのなつが情熱を注ぐアニメーターという仕事も、一挙にお茶の間で注目されそうだ。日本では以前からアニメーターの待遇問題が取り沙汰されることが少なくないが、現状を広く知らせる機会を得られるだろう。アニメーションを題材にした「お仕事もの」作品といえばアニメ『SHIROBAKO』が思い出されるが、『なつぞら』もアニメファンからの支持を集める作品になるだろうか。こちらも楽しみだ。
現在、『なつぞら』のオフィシャルサイトでは番組の最後に日替わりで紹介されるアニメーション作品を一般から募集中。アニメーション作成ページも用意されており、手軽にアニメーションを制作することができる。
■『なつぞら』について
1961年から始まったNHKの朝の連続テレビ小説。100作目となる『なつぞら』は、4月1日から9月28日まで放送。全156回を予定している。広瀬すずの共演者には、「北海道 十勝 編」では岡田将生、草刈正雄、松嶋菜々子、藤木直人、清原翔、福地桃子、小林隆、音尾琢真、安田顕、高畑淳子、山田裕貴、吉沢亮、戸次重幸、小林綾子、「東京・新宿編」では山口智子、比嘉愛未、近藤芳正、リリー・フランキー、戸田恵子、鈴木杏樹、水谷果穂、工藤阿須加、「アニメーション編」では井浦新、貫地谷しほり、中川大志、染谷将太、渡辺麻友、伊原六花、川島明(麒麟)、小手伸也、木下ほうか、角野卓造らが名を連ねている。劇中音楽は橋本由香利、語りは内村光良が担当する。