トップへ

ホンダF1山本MD 決勝日インタビュー:「ニューウェイも『どうしてこうなんだ』と、首をかしげていたそうですよ」

2019年04月02日 12:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

F1バーレーンGP ホンダF1山本雅史氏
F1第2戦バーレーンGP決勝は、ホンダ製パワーユニット(PU/エンジン)を搭載した全車が完走。レッドブルのマックス・フェルスタッペンが4位、ピエール・ガスリー8位。トロロッソはアレクサンダー・アルボンが9位入賞となった。バーレーンGPの週末の状況を、4月1日付けでホンダF1マネージングディレクターとなった山本雅史氏に訊いた。
-------------------------

──4台完走、うち3台入賞という結果でした。
ホンダF1マネージングディレクター山本雅史(以下、山本MD):素直に嬉しいですね。特に全車完走したのは、うれしい。壊れないですねえ。

──壊れないことが、話題にならなくなってきています。
山本MD:そこが田辺TD(ホンダF1テクニカルディレクター田辺豊治)の巧みなところで、現場でうまい使い方をしていますよね。全車完走というのはすごく大事なことですし、セーフティカー(SC)が入っていなければ2戦連続表彰台も可能でした。まあそれはタラレバですが、フリー走行から予選にかけて必ずしも順調ではない流れからすると、まずまずの結果だったと思います。

──さっきクリスチャン・ホーナー(レッドブル代表)が、SCのままチェッカーになったのはフェラーリへの忖度じゃないかと、冗談で言ってました。
山本MD:そう言いたい気持ちは、よくわかります(笑)。レース後、クリスチャンやヘルムート(マルコ博士/レッドブルのモータスポーツアドバイザー)と会ったんですが、戦略もよかったし、何よりフェルスタッペンが開幕戦に続いて本当にいい仕事をしてくれたと言ってましたね。

 レースはチームワーク、総合力だということを、僕も改めてしみじみ感じました。トロロッソにしても、クビアトは少し噛み合ってませんでしたけど、それがなければ4台入賞もありえたでしょうね。

 ホンダとしてうれしいのは、レッドブルとトロロッソの両チームで、ここまでのいい関係がさらに深まっていることです。そして次のグランプリに繋がるレースができているということですね。それが励みになります。

■トロロッソは想定内のパフォーマンス、一方のレッドブルは……

──ただちょっと気になるのは、メルボルンのような特殊なコースに比べると、ここバーレーンはよりオーソドックスなパーマネントサーキットですよね。そこで対フェラーリ、メルセデスで、開幕戦より戦闘力が落ちていました。それは今後に向けて、不安材料ではないですか。
山本MD:トロロッソは、ほぼ想定したパフォーマンスを発揮できたという気がします。一方でレッドブルは、まだセットアップが煮詰まってない印象ですね。クリスチャンによると、エイドリアン・ニューウェイ(チーフテクニカルオフィサー)も、「どうして、こうなんだ」と、首をかしげていたそうです。空力がまだ完璧じゃないと。


──時間はかかりそうですか?
山本MD:いえ、ヨーロッパラウンド初戦のスペインGPまでには、大丈夫だと言っていましたね。

──来週、さくら(栃木県の本田技術研究所HRD Sakura)のエンジニアも合流して、イギリスで話し合うようですね。
山本MD:ええ。定例の技術ミーティングで、開幕2戦を終えたところでの見直しです。とにかくバルセロナに戻るまでの序盤4戦は、今回のように勢力図が毎回変わるような展開だと思いますよ。本当の実力は、そこまではなかなか見えないでしょう。

──スペインGPで、各チーム大きなアップデートを投入しますしね。
山本MD:そうです。そこからが本当に、シーズンがどう戦われるかが見えると思いますよ。

■次世代のF1はシャルル・ルクレールとマックス・フェルスタッペンが牽引



──最後にシャルル・ルクレール(フェラーリ)について。
山本MD:次代のF1は、マックスとルクレールでしょう。それは間違いない。フェラーリに抜擢された時点で、並みのドライバーじゃないことは明らかだったわけですが、あっという間に結果を出してきましたね。

 今後マックスと、面白いバトルを繰り広げてくれるでしょう。そこにガスリーが、現時点ではついて行けていないのが、正直少し残念ですが。



──フェルスタッペンもレッドブルに移籍して、すぐに初優勝しています。
山本MD:そうなんですよ。飛び抜けた存在は、結果を出すのも早い。マックスは、コースを選ばないですしね。何より、ミスしない。ただ順位を上げていく。凄いですよ。去年よりさらにひと回り、大きくなった気がします。あれで、まだ21歳?いやあ、凄い。

──とにかく安心して見ていられます。
山本MD:まったく、そうです。スタートで少し出遅れましたけど、きっちり上がっていきました。いずれにしても今回は4台完走して、3台がポイントを取った。よかったです。

──パワーユニットも、壊れないですね。
山本MD:ええ。たしかに壊れない。ただマックスの心情を想像すると、今日のレースは少しフラストレーションが溜まっていたと思います。クルマがしっくりこないこともあるでしょうけど、パワーももっとほしいと思っているのではないでしょうか。

 フェラーリ、メルセデスに比べて、パワーで負けてるのは事実ですし。それがパーマネントサーキットのバーレーンを走って、改めてわかりました。

 一方でここまで性能を上げてきても、壊れないのは本当に素晴らしい。信頼性とパワーのバランスをうまく取りながら、開発を進めて、レース現場でも適切に使っているということですね。