ピレリ・スーパー耐久シリーズ2019の開幕戦となる「SUZUKA“S耐”春の陣」が、3月23~24日に鈴鹿サーキットにおいて5時間レースとして開催。国内ビッグレースの幕開けとなったS耐鈴鹿ラウンドのレースウイークで見られたトピックスをご紹介する。
■アストンマーティン・バンテージ初参戦で初優勝
昨年のル・マン24時間で初公開されたアストンマーティン・バンテージGT3と同GT4。V8、4リッターツインターボエンジンを搭載したGT3は、D’station RacingがスーパーGTシリーズGT300クラスとスーパー耐久シリーズに1台ずつ投入する。そしてこのS耐デビュー戦で、いきなりの優勝を飾った。
ホモロゲーションが取れての初優勝ということもあり、これが世界初の勝利となった。ジェントルマンドライバーの星野敏を強力にサポートしたのは近藤翼とアストンマーティンワークスから派遣されたダレン・ターナー。
ターナーは初めての鈴鹿ながら最後の2スティントを堂々の走行でトップチェッカーを受けた。
■こちらもデビュー戦優勝のメルセデスAMG GT4
参加台数が4台に増えたFIA GT4車両によるST-Zクラス優勝したのはエンドレススポーツのメルセデスAMG GT4。こちらも国内レース初登場でのデビューウインだった。
V8、4リッターツインターボエンジンを搭載するモデル。以前、スーパーGTで旧型のAMG GT3をドライブしたことのある山内英輝は、「GT3はレーシングカー、GT4はロードカーというぐらい違います」と違いを語る。
「特にGT4は車高も上げられているので、それなりのロールもあります。ただすごく扱いやすいのでジェントルマンドライバーやビギナーにはピッタリかもしれませんね」と評価した。
GT3車両に比べ改造範囲が狭く車両価格やランニングコストも安価で済むことで、今後も台数が増える可能性もある。
■デビューウインを逃したKTM X-Bow GT4
今回ST-Zクラスにデビューしたオーストリアの二輪メーカーとしておなじみKTMのX-Bow。既にニュルブルクリンク24時間など海外のレースに参戦してはいたが、国内レースはこれがデビュー戦となった。
2リッターエンジンをミッドに搭載するが、性能調整前の乾燥重量は1tを切る軽量なマシンだ。
キャノピーが前方に開き、ピラーがない独特なスタイルをしているが、「フォーミュラみたいな景色ですよね。ただ規定で車高を上げられていてロールも大きくロードカーみたいな動きです。その分扱いやすいですが」と飯田太陽。
公式予選ではクラスポールを獲得する速さを見せたが、決勝ではキャノピーが開いてしまうというトラブルのために、余計なピットインを強いられ2位でゴールとなった。
■ゼッケンや順位よりわかりやすく!
スーパー耐久シリーズでは、2019年からフロントウインドウの助手席側に各車両のゼッケンがステッカーとして貼付されることになった。
これまでゼッケンのナンバーはボンネットやドアなどで確認はできていたが、フロントウインドウに大きく表示された数字は非常に読みやすい。海外のレースでは以前から導入されていたが、これはファンも歓迎だろう。
そして、昨年試験的にST-Xクラスに導入されていた「レースポジションディスプレイ」の装着が、今年はST-X、Z、TCRクラスに義務付けとなり、他のクラスでも装着する車両が登場した。これでコースサイドからも順位が確認できるわけで、レース展開がつかみやすくなった。ファンはもちろんコースサイドのカメラマンにも好評だ。