バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が表彰台を獲得するのは、2018年第9戦ドイツGP以来のことだった。2019年シーズンのMotoGP第2戦アルゼンチンGPで、ロッシはアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)と接戦を繰り広げた末に2位を獲得。久々のポディウムに立った。
4番手スタートのロッシは、序盤からドヴィツィオーゾとドッグファイトを展開した。先頭を走るマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は序盤の5周ですでに2番手のドヴィツィオーゾとの差を約4秒に広げ、先頭を譲る気配はない。
ロッシは5周目にはジャック・ミラー(プラマック・レーシング)を交わして3番手に浮上すると、ドヴィツィオーゾの背後に迫る。そこからラストラップまで、ドヴィツィオーゾとの2番手争いが繰り広げられることになった。
序盤に3番手に浮上したロッシはドヴィツィオーゾから何度か2番手を奪うが、レース中盤あたりからドヴィツィオーゾの背後にぴたりとつけ、その様子を観察する。ふたりのラップタイムは拮抗しており、ロッシはドヴィツィオーゾとの差をほぼ0.15秒以内でキープ。ロッシは最後の勝負に備えた。ロッシが得意としてきた、虎視眈々と牙を研ぐスタイルだ。
それでも、レース中にはすべてロッシの思惑どおりとはいかなかったらしい。
「もう少し速く走れると思っていたから先頭をねらったけれど、気温が上がったことで少しばかり苦戦してしまったね」
集団だった2番手争いは、徐々にドヴィツィオーゾとロッシが抜け出す形になる。ロッシはラストラップの勝負にミスは許されないと考えていた。
「ドヴィ(アンドレア・ドヴィツィオーゾ)は2番手を守り、いいペースでレースを進めていた。後続を引き離すことができた」
「2番手をドヴィツィオーゾから奪うには、本当に緻密なブレーキングが必要だった。1cmのミスも許されない。そうでなければ、ドヴィは僕を抜いてしまうだろうから。(最終コーナーの7コーナーでオーバーテイクを仕掛けたとき)うまくいった。とても素早くインに入ることができたんだ」
力強い走りとオーバーテイクで、見事に2位の座を手にしたロッシ。厳しい時期を経て獲得した久々の表彰台に、「(ここまで)とても長かった」と喜んだ。