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F1バーレーンGP決勝:独走ルクレール、初優勝目前でまさかのトラブル。波乱の展開でメルセデスが逆転1-2

2019年04月01日 02:11  AUTOSPORT web

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F1バーレーンGP決勝 トラブルによりF1初優勝を逃してしまったシャルル・ルクレール
3月31日現地時間午後6時10分、バーレーンGP決勝のスタートが切られ、メルセデスのルイス・ハミルトンが逆転優勝を飾った。2位はチームメイトのバルテリ・ボッタス、3位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)という結果に終わった。

 決勝日の昼間は暑くなったものの陽が沈んで気温は25度、路面温度は29度まで下がった。日曜は朝から風が強く、風速25km/hを超えるメインストレートに吹く向かい風、ターン6や最終コーナー入口の追い風が車体の空力安定性に及ぼす影響が懸念される。

 予選中に必要以上のスロー走行をしてランド・ノリス(マクラーレン)を妨害したと判断されたロマン・グロージャン(ハース)は3グリッド降格のペナルティが科されて11番グリッドに下がり、キミ・ライコネン(アルファロメオ)、ノリス、ダニエル・リカルド(ルノー)がひとつずつ繰り上がった。

 Q3進出勢はQ2で使用したソフトタイヤでスタートするが、それ以下もミディアムタイヤを履いた最後尾のロバート・クビサ(ウイリアムズ)を除く全車がソフトタイヤを選択した。14番グリッドのセルジオ・ペレス(レーシングポイント)だけが新品のソフトを選択した。

 ポールポジションのルクレールはスタート発進で出遅れ、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が2番グリッドからターン1のインを突いてトップへ。ターン2~3の立ち上がりで好位置を得たボッタスはそこからの加速でルクレールを抜いて2番手に上がりルクレールは3番手まで後退してしまう。

 しかし、2周目のメインストレートでボッタスを捕まえてターン1でパスし、首位ベッテルにプレッシャーをかけていく。さらに後方からハミルトンもボッタスを抜いて3番手に上がりボッタスは4番手へ後退してしまった。


 1周目のターン2ではランス・ストロール(レーシングポイント)がグロージャンを押し出すようなかたちで左リヤをパンクさせ、フロントウイングにダメージを負ったストロール自身も含め2台ともがピットインを強いられ最後尾に転落した。

 4周目のターン4でマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のアウト側に並びかけたカルロス・サインツJr.(マクラーレン)は、イン側を守るフェルスタッペンと接触してフロントウイングを落とし、大きく後退してピットインを余儀なくされてしまった。

 ルクレールは5周目のターン1でDRSを使ってベッテルのインを窺うがベッテルがブロック。「僕の方が速い!」と訴えるルクレールは翌6周目に再びDRSを使って仕掛け、自力でベッテルを抜いて首位に浮上した。しかしベッテルもルクレールに1秒差でついていく。

 8周目にペレスが先陣を切ってピットインすると、翌9周目にはライコネン、ガスリー、アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)もピットイン。

 ガスリーはここで左リヤの交換に手間取って5.6秒を要してしまい、アルボンに先行を許してしまう。さらに10周目にノリス、ケビン・マグヌッセン(ハース)もピットインしてそれぞれミディアムタイヤに交換する。

 5番手フェルスタッペンは11周目にピットインし12周目にはボッタスとニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)もこれに続く。フェルスタッペンはボッタスのアンダーカットに成功するが、ボッタスはすかさず13周目に逆転して順位を取り戻した。

 この間に8番手まで浮上していたダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)は、ターン11でアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)にインから突かれてスピンを喫し、そのままピットに飛び込んだが、アルボンとそれを抜いたガスリーの後方16番手まで後退してしまう。

 13周目に首位ルクレールとハミルトンがピットインし、翌14周目にベッテルもこれに続くが、タイヤのデグラデーション(性能劣化)が大きく先にピットインした方が有利だったため、ベッテルはハミルトンの後方に回ってしまう。

 これで上位勢は首位ルクレール、2番手ハミルトン、3番手ベッテル、4番手ボッタス、5番手フェルスタッペンの順となり、中団トップの6番手はライコネンとヒュルケンベルグが争う。

 21周目のターン1でヒュルケンベルグがDRSを使ってライコネンのインに飛び込み、中団トップに浮上した。

 17周目のターン2~4でガスリーはマグヌッセンをパスして11番手に浮上。


 首位ルクレールは2番手のミルトンに6秒差を付けて快走。ハミルトンは後方から1秒以下の差でベッテルのプレッシャーを受ける。4番手ボッタスはそこから8秒以上遅れて5番手フェルスタッペンが3.5秒差で続く。

 23周目のターン4でベッテルはハミルトンのスリップストリームに入りDRSを使って易々とハミルトンをパスし2番手を取り戻した。

 24周目、多くのマシンが2ストップ作戦に出るのに対し、1ストップ作戦で活路を見出そうと最後まで引っ張っていたリカルドがピットインしミディアムタイヤに交換。マグヌッセンの後方13番手でコースに戻った。

 ノリスは26周目のターン1でライコネンを抜いて7番手に上がり、前のヒュルケンベルグを追いかけていく。ガスリーはじわじわと前走車をパスして9番手まで浮上してきた。

 25周目にアルボンが2回目のピットインを行ない、再びミディアムタイヤに繋ぐ。しかし他車はタイヤマネージメントに徹してミディアムタイヤを長く保たせている。


 32周目にフェルスタッペンはタイヤのグリップが大幅に低下し、周回遅れのストロールにすら先行されるような状態に。すぐさまピットインするが左フロントに手間取って4.7秒をロスしてしまった。

 ヒュルケンベルグもこの周にピットインし、翌33周目にはライコネンとペレス、34周目にはノリスがピットイン。上位勢も33周目に3番手ハミルトン、翌周にベッテルもピットインしてハミルトンの前に戻るがそのギャップは一気に1秒に縮まった。

 37周目のターン4でベッテルのアウト側に並びかけたハミルトンは、サイドバイサイドのままターン5でインに飛び込むが抜けず。翌38周目のターン4でハミルトンが同じようにアウト側に仕掛けてサイドバイサイドのまま抜けてオーバーテイク。

 ベッテルはターン4出口でスピンを喫し、その際のダメージが元でバックストレート走行中にフロントウイングが弾け飛び、ピットストップを余儀なくされ9番手まで後退してしまった。

 36周目にピットインしたルクレールは首位のままコースに戻り、37周目にピットインを済ませたボッタスは3番手に浮上した。ベッテルはノリス、リカルド、ヒュルケンベルグをパスして43周目に5番手まで復帰した。

 45周目、ルクレールは「エンジンが何かおかしい!」と訴え、ペースが1秒ほど低下する。46周目にはさらに2秒もスローダウンして後方からハミルトンが急速に近付いていくる。

 MGU-Hからの回生ができなくなっており、ストレートでディプロイメントが切れてスピードが伸びず、48周目の最終コーナー手前でハミルトンが易々と抜いて首位を奪い取っていった。

 ルクレールは後方のボッタスとの間に30秒のギャップがあり、1周5秒遅いペースで走り続ける。ルクレールはMGU-Hが使えずストレート最高速が40km/hも低下している上に燃費セーブも必要となり、ペースは1分41秒台まで低下。

 6秒速いペースで追いかけるボッタスが追い付き、54周目にパスして2番手へ。フェルスタッペンも追い付いていくが、54周目のターン1ではヒュルケンベルグがエンジントラブルでストップ。さらに同じ周のターン1でリカルドもパワーを失ってストップ。

 電気系の警告表示が出ており車両回収がすぐにはできないためセーフティカー導入となり、フェルスタッペンは僅かに表彰台に届かなかった。

 セーフティカー導入のままハミルトンが今季初優勝を飾り、2位ボッタス、3位にルクレールが入り不運に見舞われたものの自身初の表彰台獲得を果たした。

 フェルスタッペンは4位、5位ベッテル、ノリスが6位でF1初入賞、7位ライコネン、ガスリーは8位まで挽回、9位にアルボンが入りこちらも初入賞を果たし、10位がペレスという結果になった。