「Q1とQ2が終わったときは、ここまでは戦えないかもしれないと思っていたから、5番手にはちょっと満足している」
予選後に開かれた会見に現れたマックス・フェルスタッペンは、微笑みながらそう言った。
F1第2戦バーレーンGP2日目の土曜日、レッドブル・ホンダは想像以上に苦しんだ。土曜日は1時間のフリー走行と予選が行われ、使用されるタイヤは最も軟らかいソフトタイヤが多用される。今週のレッドブル・ホンダのふたりはこのソフトタイヤに手こずった。
「今週末はクルマのバランスに苦しんでいて、特にソフトタイヤでのグリップ力不足に苦しんだ。ここはストップ・アンド・ゴー型のサーキットでトラクションが重要となるけれど、オーバーステアがひどく、パワーをかけようとすると、リヤが流れてしまい、思い切ったアタックができないんだ」(フェルスタッペン)
チームメイトのピエール・ガスリーは、Q1は14番手でかろうじて通過したが、Q2は0.055秒差でトップ10入りを逃した。「今週末のセッションの開始から僕たちはずっと苦戦していた。特にマシンのリヤがきつい。いろいろと改善を試みたけど、いいセットアップが見つけられなかった」(ガスリー)
■一発のアタックで予選5番手に飛び込んだマックス・フェルスタッペン
Q1を9番手、Q2を7番手で通過したフェルスタッペンも、Q3ではいつもトップ3チーム(メルセデス、フェラーリ、レッドブル)が見せるような横綱相撲はとれない状況にいた。通常、予選上位を目指すトップ3チームはQ3で新品のソフトタイヤを2セット使って、2アタックする。しかし、この日、フェルスタッペンは8台が1セット目のタイヤを履いて最初のアタックに出た後も、ガレージにとどまったままだった。
バーレーンGPにメルセデス、フェラーリと同様、9セットのソフトタイヤを持ち込んだフェルスタッペンは、金曜日に3セットを使用。さらに土曜日のフリー走行3回目に2セット使用したため、予選には4セットしか残っていなかったからだ。
これはポールポジションを獲得したフェラーリ勢も同様だが、余裕でQ3に進出できるスピードがあれば、Q1とQ2で1セットずつしか使用することがないので、Q3で2セットの新品ソフトを温存することができるが、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)のようにQ2で2セット使用してQ3へ進出してしまうと、トップ3チームでもQ3では1セットのタイヤによる1アタックだけしかできなくなってしまう。
田辺豊治F1テクニカルディレクターも「今回は予選モードの使い方もメルボルンとは違っていました」と言うように、メルボルンではQ3で使用した予選モードを、Q2から使用していたことを示唆している。それでも、レッドブルとフェルスタッペンに慌てる様子は見られなかったと田辺TDは振り返る。
「Q3は1回だけのアタックだったけど、あれ以上の走りはできなかったと思う」というフェルスタッペンのタイムは、フェラーリ勢、メルセデス勢に次ぐ、5番手となる好タイムだった。
ソフトタイヤに苦しみ、トップ3チームの座から陥落しそうになった土曜日のレッドブル・ホンダ。その座を最後のアタックで取り戻した。