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東海オンエア・りょう、YouTuber×現場監督の二重生活を明かす「まず、休もうと思うことを禁止した」

2019年03月31日 08:21  リアルサウンド

リアルサウンド

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 愛知県岡崎市を拠点に活動する6人組の人気YouTuber・東海オンエアが3月28日、『りょうはサラリーマンでした』と題した動画を公開した。


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 りょうは東海オンエアのなかでも随一のイケメン(本人は否定)で、いたずら好き&怖いものナシというぶっ飛んだところもあるが、基本的に社会常識があり、クリーンな印象の強い人気者だ。過激な動画も多いグループのなかで、ときに悪ノリの加速装置になりながら、視聴者の気持ちを代弁するストッパーにもなるという、なくてはならないバランサーのような存在と言える。動画への出演頻度も高く、430万人のチャンネル登録者数を誇るモンスターグループの土台を支えるひとりだ。


 今回の動画で、そんなりょうが実はこの3月までサラリーマンとYouTuberの二足のわらじを履いていたことを明かした。これまでは非公表だったが、りょうは岡崎市で建設会社を営む家に生まれたという。大学3年生の3月、すでにトップYouTuberへの道を歩み始めていた東海オンエアの活動も、家業も疎かにしないと覚悟を決めていたりょう。とはいえ、自分を「凡人」と語る彼は、いきなり実家の会社で経営に携わるのではなく、メインの業務としている施工管理を学ぶ必要があると考えた。そこで、「現場監督兼トップYouTuber」という、未知の活動へのチャレンジが始まった。


 問題は、どこで現場監督を経験するかだ。実家の会社は、「何も知らない社長息子が入ってきたら気を使わせるし、自分のためにもならない」ということで却下。また、現場監督は外で働く仕事でもあり、地元岡崎ではすぐにファンが気づいてしまうため、こちらもNG。そこで岡崎市に近く、YouTuberとしての活動にも柔軟に対応してくれそうな、中小企業を探したという。


 しかし、いまでこそ市民権を得つつある「YouTuber」という仕事/生き方も、数年前は理解されておらず、りょうは当時の自分を「変なことをしてちょっとだけ有名な小僧で、しかもすぐ辞めるという。そんなやつ、絶対会社にいらない」と振り返る。すべて包み隠さず話し、内定をもらえたことに驚いたそうだ。ということで、週5~6日、日中は岡崎市の隣にある豊橋市の建設会社で働き、それ以外の時間を東海オンエアに費やすという、二重生活がスタートしたのだった。


 現場監督の仕事は、決して片手間で務まるものではない。現場に立つだけでなく、原価管理、工程管理、施工管理、安全管理を一貫して行ない、どの工程でも手を抜くことは許されない。そんななかで、りょうは「まず、休もうと思うことを禁止した」という。東海オンエアとしての活動にも手抜きはなく、平日の夜でも必要とあれば岡崎に戻り、また平日、どうしても抜けられない案件、例えばイベント出演などがあれば、会社のルール内でどうにか時間を作るようにした。


 そんな多忙な生活をまったくと言っていいほど感じさせず、楽しい動画を届けていたりょう。これはスゴい、と単純に思ってしまうが、本人は「環境に恵まれていただけ」とこともなげに語る。カリスマYouTuberである5人のメンバーが、自分に合わせて週末に撮影を行なってくれること、建設会社でも、急な撮影が入れば必ず誰かが助けてくれたことーー自分の努力より、それが普通のことではない、というのだ。


 今後は東海オンエア一本で活動していくというりょう。しかし、建設業からまったく離れるつもりはなく、この3年間で学んだことを活かし、自分なりのかかわり方を見つけていきたいと語った。「僕が大きい人間になれば、僕とかかわったすべての人への恩返しになると思うので、ここから数年は東海オンエアで、どんどん面白いことをしたい」と語り、最後には東海オンエアのメンバー、建設会社を始め、自由な活動を認めてくれた両親、気にかけてくれたYouTuber仲間を含めた友人たち、事務所の人々、最後まで秘密を守ってくれた豊橋の人々にも感謝の言葉を述べていた。


 また動画概要欄では、若い視聴者に対して、この二重生活のなかで多くの業種の人と出会ったなかで、「明らかに楽な仕事だな~と思えるものは一つもありませんでした」として、それでも世の中の大半の人は仕事をしており、尊敬に値すると語った。「ただひたすら運がいい僕よりも、もっと身近な人に尊敬と感謝を伝えてください。僕への尊敬は僕の周りの人への尊敬として受け取っておきます。いつもありがとうございます」と。


 りょうはファンから見れば、ルックスもよく、普通ではない発想と行動力を持ち、そして人を気遣うことができるスーパースターだ。しかし、彼はいつでも、自分を「周りの人に恵まれる天才」だとして、それを認めようとしない。それは単なる謙遜ではなく、この二重生活のなかで得た広い視野によるものなのだろうと、いまは思える。


 活動を一本に絞り、さっそく「編集」というスキルを身につけつつあるりょうが今後、東海オンエアとしてどんな活躍を見せてくれるのかーーしかし、それが目に見えた変化になるかどうかわからない、と思わされてしまうのが、彼のこれまでの努力の証なのかもしれない。


(橋川良寛)