F1開幕戦オーストラリアGPの決勝レースで、珍しい問題が発生していた。一部のドライバーからスタートシグナルが見えなかったという問題だ。その問題を訴えていたひとりが、ピエール・ガスリーだった。そこで何が起きたのか、バーレーンGPの木曜日の記者会見で直接、聞いてみた。
「かなりやっかいな状況だった。たぶん、後ろのラッセルも同じ問題を抱えていて、(最後尾だった)クビカも同じような問題を抱えていたと思う。フォーメーションラップのスタートのときは、ポジションが少しズレていたせいか、スタートシグナルは見えていたんだけど、フォーメーションラップを終えて、正しい位置に着いたら、右手前方にあるはずのスタートシグナルが、ダニール(・クビアト)のリヤウイングで隠されていて、レッドライドが点灯するのが見えなかったんだ。ちょっと焦ったよ。 だから、他の人のスタートの動きに合わせてクラッチをつなぐしかなかった。もちろん、理想的な状況ではなかったよ」
ガスリーのオーストラリアGPでのスタートポジションは、17番手。クビアトはひとつの前の15番手にいた。オーストラリアGPのポールポジションはアウトサイド(進行方向左側)なので、スタートライン中央にあるスタートシグナルはガスリーから見ると右手前方にあたる。
では、ひとつの前の15番手にいたクビアトはどうだったのか?
「僕は何も問題はなかった。スタートシグナルはいつもと同じように完全に見ることができた」(クビアト)
するとクビアトの隣に座っていたガスリーはこう返した。
「それはたぶん、ダニールが身長が高かったからだよ。まあ、いずれにしても、あのポジションからスタートすることになったことが最大の原因。次からはもっと前のグリッドからスタートするようにするよ 」
■サブシグナルは設置されているものの、後方のドライバーには見えず
あるチーム関係者によると、「F1のスタートシグナルは、スタートライン上にあるメインシグナルのほかに、2016年まで後方グリッド用にサブシグナルが設置されていたけど、2017年にリヤウイングが低くなったのにともなって、サブシグナルはなくなっていた。ただし、今年はリヤウイングのサイズの幅と高さがそれぞれ大きくなって、再び視認性の問題が発生したというわけだ。
しかし昨年、ヘイローが装着されるようになってサブシグナルが復活したいたはずだ。だが、そのチーム関係者は、次のように説明する。
「ヘイロー用のサブシグナルは後方グリッド用に後方に設置されたのではなく、前方グリッドのドライバーが視線を上げたときにヘイローに邪魔されて見えないことを防ぐために、メインシグナルよりも低い位置のアウト側に設置されている。そのため、後方グリッドのドライバーからはこれも見えないんだよ」
ちなみにオーストラリアGPでスタートシグナルが見えなかったのは、後方の4人のみ。20番手のロバート・クビサは「グリッドに止まったとき、ひとつ前の18番手スタートのカルロス(・サインツ)のリヤウイングで、5つあるライトの最初のブロックは見えたけど、残りは見えなかった。だから、左側に体を動かした。ちょっとしたパニックに陥った瞬間だったよ」と語っている。
FIAは適切な解決策に取り組み始めているが、バーレーンGPで恒久的な解決策が採用されるという情報は現時点では入っていない。