『連続ドラマW 神の手』が6月23日からWOWOWで放送される。
久坂部羊の小説『神の手』をドラマ化する同作は、苦渋の決断で21歳の末期がん患者・古林章太郎を安楽死させた外科医・白川泰生が主人公。章太郎の母でジャーナリストの康代がそれを告発したことから安楽死法案の成立を巡って医学界、政界、マスコミ、市民団体を巻き込んだ大騒動に発展する、というあらすじだ。
推進派、反対派の双方から接近され、世論の激しい論争にも翻弄される主人公の白川役を演じるのは椎名桔平。監督は『キセキ-あの日のソビト-』『泣くな赤鬼』などの兼重淳が務め、脚本は田中洋史、幸修司が手掛ける。
椎名桔平は「すぐ先の日本に必ずやってくる、『終末期医療はどうあるべきなのか』という社会問題を、この作品を通して一緒に考えてもらえれば嬉しいですね。そして、少しでも皆さんがこの先の人生を、前に向かって生きる何かに繋がればと願っています」とコメント。椎名と原作者の久坂部は、医療ドラマ『破裂』に続いて2作目のタッグとなる。
■椎名桔平のコメント
・意気込み
2015年にドラマ化された『破裂』に続き、今回の『神の手』で主人公の医師役を演じさせて頂く事を嬉しく思います。それと同時に久坂部先生の作者=医師だからこそのリアリティを存分に感じさせられる物語は、演じる役者に覚悟を突きつけてきます。気を引き締めて、兼重監督と共に、この「禁断の医療ドラマ」に挑みたいと思っています。
・「安楽死」という題材を描いた脚本を読んだ時の感想
無意識に目を背けてきた大きな問題に、まるで自身が直面したかの様な錯覚と驚きに襲われました。医療の限界と人間の尊厳に、どう対処していかなければいけないのかを、強く、深く、考えさせられます。
・視聴者へのメッセージ
すぐ先の日本に必ずやってくる、「終末期医療はどうあるべきなのか」という社会問題を、この作品を通して一緒に考えてもらえれば嬉しいですね。そして、少しでも皆さんがこの先の人生を、前に向かって生きる何かに繋がればと願っています。
■久坂部羊のコメント
・『神の手』のドラマ化についての思い
原作は安楽死を行う医師側の視点で、その是非と葛藤を描いたものです。さらに、日本の医療崩壊を阻止するため、過激な医師グループが「医療庁」の設立を画策するサイドストーリーを絡めています。そこに医師の不倫、政治家の暗躍、医師団体の崩壊、十人以上の殺人を入れ、小説を面白くするために“全部盛り”にしたような作品です。今から思うと詰め込みすぎです(笑)。それがドラマとしてどう料理されるか、楽しみにしています。
・主演・椎名桔平についての印象
椎名桔平さんには、以前、拙作『破裂』のドラマ化でも主人公の医師を演じていただきました。その知性、葛藤、秘めた野望、窮地に陥ったときの懊悩など、内面の表現は素晴らしいものでした。今回の白川も、誠実であるが故に、医療の限界と不条理に翻弄される医師なので、まさに椎名桔平さんはベストのキャスティングだと、心より嬉しく思っています。
・視聴者へのメッセージ
安楽死はふだん皆さんの生活にはあまり関わりがありませんが、死ぬときには必要になる場合があります。
安楽死法がない日本は、「安楽死禁止法」が施行されているのも同然です。かといって、安楽死を安易に認めてしまうと、さまざまな危険が生じます。ドラマを通じて、この問題に少しでも多くの方が関心を持ち、皆さんがよりよい死を迎えるためのよすがになればと期待しています。