2019年のWRC世界ラリー選手権第4戦ツール・ド・コルスは3月29日、SS1~6が行われ、Mスポーツ・フォードのエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)が総合首位につけた。ポイントリーダーのオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)は4.5秒差の総合2番手だ。
2019年シーズン最初の本格的ターマック(舗装路)イベントとなるツール・ド・コルス、その走行はセレモニアルスタートから一夜明けた29日(金)、現地8時29分にスタートを迎えた。
オープニングのSS1では、2番手スタートだったセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)がステージ中盤でハーフスピンしたほか、クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)は左フロントタイヤにトラブルが発生、セバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)もコーナーでオーバーシュートし、マシンリヤを損傷するなど波乱の幕開けとなる。
そんなSS1でトップに立ったのが、Mスポーツのエバンス。ステージ2位につけたティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)に2.9秒ものギャップをつけて総合首位におどり出た。
続くSS2~3では、SS1を4位で終えたタナクが反撃し、総合首位を奪ったものの、ランチブレイクを挟んで迎えたSS4でエバンスがふたたびトップタイムを奪取。1.4秒差の総合首位に返り咲いてみせる。
勢いに乗るエバンスはSS5でもステージ優勝を飾り、リードを4.5秒まで広げ、この日最後のステージとなるSS6に臨んだが、ここでハプニングに見舞われてしまった。
エバンスは順位を争うタナクとそん色ないタイムでステージを走行していたが、ステージ中盤を過ぎたあたりでサスペンションダメージによってペースを上げられなかったクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)に追いついて前を塞がれる格好に。道幅が狭いことが特徴のツール・ド・コルスでは進路を譲ることも安易ではなく、ミークもなかなかエバンスに道を譲れない。
やや道幅が広くなったところで、ようやくエバンスが前に出たものの、大きくタイムロス。タナクから11.7秒も遅れてのフィニッシュとなり、総合首位から陥落してしまった。
しかし、エバンスのタイムロスは不可抗力によるものだったこともあり、Mスポーツからはタイム調整のリクエストが出されることに。トヨタも公式Twitterで「エバンスがフェアな判断を受けられるようMスポーツに協力する」としたほか、前を塞ぐ格好となったミークもステージ完走直後、エバンスに謝罪。Twitterでも「エルフィン(エバンス)を抑える形となり申し訳なく思うが、意図的に行ったものではなかった。オーガナイザーが適切な判断をすると望んでいるし、こんな形で優勝争いに関わりたくはない」と投稿している。
その後、オーガナイザーはMスポーツによるリクエストを受け入れ、エバンスのタイムをステージ2位に入ったタナクと同タイムに繰り上げると決定。これによりエバンスは4.5秒リードの総合首位で競技初日を終えることになった。
「最後のステージ(SS6)で起きたことは受け入れるのが難しいものだったけど、最終的には公平な判断をしてもらえた」とエバンス。
「全体的に今日はポジティブな1日だったけど、2日目も厳しい戦いになるだろう。オット(タナク)とは激しいバトルになるだろうけど、すべてが完璧に噛み合えば僕たちのほうが速さを発揮できるはずだ」
タナクに続く総合3番手はティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)でトップとは9.8秒差。総合4番手はダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)でトップとは26.1秒のギャップがついている。
トヨタの残る2台のうち、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)はSS2でタイムを伸ばせず順位を落とした上、午後の走行ではスローパンクチャーに見舞われてタイムを失ったため総合13番手。ミークはSS1でのタイムロスに加え、SS5でサスペンションにダメージを負ったため、総合16番手で走行を終えている。
そのほか、王者オジエは総合6番手、このツール・ド・コルスで4度の優勝経験を誇るローブは総合8番手だった。
下位クラスのWRC2にトミ・マキネン・レーシングから参戦している勝田貴元(フォード・フィエスタR5)は総合21番手で初日を終えている。
ツール・ド・コルスの競技2日目となる30日(土)は、SS7~12までの6SSで争われる。