「今日はPU側にはトラブルなく、金曜日のプログラムは消化できました」
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、F1第2戦バーレーンGPの初日のフリー走行をそう振り返った。しかし、結果はマックス・フェルスタッペンは、メルセデスとフェラーリに及ばなかっただけでなく、ルノーのニコ・ヒュルケンベルグの後塵を拝しての6番手。チームメイトのピエール・ガスリーは12番手に終わった。
いったい、何が起きたのか? フリー走行2回目では、フェルスタッペンが無線で「最高速が伸びない」と訴えていた。そのときの状況を田辺TDは、こう説明した。
「フェルスタッペンが最高速が伸びないと言ってきたのは、彼の走行中にメインストレートで向かい風だったんです」
それがいつ吹いたのかは田辺TDは正確に覚えていないというので、フェルスタッペンに直接、聞いてみた。
「あれは、ソフトタイヤでのアタックラップだったと思う。ものすごい風だったよ。1コーナーでターンインした途端に今度は追い風になってダウンフォースが抜けて、リヤがものすごく滑ったからね」
この日のバーレーン・インターナショナル・サーキットは、終日、北風が吹いていた。つまり、メインストレートで向かい風だった。もちろん、それ自体はフェルスタッペンだけでなく、すべてのドライバーも同じ条件だったが、フェルスタッペンのアタック中に、その風が突然、強くなった。
■突然の強風はデータとしても確認
「最終コーナーを立ち上がってホームストレートに出たら、車速が伸びないんです。そこでピトー管(速度を計測する圧力計で、コクピットの前方に立っている金属の細い管)の車速とタイヤでの車速データを見たら、ピトー管での車速は出ているのに、タイヤ車速が落ちいていました。エンジン出力を見たら、変わっていなかったので、明らかに風の影響です。正確な風速は覚えていませんが、びっくりするくらいの数値でした。しかも、それは最終コーナーを立ち上がってから、1コーナーまでずっと吹いていました」(田辺TD)
次にガスリーの失速の理由だ。田辺TDによれば、エンジンブレーキに課題を抱えていたようだ。
「ガスリーはフリー走行1回目からエンジンブレーキが安定していませんでした。改善してフリー走行2回目に臨んだんですが、まだ完璧ではなかった。今日の違和感は普段に比べて大きかったので、明日に向けての課題です」
バーレーンGP初日のトップタイムは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが記録した1分28秒846。トップとのタイム差は、フェルスタッペンが0.879秒。ガスリーは1.583秒。土曜日の予選までに、どこまで詰められるか。バーレーンGP初日のレッドブル・ホンダは、いきなり長い夜になりそうだ。