日本経済新聞が3月27日に出した「『氷河期世代』に能力開発を」という記事が、氷河期世代の間で注目を集めている。同日の経済財政諮問会議で議論された内容を扱ったもので、中でも、
「不況期に就職し、正社員になっていない『氷河期世代』などが取り残されないような教育促進策の推進も確認した」
という内容に、ネットでは氷河期世代から「遅い!」と怒りの声が上がった。(文:okei)
「再教育して社会に出る云々て時期はとっくに過ぎてる」
氷河期世代の定義は諸説あるものの、主に現在30代後半~40代前半の世代があたるとされる。つまりほとんどがアラフォーだ。今から能力開発と言われても、既に経験が問われる年代。記憶力も怪しく体力も落ちてからそれを言うか……と憤りを抑えられない人が多い。
ガールズちゃんねるでは「もうアラフォーだよ。今更」「おせええええよ」「今更??もう凍死しましたよ、私」
といった叫びが上がり、コメントは1500を超えた。5ちゃんねるでは、
「教育以前にスタート切り損ねたらチャンスすらないんだぞ」
「遅すぎ 既に取り残されてんだろ。取り返しつかねー爪痕になってる 不景気少子化の最大原因じゃないか」
「ブラックで潰れた俺みたいな者も居るだろうし親の介護問題とかもう再教育して社会に出る云々て時期はとっくに過ぎてる」
など、怒りや否定的なコメントが相次いでいる。
再教育など的外れで、「非正規の最低賃金を今の2倍にするだけでいいだろ3倍と言いたいところだが」「必要なのは教育よりも雇用機会」など、雇用制度・システムを変えて対応すべきという指摘が溢れていた。
「実現される頃には50代になってるかもね」「今までいつでも出来たことなんだぞ」
また、具体的な政策が出た訳ではないため、
「なんだまだ議論段階じゃん。 実現される頃には50代になってるかもね」
「ほらな また嘘ついた。今までいつでも出来たことなんだぞ。更に移民で追い討ちかけます」
などの冷めた見方も多数出ている。政府もこれまで無策だったわけではないが、多くの人にとって効果的な支援とまでは言えない。コメントは、今までずっと見ないふりをされてきた苦々しさが言葉の端々ににじみ出ている。「氷河期世代当事者の問題ってだけであって自分は関係無いとか思ってる連中多すぎて笑えるよなwソレで済む訳ないだろって」と嘲笑う人もいた。
アラフォークライシスが日本全体の大問題であることは、もう何年も前から指摘されていることだ。2017年12月に放送されたNHK総合の「クローズアップ現代+」などは、非正規雇用や親の年金で暮らすアラフォーたちの経済不安を映し出し、就職氷河期は決して過去の問題ではないと警鐘を鳴らしている。
こうした指摘があるにも関わらず、氷河期世代たちは「自己責任論」に苦しめられている。能力開発支援が実現しても、根本は自分で何とかせねばならない。ネット上では就活当時を振り返り、「みんな100社以上受けたよね。仕方なくブラックに入って体壊した人もいるね」などの声も出ている。この世代の苦しみを「自己責任」で済ますのはあまりにも酷だ。もはや大規模災害の被災者みたいなものではないだろうか。