今年10月17日の誕生日で40歳の大台に上がるキミ・ライコネンは、もちろん現役最年長のドライバーである。そして開幕戦終了時点で295戦のレースに出場しており、今季中にはミハエル・シューマッハーの307戦、フェルナンド・アロンソの312戦を抜いて、ルーベンス・バリチェロの323戦に次ぐ歴代2位の出走記録保持者となる。
しかし囲み取材の冒頭でそれについての感想を聞いたところ、「そんな数字、全然興味ないよ」とすぐに返すところが、相変わらずのライコネンである。
──とはいえ2020年も現役を続ければ、バリチェロを抜いてGP最多出場ドライバーになりますよ。
ライコネン:それが何だっていうわけ?300戦だろうが2万戦だろうが、全然関係ないことだよ。僕がレースを続けているのは、レースを戦いたいから。それだけだ。その気持ちがなくなったら、すぐに止めようと思っている。記録とかデータとかもともと興味がないし、そういうことで他のドライバーと自分を比較する気もない。いつも大事にしたいのは、自分の気持ちなんだ。
──フェラーリ時代と今とで、一番の変化は何でしょう。フェラーリはいつも勝利のチャンスがあったトップチームでしたが、アルファロメオではそれは望めないわけですが。
ライコネン:おいおい、そうとは限らないでしょ(笑)。これから勝ちまくるかもしれないよ。
──あくまで現時点で、ということですが(汗)
ライコネン:たしかに現状では、チームにトップを戦う力はない。それは開幕戦で、ある程度はっきりしたよね。でも同時にこのクルマには、十分な伸び代があるとも感じている。1日も早く十分な戦闘力を発揮できるよう、僕も協力を惜しまないつもりだ。とにかく今は、十分にレースを楽しんでる。
勝利に絡めないからといって、レースをするのがつまらないなんてことは全然ない。僕たちには僕たちの目標がある。それを達成できれば、十分にハッピーだよ。具体的にどれほどの戦闘力が望めるのか。本当に勝てないのか。それとも6位入賞ぐらいが、現実的なのか。それも今は、僕にはわからない。
■フェラーリから離れてプレッシャーが減ったライコネン
──フェラーリから離れたことで、プレッシャーはずっと減ったのは確かですよね。
ライコネン:それは、確かにそうだね。でも今のチームも、僕に多くを期待しているはずなんだ。それが具体的に何なのか、ちゃんと尋ねたことがないからわからないけどね。でもとにかくさっきから言っているように、僕は僕のできることを精いっぱいやるつもりだよ。7位入賞ならOKだけど、10位じゃダメだとか、そういう問題じゃないと思うんだよね。
──フェラーリからアルファロメオに移ったことで、レースへのアプローチも変わりましたか?
ライコネン:いや、それもないね。唯一ここに来て感じる変化は、メディアやマーケティング対応のスタッフが、全然少なくなったことだね。でもそれ以外の、これからシーズンをどう戦っていくかとか、そういう根本の部分に変化はないよ。
──今季はレギュレーションも変わったわけですが、ドライビングに関して変化は感じていますか。
ライコネン:どうだろう。今のところは、大きな違いは感じてないかな。これがたとえば2013年から2014年にかけてのレギュレーション変更の際は、まったく違うクルマになったと思ったくらいだったけどね(注:V8自然吸気エンジンからV6ハイブリッドターボに変わったのに加え、車体規約にもさまざまな変更が加えられた)。
当然、ドライビングに関しても、いろんなレベルでの適応を強いられた。でも今はあの時に比べれば、大した違いは感じないよ。