F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに?」と尋ねる連載企画。今回はフェルナンド・アロンソのフィジオ(理学療法士)であるエドアルド・ベンリネッリだ。
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開幕戦オーストラリアGPで見慣れた顔のレース関係者が、見慣れないチームウェアを着てピットに立っていた。その人物はフィジオのエドアルド・ベンリネッリだ。
ベンリネッリはアロンソがルノーでタイトルを初めて獲得した2005年からフィジオを務めている。その後、もう1人のフィジオであるファブリッツィオ・ボッラが加わり2人体制になった。2週連続でレースが続くときなどは、2人のフィジオが交代でアロンソのサポートを行なっていた。
そのベンリネッリが今年は、ウイリアムズのチームウェアを着て、グランプリに来ていた。アロンソとの関係はどうなったのか? いま誰のサポートをしているのか?
「フェルナンドとの関係はいまも変わらず、続いているよ。いまはフェルナンドがレースしていないので、ロバート(・クビカ)のフィジオとしてF1に来ている。インディ500やル・マンのときはフェルナンドのサポートを行い、もうひとりのフィジオがロバートの面倒を見る」
ベンリネッリは、アロンソのフィジオ以外にももうひとつの顔がある。それは、2つ年上の姉ロレーナの夫。つまり、アロンソの義理のお兄さんだということだ。
ただし、ベンリネッリは数年前にロレーナと離婚していた。さらにベンリネッリはアロンソのF1最後のレースとなった昨年のアブダビGPには来ていなかった。逆にアロンソの家族は父ホセ・ルイス、母アナ、姉ロレーナの過疎セクが全員集合していただけでなく、ロレーナはベンリネッリとの間に設けた2人の子供も連れてきていた。
筆者はベンリネッリがアロンソ家に気を遣ってアブダビGPに来なかったと思い込んでいたが、今年のオーストラリアGPで再開して、その話をしたら、じつは違っていた。
「私はロレーナとは離婚したが、定期的に2人の子供とも会っており、良い関係は続いているよ。アブダビGPを欠席したのはロレーナが理由ではない。じつは、あのレースはフェルナンドのラストレースになるかもしれなかっただけでなく、私と一緒に10年以上もフェルナンドをサポートしてきたファブリッツィオにとっても最後のレースとなるからだった」
そう、ベンリネッリは、もうひとりのフィジオであるボッラが引退の花道を飾る機会を作っていたのだった。フィジオは単なる理学療法士というだけでなく、心のケアも一流だった。