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インディカー最年少ウイナーに輝いたコルトン・ハータ。若きオーナーとの誓いが2戦目で実現

2019年03月29日 15:21  AUTOSPORT web

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コルトン・ハータとチームオーナーのジョージ・スタインブレナー4世
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で初開催されたインディカー・シリーズ第2戦では、ルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)が優勝した。昨シーズン最終戦ソノマがデビューのハータは僅か3レース目、18歳11ヶ月と25日と、19歳になる直前での初勝利達成となった。

 コルトンはインディカーで4勝した実績を持つブライアン・ハータの息子だ。

 ミシガン州デトロイト郊外に生まれ育ったブライアンは中学時代にカートで大活躍し、19歳でフォーミュラ・フォード、21歳でバーバー・サーブ・プロ・シリーズ、23歳でインディライツとタイトルを積み重ね、インディカーには24歳でデビューした。

 AJフォイト・エンタープライゼス、まだ勝ち始める前のチップ・ガナッシ・レーシング、チーム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの前身)、アンドレッティ・オートスポートなどで走った。インディカーの後にはアンドレッティでアキュラのLMP2スポーツカーにも乗った。


 2000年にコルトンが生まれたのは、カリフォルニア州ロス・アンジェレスのちょっと北のバレンシア。アメリカン・ホンダのレーシングアームであるホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)と、有名な遊園地マジック・マウンテンのある町だ。

■父ブライアンの考えたステップアップの道を辿ったコルトン
 10歳でのカートデビュー以来、ステップアップの見本のようなキャリアを歩んだ父が考え抜いたルートを辿り、コルトン少年は着々と経験を積み重ねていった。

 カートで勝ちまくってタイトルを次々と獲得。2013年に13歳でアメリカ西部地区のF2000シリーズ参戦し、チャンピオンになって翌2014年にはF2000のナショナルシリーズへ。その年にはアメリカを飛び出してフォーミュラBMW/アジアにも参戦した。

 2015年にはイギリスに渡ってF4、2016年もヨーロッパに残ってユーロフォーミュラ・チャンピオンシップとイギリスF3……と中学生のうちに世界を経験、様々なマシンを走らせた。

 トライした全カテゴリーで少なくとも1勝を記録したコルトンは、2017年に母国に戻るとインディライツにアンドレッティ・スタインブレナー・レーシングからエントリー。

 ランキング3位となってルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。2シーズン目はタイトル候補最右翼と目されたが、父ブライアンの二代続いてのインディライツ王者には惜しくもなれなかった。

 アンドレッティ・オートスポートで走ったパトリシオ・オーワードに栄冠をさらわれてのランク2位。それでも、父より6年も早い18歳でインディカーデビューを果たした。

 ブライアンは……というと、ドライバーを引退するとすぐにチームオーナーとしての活動をインディライツで開始。2010年にインディ500にスポット参戦し、2011年にはダン・ウェルドン起用で優勝。

 2016年にはアンドレッティ・ハータ・オートスポートの共同オーナーとして優勝。第100回インディ500でのアレクサンダー・ロッシの優勝はブライアンの打った大ギャンブル、奇跡的燃費作戦による勝利だった。

 インディカーのオーナーとなってから6年という短期間にインディ500で2勝した彼は今年もアンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・マルコ&カーブ・アガジェニアンの共同オーナーとして、マルコ・アンドレッティのピットでストラテジストを担当している。

 コルトンはそんな父の現役時代とまったく同じデザインのヘルメットを被っている。目元が特にブライアン似で、コクピットでの写真など見ると父親との区別がつかないぐらいだ。


 COTAでのコルトンの初勝利は、チームの共同オーナーたち、マイク・ハーディングとジョージ・マイケル・スタインブレナー4世にとってもアメリカン・トップ・オープンホイールで初めて体験する優勝だった。

 メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキースのオーナー一家に生まれたジョージ4世は、現在22歳。

 子供の頃にレースに興味を持ったが、自分がマシンに乗って戦うのではなく、自らのチームを持つことを夢見るようになった。

 コルトンがまだ12歳の頃に知り合ったというふたりは、「一緒にインディカーに行って成功しよう」という当時の約束を現実のものとした。そして、スタインブレナーもまたインディカー史上最年少の優勝チームオーナーとなった。

 このコルトンとスタインブレナーというコンビの結びつきは強く、今後も長くタッグを組んで活動し続けて成功を積み重ねて行くことになるかもしれない。