2019年03月29日 10:11 弁護士ドットコム
夫婦別姓の婚姻届の受理を求め、事実婚夫婦4組が全国3カ所の家裁で申し立てていた審判のうち、東京家裁と同立川支部は3月28日、申し立てを却下した。
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この審判は、昨年5月、国賠訴訟である第二次夫婦別姓訴訟の提訴に先立って申し立てられていたもの。申立人らは、夫婦同姓を義務付ける現在の民法は、別姓を求めるカップルを信条によって差別しているとして、憲法14条違反であるなどと訴えていた。
選択的夫婦別姓をめぐっては、2015年12月、「夫婦同姓は合憲」とする最高裁判断が出ている。しかし、夫婦別姓を求める世論の支持もあり、2018年には第二次夫婦別姓訴訟を含めた複数の訴訟が提起されている。また、地方議会でも法制度化を求める意見書が相次いて可決されるなど、社会的な議論となっている。
この審判は、第二次夫婦別姓訴訟の原告の一部が昨年3月、東京家裁と同立川支部、広島家裁の3カ所でそれぞれ申し立てを行っていたもの(広島家裁は3月28日現在、まだ審判が出ていない)。
却下の理由として、東京家裁立川支部は「選択的夫婦別氏制の導入など氏制度の在り方について国会で議論すべき要請が高まっていることはうかがえても、平成27(2015)年最高裁判決以降に、家族の在り方や氏の意義などの民法750条の合理性を支える立法事実が大きく変化したという事情の変更があったとまでは認められない」などとした。
第二次夫婦別姓訴訟弁護団の榊原富士子弁護士は同日、東京・霞が関の司法記者クラブで開いた会見で、「2015年の最高裁判決に従属しすぎている」と批判。「国賠訴訟も含め、今後も選択的夫婦別姓を求めていきたい」と語った。申立人の1人で、国賠訴訟の原告でもある東京都八王子市の40代男性も、「残念です。(別姓を求める)私と妻の信条をどう家裁が判断したのか見えなかった」と落胆していた。
一方、東京家裁では、「この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである。夫婦同氏制は、絶対無二のものではなく、今後、より優れた制度を模索する中で、選択的別氏制度の可能性等も含めて十分に論ぜられるべきである」と指摘。国会に議論を促した。
今後、申立人と弁護団は東京高裁への即時抗告を検討するという。
(弁護士ドットコムニュース)