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BIGBANG、観客を魅了する本格パフォーマンス 5人でK-POPシーンに残した功績を振り返る

2019年03月28日 10:21  リアルサウンド

リアルサウンド

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 BIGBANGメンバーのV.I(スンリ)が、3月13日をもって韓国にてYGエンターテインメントとの専属契約を終了した。「バーニング・サン事件」(クラブ・バーニングサンでの暴行事件など)への関与が報道され、11日に本人がInstagramで芸能界引退決意を表明。YG側がその意思を受け入れたものと説明している。同じ時期に、同事件に関与していたと言われているチョン・ジュンヨンのカカオトークの内容が公開され、関係していたチェ・ジョンフン(ex.FTISLAND)、ヨン・ジュンヒョン(ex.Highlight)もそれぞれグループから脱退。韓国芸能界全体を巻き込んだ事件に発展している。


(関連:BIGBANG G-DRAGON、SOL、D-LITE……グループと異なる個性をソロ活動でどう見せる?


 とりわけBIGBANGは日本でも多くのファンを持つグループだけに、V.Iの引退、専属契約終了は大きな衝撃を与えた。そこでBIGBANGはじめK-POPボーイズグループに造詣の深いライターの西門香央里氏に、彼らの功績や魅力を聞いた。


「彼らはメンバーそれぞれがソロとしても活躍できるほどの高い実力や個性を持っています。一方で人懐っこいD-LITEやV.I、クールなG-DRAGON、SOL、T.O.Pというように、キャラクター的にも非常にバランスのとれたグループです。ステージではその実力と個性がいいシナジー効果を与え、この5人ではないとできないパフォーマンスを見せてくれていました。また、東京ドーム公演では会場のどの位置からも最高の音響で音楽を楽しんでもらうために、最新型のスピーカーを準備するなど、ステージでは音へのこだわりを感じました。大きなアリーナやドームのような会場では、場所によって音の聞こえ方が違ったり、音の伝わり方が遅かったりしますが、彼らの場合はそういったストレスをあまり感じさせず、パフォーマンスに集中できるのです。いわゆる王道のアイドルのイメージとは異なる、海外アーティストが来日公演を行っているような本格派のステージという印象を受けましたね」


 西門氏曰く、SMエンターテインメントは最初から最後まで通したコンサート全体の演出、JYPエンターテインメントはLEDなどを多用したステージ構成がうまく、YGエンターテインメントは映像、サウンドなど全てに力を入れているように感じるという。その中でもとりわけBIGBANGはサウンドにこだわっており、V.Iのソロコンサートも音響、ライティングなど同様の構成になっていたと振り返った。また、BIGBANGはファン層にも特徴があったと語る。


「BIGBANGは女性だけでなく男性からの支持も厚いグループです。会場にも男性の姿が見られました。ファンに媚びず、音楽で勝負しているからこそ、男女問わず“かっこいい”存在なのかもしれません」


 ファンの間では“5人でBIGBANG”という声も多く見られる。メンバー4人が入隊中のためそれぞれが今回の出来事をどう受け止めているのかは分からないが、今後のグループ活動については現時点では白紙のようだ。では、“5人のBIGBANG”が残してきた数々の音楽や映像はこれまでどおり楽しむことはできるのだろうか。西門氏は最後に以下のように語った。


「これまでの例を踏まえると、韓国では“音楽に罪はない”“音源や作品とそのグループ、人は別物”という考えが一般的かもしれません。現時点では既存の音盤や音源の発売や配信中止などといった対応は起きないのではないかと思います。彼らの楽曲は今回の事件とは関係なく、良い音楽、作品として今後も受け継がれていくのではないでしょうか」


 BIGBANGは音楽のみならず、ファッションにおいても多大な影響を与え、かつての第2次韓流ブームを牽引し、今なおその人気は続いている。日本でのライブ集客力が高く、WINNER、iKON、BLACKPINKと続くYGエンターテインメント所属アイドルの先駆者でもある。同事務所から新人グループ・TREASURE 13のデビューも控える中でのV.Iの契約終了、そして今回の「バーニング・サン事件」はK-POPシーン全体を大きく揺るがす事態となっている。2006年の結成以来様々な危機を乗り越えてきたグループだけに、V.Iの出した結論は非常に重みのあるものだ。(村上夏菜)