物議を醸したイタリア出身の若手ライダー、ロマーノ・フェナティは、カタールGPで電撃的なレース復帰を果たした。彼は2018年9月の第13戦サンマリノGPのMoto2クラス決勝レース中に、ステファノ・マンジのフロントブレーキレバーを掴んだことで、6戦の出場停止処分を科されていた。
この事件は大きな騒ぎとなり、フェナティはスイスのFIM本部に呼び出され、FIMが“衝撃的で極めて悪質”と呼ぶ彼の行為について説明を求められた。
一部の人々は、23歳のフェナティを永久追放するべきだと主張したが、彼は2019年にスナイパーズ・チームからMoto3クラスに復帰した。フェナティは2017年と2018年に同チームからMoto2に参戦している。
チームオーナーのステファノ・ベドンとミルコ・チェッキーニは、フェナティを信じており、彼をMotoGPに昇格させたいと考えている。
サンマリノGPでの事件後、フェナティが出場停止処分を科されたため、チームは2019年に向けて新ライダーとしてマカー・ユルチェンコを起用した。しかしチームはフェナティを支援することを決め、その決断によりほとんどのスポンサーを失った。
「昨年10月のセパンで、我々はロマーノのために何ができるかを話し合った。そうしなければ彼のキャリアは終わってしまうからだ」とベドンは次のように語っている。
「我々はすでにユルチェンコと契約をしていたが、(ドルナのCEOのカルメロ・)エスペレータは我々に、ロマーノが選手権に残ることを強く望んでいると言ってくれた。ロマーノは復帰できるなら我々のチームにいたいと話した。彼はチームを気に入っているからだ。そしてドルナはユルチェンコが他のチームに移れるように取り計らってくれた」
「この一件でスポンサーとの状況は酷いものになった。一部のスポンサーはロマーノを怪物だと考えていたからだ。我々は多くのスポンサーシップを失った。今年はすべてのことが新しくなり、非常に難しいシーズンになるだろう。だが彼に新たなチャンスを与えることが重要だった。彼はまだ23歳だ。変わるために遅すぎることはない」
■「彼にふさわしいのはMotoGPだ」
「ロマーノは本当に良い青年なのだ。彼の問題は小さなものだ。彼は衝動的すぎる。このことについて、我々は彼と多くの話をした。我々だけでなく、専門家にもこの問題を解決すべく彼と話してもらった。我々のチームにはとても優れたメンタルコーチがいる。ロマーノのためだけではなく、我々全員のためのコーチだ」
「今年、ロマーノは完全に変わった。それが彼がレーシングスーツに身を包んで“復帰”した理由だ。彼とすべての人々に、これが完全な再出発であることを認識してもらう」
「ロマーノは違う人間になったが、そのことをコース上でも見せる必要がある。2017年に彼は最も品行方正なライダーのひとりだったことを覚えているだろうか。彼はひとつのペナルティも受けなかったのだ。今年は、他のライダーが彼に対してトラブルを起こしても、彼が平静を保つことが重要だ」
「ロマーノは素晴らしい才能の持ち主だ。Moto3は彼のクラスではない。彼にふさわしいのはMotoGPだ。データを見ると、彼が極めてクレバーなライダーであることが分かる。我々は今年のMoto3選手権を制し、彼をMotoGPに昇格させたい」
カタールGPでのオフシーズンテストでフェナティは最速タイムを出し、レースでは優勝を賭けて戦ったが、彼はMotoGPの新たなペナルティ、ロングラップペナルティレーンを走った最初のライダーになった。
レースディレクションはトラックリミットについて走行中のフェナティに警告を発した。トラックリミットを再度超えれば、ペナルティを受けるリスクがあると伝えたのだ。
フェナティはメッセージを誤解し、ペナルティを受けることになってしまった。彼は9位でレースを終えた。