帝国データバンクは3月中旬、「2019年度の雇用動向に関する企業の意識調査」結果を発表した。新卒、既卒含め「正社員の採用予定がある」と答えた企業は64.2%。5年連続で60%を超えたものの、3年ぶりに「減少」に転じた。
一方で「採用予定はない」は24.4%で、2010年度の調査以来、9年ぶりに増加した。企業規模別では大企業(「採用予定あり」84.8%)で正社員の採用意欲が高く、調査開始以来、最高水準に達した。対して中小企業(同59.1%)では、前回調査(同61.3%)を下回り、消極的な姿勢を見せている。
調査は今年2月15日~28日、全国の2万3031社を対象に実施。うち9701社から回答を得た。この調査は2005年2月以降毎年行っており、今回で15回目となる。
非正社員の採用意欲にも落ち着き
「正社員の採用予定がある」と答えた企業からは、以下のようなコメントが寄せられている。
「人手不足もあるが、平均年齢の若返りも重要」(野菜果実缶詰等製造、北海道)
「4月から新卒新入社員が入社することにともない、ベテランのパート社員が定年退職する」(紙・文房具小売、山形県)
若年の従業員を採用し、年齢構成の平均化を図る狙いがあるようだ。
「非正社員の採用予定がある」と答えた企業は50.3%で、2年連続で50%を超えた。しかし前回調査(52.4%)を下回っており、採用意欲は弱まった。
業種別では、人手不足が深刻な「飲食業」で約90%、「飲食料品小売」「医薬品・日常雑貨品小売」では80%が「採用予定がある」と答えており、人材確保への旺盛な意欲を見せている。
正社員を増やす理由「業容拡大への対応」が減少
2019年度の正社員比率を聞くと、「2018年度と比べて上昇する」と答えた企業は18.3%で、「低下する」(6.1%)を上回った。
上昇の要因は、「業容拡大への対応」が45.8%でトップだが、前年度調査(51.5%)よりも下がった。反対に、2位の「退職による欠員の補充」(37.8%)は前回調査(37.3%)よりも割合がやや上がっている。
3位以降は、「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」(30.5%)、「非正社員から正社員への雇用形態への転換」(28.0%)となっている。